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アドビ優位な映像業界の不健全さ

どこかの会社に勤めてカメラマンや映像制作をやりたいのなら、DaVinciでもファイナルカットでもなく、Adobe Premiereを使える必要がある。つまり就職に役立つのはアドビだけで、ダヴィンチとファイナルカットは最高のソフトなのに全く役に立たない。これはアドビが法人にしっかり入り込んでいるから。

日本の制作会社はPremiereだけでなく、フォトショップやイラストレーター含めた他のフルパッケージ版を法人契約しているしているところがほとんどである。なので募集要項には「Premiere」だし、Premiereを扱えることが前提とされ、ダヴィンチとファイナルカットが使えても書類で門前払いとなるわけ。これは企業にとっては有能なクリエイターとの出会いを失っている。

技能的にはいずれも同様の映像制作のソフトなので大まかな目指す方向性は同じ。だからどれか一つを使えれば、他のアプリの操作に応用が効くし、マスターするのも早い。企業側も、クリエイターの得意なソフトで思う存分作らせるほうが、良い品質のものができるのに。

そのように世界がPremiere優位になりながらも、それは企業ベースのプロダクションの話しで、今の世の中はどちらかと言えばインフルエンサーや個人クリエイターがトレンドとマーケットを牽引している。そしてそのような個人クリエイターは使用するツールに囚われないので、自分にフィットするもの、コスト的に優位で品質を出せるものを使う。ダヴィンチとファイナルカットは間違いなくその範疇にあるし、Macでの挙動とマッチングが良いので、初心者にも使いやすい。個人クリエイターはむしろダヴィンチやファイナルカット派が多い印象で、僕が好きな著名なフィルムメーカーもほぼどちらかで作成している。むしろプレミアが使われない世界線になる。

ソフトウェアや制作手法の多様性という意味では、一つの会社が独占するよりも、競合しながらよりよい進化を目指す方が、クリエイティブにとっても市場全体にとってもいい。制作におけるハードウェアがアップル独占という前提はあるにせよ、企業に根を張るような形で、アドビのソフトウェアだけがオフィシャル感がある。採用で使われる。というのはどこか健全ではないような気がしている。


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