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フィルム写真の露出の決め方

富士フィルムの価格がまた値上げされたそうですね。

写ルンですも店頭で1500円ほどになっているそうです。数年前は500円ほどで買えてた気がするのですが。


今日はフィルム写真の露出について話します。

「フィルムはデジタルと違って、味がある」なんてよく言いますが、その味を決定付けているのはフィルムにほかなりません。

要素として、フィルムそのものの色やトーンの柔らかさが挙げられます。それ以外にも粒子や、現像時のムラ、そして露出のムラもフィルムらしさを構成する要素です。

背面液晶が付いたデジタルカメラ、あるいはアイフォンであれば、レンズを通した像がそこに出ているので、撮影しながら暗かったら明るくする。明るかったら、暗くするという操作を行います。

だから誰でも適正露出、らしい感じで撮れてしまう。

しかしフィルムカメラは、レンズと通してフィルムを感光させて、現像するまでその露出が適正かどうかを知ることができません。だから、現像した後に、思ったよりもアンダーだったり、オーバーだったりということが頻繁に起こる。(商業写真でフィルムを使うカメラマンは、露出に対する現場での決定が非常にシビアなので、そのような偶発性に委ねる方は少ないと思いますが)

アンダーすぎたり、オーバー過ぎる写真はいわゆる失敗写真なのですが、そのヘタウマさこそが上記した「フィルムの味」となる場合があるのです。

またプリント時に大きな補正がかけられるのもネガフィルムの魅力です。(逆にポジは現場での露出でほぼ決まってしまいます)

そういう意味でデジタルのjpegはポジ的で、可変率の高いRAWファイルはネガ的と言えるでしょう。

フィルムはラティテュード(白から黒までの表現の可変域)が広いので、露出を外してもプリント時にある程度適正まで持っていくことができます。そしてオーバーめに露光されたネガのほうが、プリントしやすいという特性を持ちます。

デジタルはその逆で、アンダー域のデータには強いですが、オーバー域で白を飛ばしてしまうと、その部分のデータはいくらRAWであっても補完することはできません。

なので、デジタルはアンダーめの露出、フィルムはオーバーめの露出で撮ることが基本となっています。(あくまで1/3程度に)どの場面でも適正で撮らなければ気持ち悪いという方もいますので、そのような人は適正で撮れば良いと思います。そしてそれ以外の人はこのルールを頭の片隅に置いておくと、ほぼ失敗することは無くなるでしょう。

Leica MP、フルマニュアルのレンジファインダー機。

16ルール

そのようにフィルムで撮影する場合に便利な露出決定方法があります。

それが「16ルール」です。

晴天順光の場合、シャッタースピードは感度(ISO)分の1、F値(絞り)は16で適正になる。

というもの。

つまり

感度200のフィルムを使っている場合、シャッタースピードは1/200、絞りは16で撮影すれば、適正露出となるということです。

フィルムカメラの場合、実際には200という半端なシャッタースピードは無いカメラの方が多いので、近似値で250と考えます。

感度400のフィルムであれば1/500のF16。

絞りF16というのはいつでも一緒なので、16ルールです。

曇りの日や、暗い場所で撮る場合は二段開けると覚えてください。

絞りであればF16→F8 またシャッタースピードであれば、1/500→1/125 です。

簡単ですね。

このルールさえ覚えておけば、露出計がなくてもだいたいのものは撮れてしまいます。

また、少しだけ露出の知識があれば、この値を基準に更に絞ったり、シャッターを遅くしたり、自由に設定できるようになります。

露出計を使わず、これを基準に続けていくと、露出を読む力がついてきます。
露出を測る時間を無くし、その分を構図やピント、フレーミングにつぎ込むのです。

デジタル全盛、露出オートの現代では不要な話かもしれませんが、ネガフィルムで撮っている人は試してみてください。。

プロ向けの記事はこちらで連載中です。


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