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広告制作において消費者を切り捨てる愚行と、スピードが価値を持つ今の時代の考察。

先日、50代後半の上席の方に、「デザインのインターネット通販型テンプレート販売+サブスクリプションでのビジネスモデル」を語ったところ、「まぁそういうこと考える人は多いよね。僕らが若い頃にもいたよ。そういう人たちの大半はビジネスが頓挫しはったけどね」と言われたのですが、50代後半のその方の若い頃にそんなビジネスモデルがあるわけもなく、リアクションに困り果てました。

さて。

今日は、今の時代はスピードが価値を持つということと、それに気づかず最終的には大切な消費者を切り捨てている愚行について考えてみたいと思います。

検討の価値すらない主観・感覚が横行する広告の制作現場

広告のクリエイティブ制作には(自社広告の場合は除きますが)、発注元となる広告主の存在があります。

広告主はデザイン会社などに費用を支払い、「こんな広告を作って欲しい」とか「こんなデザインにして欲しい」と要望を指示します。で、広告が作られていくわけです。

何が愚行かというと、広告主の担当者がデザインやコピーライティングのあれこれに口を挟むこと。もちろん、消費者のことを考えての議論だったらとことんやるべきですが、主観や感覚で口を挟んでくる人の多いこと多いこと。

例えばこんな感じで。

「俺的にはここの背景がオレンジ色のほうが好きだから、修正して!」
「この囲み、丸じゃなくて四角のほうがかわいくない? 修正して!」
「なんかこのフォント嫌いだな。修正して!」

ってな感じ。

非常に物腰柔らかに申し上げますと、その広告は世に出たときにテメェが手に取って見るもんじゃねえし、そもそもテメェは広告のターゲット外の人間だろうが。そんなテメェの主観・感覚・趣味趣向に合わせる必要がどこにあるんだゴルァ。

と、感情でまくし立てても仕方がないので、丁寧に考えていくことにします。

消費者を切り捨てていることに気づかない愚行

まず、こういった愚行の犠牲になっているのは消費者なんです。

広告を届けるターゲットでもないその方の主観は検討の余地などなく、デザインやコピーライティングのプロでもないその方の感覚などアテになるはずもなく、その方の趣味趣向なんてそもそもどうでもいい話。

100万人に届けたい広告の場合は、ほんとだったら100万人一人ひとりにどんな広告だったら好むのかアンケートを取りたいところですが、そうもいきません。そういったときのために、顧客動向やアクセス解析などのマーケティングが存在するわけです。

100万人すべての顔や名前はわからないけれど、100万人の反応から、どういったものが正解なのかを、深く深く真剣に深く考えるきっかけとなるものが導き出せる、ということです。

それを無視して、主観・感覚・趣味趣向を押し付ける方の行動は、完全に愚行。本当に届けたい相手のことを無視するという愚行。多くの場合、企業に勤めている人が発注担当になるため、会社が消費者に届ける広告というツールにも関わらず、会社のお金を使って私物化するという愚行。

また、会社に勤めている人の中には、「仕事やってるアピール」に必死な人がいます。そういった人は、デザイン制作会社が提出してきたデザインに対し、「修正指示を出すこと」が仕事だと勘違いしていますし、それによって仕事やってる感を演出、アピールしようとします。

正直、「誰のために仕事してるんだテメェは?」と寂しくなってきます。

ちなみに、こういった方が発注担当の場合、相手がどれだけ大企業でも重役でも、僕は容赦なくその指示を叩き潰します。なぜなら、消費者のことを無視した愚行だからです。はい。

こういった人は今の世の中のことをまったく理解できていないんですね。なぜなら……。

PDCAサイクルを回すことで、スピードが価値を持つようになった

その昔、広告を出稿した後に精緻なデータが取得できなかった頃は、確かに主観や感覚、トレンドなどを意識してクリエイティブする必要があったのかもしれません。

ただ、今や消費者の反応が数字で把握できる時代。主観や感覚などに頼って広告制作するというバクチのような予算のかけ方をしなくて済む時代なんです。

数字が把握できるということは、次から次に改善してより良いものを作ることができる。俗に言う、PDCAサイクルを回すというやつですね。

まずは作ってみてリリースしてみる。で、実際の消費者の反応を見ながら、より好まれるように調整していく。で、またリリースしてみて、また反応を見る。そうやって、消費者にスキと言ってもらえるまでチャレンジできる時代なんです。

となると、何が最も大切かと言うと、スピードなんです。

先の愚行を行う担当が殺しているのは、消費者でありスピード。どうでもいい拘りでリリース時期を遅らせてしまうのは、現代社会では致命的で、1日も早くリリースしたほうが、より多くの消費者にも見てもらえるし情報に触れてもらえる。

背景色をオレンジ色から青色に変えさせている間に、予約や問い合わせが1件でも入るかもしれない。フォントを変更しそれを見比べている間にも、来場予約が1件入ったかもしれない。こういった愚行は、獲得できたであろう消費者のアクションを殺してしまっているわけです。

プロジェクトには基本的に目標値というものが定められているので、仮に150件の成果獲得を目指しているプロジェクトとして、愚行担当が例によって主観による修正を突きつけてきたとします。

そういったときの対処法をお伝えします。

その修正を行わなければ早められたであろうリリース日の日数をカウントし、その日数で獲得できたであろう成果数を算出します。30日間で目標とする150件を獲得するプロジェクトの場合、1日5件の目標になりますよね。となると、修正指示がなく、仮に3日リリースが早められたとすると、15件の獲得につながった可能性がある、ということです。

で、それを1件獲得で得られる利益と掛け合わせることで、その担当者がその方の会社にもたらした損失額が導けます。1件獲得で1万円の利益が出るプロジェクトなら、15万円の損失。オレンジ色の背景を青色に変えてくれという愚行な指示は、会社に15万円の損失をもたらしているということなのです。

で、その事実を突きつけることで、そういった修正は叩き潰すことができます。

すべては消費者のためであり、その方の勤める会社のため。完全に正義の立ち位置で刀を振りかざすことができるのです。

広告とは消費者との出会いの機会を作り出す道具。いかに消費者に魅力を感じてもらうか。で、いかに多くの消費者と出会えるよう導くか。リリースしてからでも検証・改善ができる今の時代においては、1日も早くリリースすることが正義ですし、そうすることで一人でも多くの消費者と出会うことが可能となります。

という観点から考えると、前述のような愚行は広告犯罪とも言えますし、僕は日々、そういった犯罪を撲滅するために動いています。

まぁ、何が大切かと言いますと、とにかくスピードです。熟考して世に出すタイミングを遅らせるよりも、1日も早くそれを世に出し、出してから検証や分析・改善の回数を重ねていくことが、効果の最大化につながるということなんです。

はぁ、何度、愚行という文字をタイピングしたのやら。
以上です!

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