永遠の悪魔はなぜ弱い?【チェンソーマン7話感想】

前回のあらすじ

 ホテルの8階に閉じ込められた公安4課。追い詰められて奇行に走るコベニや荒井の恐怖を食って強化された【永遠の悪魔】がデンジの心臓を食わせろと要求する。お望みどおりとデンジはスターターを引いて、大きく開け放たれた口の中に入っていった。

永遠の悪魔戦

 割とあっさりしている。私も初見時には「え、もう終わり!?」と驚いたもんだ。刃渡り2億センチがBGMで流れてテンション跳ね上がったり、スターターを再起動する描写がわかりやすかったりと満足感あり。【禍々しくも爽快感あふれる原作の描写】には今一歩届いていないが、アニメならではの見せ方としてはこれもあり。

 よくよく考えると永遠の悪魔戦を長くやっても、そこまで画面映えに期待はできない。ヒルの悪魔戦みたいな、広い空間を無軌道に動き回りながら触手等の迫力ある攻撃の応酬、互いに狂気的な笑みを浮かべて戦うようなガンギマリ具合も、永遠の悪魔にはない。

 永遠の悪魔は無尽蔵のニンゲンモドキたちが手を伸ばして対象を掴んでもぎ取るだけの攻撃手段しかなく、場所も狭い。チェンソーマンとしても、切って切って切りまくるくらいしか出来ない。

 実際漫画でも、3日にわたって切り続けた場面はカットしていたので【永久機関】通りの行動を繰り返すだけに留まっているのだと思われる。その3日間を擬似的に体験できるのが3話EDの刃渡り2億センチだと私は思います。無茶苦茶な歌詞が絶妙にマッチしている。

永遠の悪魔弱くない?

 そりゃあ、死を恐れるあまりに擬似的な不死性を得たのに、無限に戦える利点を生かしてチェンソーマンを殺すという選択肢を取れない時点でね。

 基本的に悪魔は恐怖を貪るのが主なのに、この悪魔は最初から死に恐怖している。挙げ句チェンソーマンを恐怖しているため、回りくどい事をしまくって対策案を練る時間を与えてしまった。

 蝙蝠の悪魔が使う超音波砲等の攻撃に使える特殊ギミックを持っていないため、手による物理攻撃しか出来ない。四方八方からの腕は驚異的だけど、相手はイカれたチェンソーマン。出血させて血を飲んで恐怖させてを繰り返し、その体力を一時的に無限にした。

 いわばこの勝負は、死から逃れるために永遠を追い求めた存在VS永遠に戦って自殺に追いこもうとする存在の、擬似的永遠対決である。覚悟の決まっていない者は負ける。

ここが地獄の一丁目

 1秒間で途轍も無い痛みと恐怖が永遠の悪魔を襲い、2秒、3秒と、ひたすら切りつけられる。止めようにも止められずに更なる猛追で切り刻まれるのだ。流す血も無限なのでチェンソーマンは無限に回復する。

 10秒、20秒、40,60でようやく1分。数多のニンゲンモドキたちが致命傷を負ってもがき苦しみ、それでも不死のために死ぬことはなく蘇って、また切り刻まれる。1分、2分、5分、10分、何度も何度も死ぬ、生き返る、死んで、帰り、死に、生きて、死んで、また生き返る。

 そうこうしている内に最早恐怖で手が竦み、また致命傷を追う恐怖心がチェンソーマンを更に強化して、より鋭く深々と、致命傷を与え続ける。

 それが1時間、2時間と続けば、もう嬲り殺しだ。いくら心臓を傷付けられなければ死なないという絶対的リードがあったとしても、戦意を完全に喪失した状態では死に体同然だ。むしろこの苦しみの連鎖が何故止まらないのかを疑問に思うほど、血に狂ったチェンソーマンへの無力感は募るばかり。もし彼らに、ヒルの悪魔みたいな気の狂った笑い声を浮かべるくらいキマっていたら、少なくともデンジ以外のメンバーを餓死させることくらいは出来たかもしれない。

 1秒を60回、更に60回繰り返し……3600秒を10回繰り返して10時間。何千回死んだ? 何万回切りつけられた? 数え切れないほどの痛みと死を得てなお死にきれずに生き返る。痛い。痛い。痛い、痛い、痛い痛い痛い痛い痛い、目覚めたら切られる。幕間。黄泉帰って黄泉送り。死なない。死ねない。死ねない。死ねない!

 確実に圧勝出来るステージを崩壊させる異質物。タイムもない、止められない、ずっと痛い。灼熱のような鮮血を幾万回流そうが止まらない。それでも永遠に戦い続けることなど出来はしないだろう、万に1つの望みをかけた心尽くしの消耗戦。永遠は自分に安心をくれる。だから今回もそう。チェンソーマンという恐怖も今だけだ。今だけだ。ずっと先の未来に敵など居ないのだから。

 ……10時間を7回繰り返して約3日。

 永遠の悪魔は心臓を差し出した。

 痛苦や漠然とした恐怖をもたらす死から逃れるための永遠。その永遠が今や苦しみとなっている。死にきれない無間地獄の坩堝だと気付かされた。ここは地獄以上に酷い場所だ。最早この場から逃れたい。例えそれが永遠を両断する結末を迎えようとも、早く安息を手に入れたい、そんな逃避を求めた永遠の悪魔の末路としてはこれ以上無いだろう。

ゲロキスからの途轍も無いエロス

 さて、新人歓迎会で不意打ち気味に舌を入れたキスをするデンジ。ねちっこい描写に「これ海外の映画とかで見たことある!」なんて感想が湧く。姫野先輩本当に魅力的なんだが……流石に吐瀉物にはモザイクがかかった。そりゃあそうだ、そんなものまで解禁せずとも良い。もらいゲロ率が更に高まってしまうからね。走馬灯みたいな過去回想のポチタ、悪い顔してるなw きっと今はデンジともども「オエー」してそう。因果は回るのだ……。

 さて、このまま終わりかと思いきやまだ終わらない。姫野先輩にお持ち帰りされたデンジが、口移しからの「しちゃう?」で終幕。ここね!! 激烈にエロいんですよ!!!! 深夜帯とは言えよくアニメでこんな表現できたなと拍手喝采ですよ!! 消灯された照明から右に逸れたと同時に見える姫野先輩の下着姿、迫る瞬間に見せた艶美フェイスにぷるぷるとしたリップ!

 そのまま飲み物を口移しての口直し! ファーストキスのやり直し! くぁあああああああ、一気に昂りが! 情緒が、波動が、漲る!! やべぇ!

ED

 古臭さと、良さ。スーパーファミコン世代に直撃のグラフィックにセクシーショットの連発で頭がクラクラ………している間にゲゲゲノゲ!! つくづくモザイクあってよかったと思ってる!

サポート1人を1億回繰り返せば音霧カナタは仕事を辞めて日本温泉巡りの旅に行こうかなとか考えてるそうです。そういう奴なので1億人に到達するまではサポート1人増える度に死に物狂いで頑張ります。