●向？抗？どっちの漢字が正しいの？

精神科や心療内科などで処方される薬が一般的に「こうせいしん」薬と呼ばれていることを知っている人は多いと思うのだけれど、この「こう」という字が「向」なのか「抗」なのかよくわからないという人は案外多いかも。

「向＝向かうと「抗＝あらがうで、どちらも似た感じだから、「どっちの字でもいいんじゃない？」と思っている人がいるかもしれないけど、これは全然どっちでもよくなく「向精神薬」と「抗精神病薬」はとっても違います。

「向精神薬」は、イラストにあるように

・抗精神病薬
・抗うつ薬
・気分安定薬
・抗てんかん薬
・睡眠薬
・抗不安薬
・抗パーキンソン薬
・その他（抗認知症薬など）

など精神科で処方される薬全部を総称した薬を指す言葉です。

一方の「抗精神病薬」は「メジャートランキライザー」あるいは「メジャー」とも呼ばれ、幻覚や妄想などの精神病症状に作用する薬で、強力精神安定剤として主に統合失調症や双極性障害などに使用される薬です。

●向精神薬は総称で、抗精神病薬は特定の薬の種類を意味します

つまり、向精神薬は精神医療のなかで広い意味で、神経に作用する薬全般を示す言葉なのです。

ちなみに『麻薬及び向精神薬取締法』という表現にみられるように、非合法の麻薬に対して、合法の薬として精神科医療機関で処方される精神薬全般を意味する行政用語でもあります。

つまりすでに精神科で処方された薬を服薬している方は、薬の総称である「向精神薬」を服薬していると思われますが、「抗精神病薬」を服薬しているかどうかは、その薬名から「抗精神病薬」が処方されているのかどうかを調べてみないとわかりません。

ちょっと紛らわしいのですが、主体的に治療を受けるのには治療薬がまずどんな分類に当たるものかを知っていくことはとても大事です。

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