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老いらくの恋 第17話

魅力的な女性作家に恋してます。
今回は 菅野雪虫(すがの ゆきむし)さんです。
福島出身のファンタジー作家です。
「ソニンと燕になった王子」で第46回講談社児童文学新人賞受賞。

本作「天山の巫女ソニン」は「ソニンと燕になった王子」を加筆改題したものです。
ファンタジーに分類されるが、怪異に伴う話しは少ない。
ソニン・シリーズは第5話まで続き、外伝が2冊あります。
この7冊を通じて読み取れるのは、国の運営、王族間の権力争い、戦争、ファンタジーの枠に収まらない世界が展開されます。
日本の児童むけファンタジーの中で最高の傑作だと思います。

私(土岐)は小説を書いていると、以前書きましたが、ひそかにこの“ゆきむし”さんを目標としましが、とても太刀打ちできません。才能の差を実感しました。難しく考える必要はありません。寝っころがって読んでも、“ゆきむし”さんに叱られることはないでしょう。
本の内容をざっと紹介します。

大陸から突き出た半島に、北に巨山(コザン)西南に江南(カンナム)、東に沙維(サイ)の3つの国があります。沙維の国の真ん中に高い山があります。この高い山天山(てんざん)には巫女が住み、村人の依頼で「夢見」をして、村人たちに色々教える暮らしをしています。
時々、巫女としての能力を見込まれて、親元をはなれ、巫女修行をする少女がいます。
本書の主人公「ソンニ」も巫女の能力を見込まれ、修行しますが、なぜか能力は開花せず、元の村に返されます。いわば「おちこぼれ」です。
おちこぼれのソニンはある日、沙維の国の王子たちに出会います。沙維の国には7人の王子ガいます。7番目の王子は「イウオル」といいます。ソニンは道に落ちていた小さな袋を見つけます。イウオル王子が落としたものと知り、王子にとどけに行きます。ところが、イウオル王子は生まれつき話すことが出来ません。末子と言う事もあり兄たちの陰に隠れて暮らしていました。そのイウオル王子はソニンの手をとり「ありがとう」と無言で告げます。ところがソニンはイウオル王子の声が聞こえました。
これを契機に、ソニンはイウオル王子の侍女として王宮に入ります。ここから色々な事件が起こり、ソニンが活躍します。

気付きました、コザン、カンナム、サイは、高句麗、百済、新羅を想起させます。王子の名前も、イウオル(2月)、パロル(8月)、サウオル(4月)など韓国語の名詞がいっぱい出てきます。
ソニン・シリーズ全5話を通じてイウオル王子は成長していきます。
ソニンを取り巻く人々も魅力的です。
ソニンの親友ミン、ミンは貧民がすむ川辺の少女ですが、年齢を偽ってお運びとして居酒屋に勤め、智恵を働かせ、努力します。そんなミンの逞しさにソニンは魅かれ二人は無二の親友になります。
ソンニのアネのユナ姉さん、ユナの恋人のイルギ、イルギは無骨な兵士で、王の信頼も厚い。ソンニが王宮の中で窮地に陥ったときソンニを助けました。
巨山(コザン)の王女イエラ、
西南に江南(カンナム)の第2王子のクワン 
この二人が強烈な個性を発揮します。

やっぱり、私(土岐)の好きな成長物語ですね。
是非読んでください、児童書ですから難しくないですよ。
ファンタジーですが、戦争が起きるきっかけや、国民の意識のあり方は、実に示唆的です。


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