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街で良く見かける似た顔のタイプについて熟考していると、なぜか、つじあやのさんと自分磨きの方法に結論が至ったため、急いで筆をとる。『デタラメだもの』

街をふらふら歩いていると、この手の顔をした人ってよく見かけるよな、と感じることがある。極端な日には、その手の顔をした人をウエストサイドで見た直後、イーストサイドでも見かけることがあり、この方、瞬間移動できるのかしらんと、真面目に悩んでしまうことしばしば。

そこで、個人的に最も多い「この手の顔をした人」のタイプってものを割り出してみようと思い、2週間ほど家に引きこもり、一切の外出も禁じ、粛々とアナライズしてみた。

見事、答えが出ましたよ。もちろん、完全なる主観のため、何の役にも立たない答えではあるものの、同じような疑問を抱えている人にとっては、鬱屈とした洞窟からの脱出という兆しに繋がる可能性もあり、そういった意味も込めてここに答えを発表したく。

最も多い「この手の顔をした人」のタイプってえのが、「つじあやのさん」という日本の有名なシンガーソングライターの方であるという結論に至ったわけです。ほんま、これ、超個人的な意見ね。

つじあやのさんといえば、スタジオジブリ映画『猫の恩返し』の主題歌『風になる』を歌われていることで有名であり、数々の企業のCMソングなども歌われていらっしゃる、それはそれはとてもビッグな方でして。

ただ、その実、街をフラフラと歩いていると、つじあやのさんに似た人をよく見かける。電車に乗ってみても、つじあやのさんに似た人をよく見かける。新しい物語をひねり出すため、ひとり黙々と登山に勤しみ、ようやく訪れたてっぺんの展望台でぼんやり街の景色を眺めていると、ふと隣に、つじあやのさんに似た人がいたりする。

日常生活において、何をする場面でも、ふと周りを見渡すと、つじあやのさんに似た人がいるわけである。

で、さらにこの事実を深掘りしてみると、あることに気づく。それは、つじあやのさんに似ている人は全員、つじあやのさんのような髪型だったり服装だったりをしているということ。さらに言うと、同じようなメガネまでかけているということ。

ごくごく一般的な感覚の持ち主なら、「そりゃ、自分自身がつじあやのに似ていると思ったら、ちょっとオシャレも参考にして髪型や服装やメガネを取り入れたりすんじゃね?」とお考えになられるであろう。しかし僕のように一般的な感覚の持ち主の方よりも少し劣った感覚の持ち主の場合、こう考えるわけである。

人間には複数の限られたタイプというものが存在しており、全ての人は、そのいずれかのタイプに属する。例えば、猿っぽいタイプだったり、魚っぽいタイプだったり、ゴリラっぽいタイプだったり。で、そのうちの一つに、つじあやのっぽいタイプが存在するということ。

で、きっと、つじあやのさんに似ている人たちは、つじあやのさんのことを強く意識しているわけじゃないと仮説。本人は自覚せぬままではあるが、つじあやのさんタイプで生を受け人生を歩んで行く中で、自分を磨き、美を追求したりオシャレを追求したりした結果、やがてこれまた本人は自覚せぬままではあるが、つじあやのさんタイプを極めることになる。

つじあやのさんタイプの究極は、もちろん原点であるつじあやのさんご本人。で、つじあやのさんタイプの人たちが目指す頂上の像は、必然的に、つじあやのさんになる。本人の自覚はないまま、つじあやのさんタイプとして自分探しや自分磨きを続けた結果、見事、自分にフィットするビジュアルを手に入れる。それこそが、つじあやのさん、なのである。

だから、街で見かける、つじあやのさんに似た人たちの全ては、自分を極め切った方々。要するに、つじあやのさんタイプに属する自分自身を極め切った結果、見事につじあやのさんタイプの頂点である、つじあやのさんと似た風情になったというわけだ。

何をふざけたことをノラノラと言い続けとるんじゃボケェと思われるかもしれないが、ここからが物書きとしての腕の見せどころ。この気づきを抽象化して、皆さま方にプレゼントして差し上げよう思うとりますねん。

人は自分に合った髪型や服装やアイテムを身につけることで最も輝く。すなわち、自分が属するタイプにいち早く気づき、そのタイプが最も見栄えする見た目に近づけていくことで、最も個性が発揮される。

どう? なんか名言且つ哲学っぽくないですか?

どゆことかと申し上げますと、例えば、太っているのにカッコ良かったりオシャレだったりする人っているじゃあないですか。あれって、その人のタイプに合った髪型だったり服装だったりを、きちんとしていると思うんですよね。要するに、自分の魅せ方を知っているといいますか。

背が低くてもとても個性的でモテる人もいますし、顔が大きくても足が短くても、今っぽい顔をしていなくても、それが個性となり、周りから注目、支持される人はたくさんいる。

これ、皆さん、自分がどのタイプに属しているのかを理解していて、自分に合ったことだけを取り入れ、最もよく見られる状態を自身で作り上げていることに他なりません。

逆に自分がどのタイプに属しているのかを理解していない場合、たとえ長身でもモテなかったり、自分自身の個性をコンプレックスに感じたりしてしまうわけなんだな。

なので、今ひとつパッとしない見た目の人は、きっと自分の属するタイプを見誤っているはず。きっとね、自分の理想とする像を自分の属するタイプと思い込み、間違った磨き方をしちゃってるんだよね。きっとね。

自分の理想と自分の属するタイプは違うわけだ。これを知ることで、極端にコンプレックスは減るし、周りからのビジュアル的な評価も良くなる。皆さん、自分にはかなり甘い採点を付けていらっしゃるようなので、一度、知人・友人の中でも歯に衣着せぬ物言いで有名な方などに尋ねてみればいい。私って、私が属するタイプを理解できているかなぁ? って。

ということで、いざ、僕はどのタイプに属しているのか、また僕は僕のタイプを心得、それに準じて自分磨きができているのかを確かめるべく、後輩に依頼。街なかで歩いている男性のうち、僕が属しているタイプの男性を指してくれと。君が思う僕のタイプと合致するタイプの男性をね。

後輩が次々に指を指していく。興味津々でそれを見つめる。すると、ある違和感に気づいた。それは、後輩が指し示す男性の特徴に、いずれも共通する部分があることに。

まず、黒縁メガネをかけている。普段の僕は黒縁メガネをかけて視力の弱さを補強しているため、まぁいいでしょう。それだけならまだしも、やたらと小太りで背の低い男性を指しやがる。次から次に、黒縁メガネで小太りで背の低い男性を指し続ける。どう考えても、女性から羨望の的となるようなタイプではない。

僕は憤怒した。これはゲームじゃあない。僕が自分のタイプを知るという重要で且つ貴重な機会なのだ。後輩よ。真面目に取り組んでくれよ。調子に乗っていると、君の肩を握り拳で小突くよ。

憤怒した僕に怯え、後輩は一目散にその場を去った。きっと彼はオフィス街に響き渡るほどの悲鳴をあげていたに違いない。まぁ、仕方がない。後輩のクセに先輩をコケにするなんてもってのほかだ。彼には申し訳ないが、仕方のない処置だったと思われる。

さて、仕事の続きでもしようと向き直り、オフィスビルのガラス面に映った自分のビジュアルを直視した。なんと、そこに映っていたのは紛れもなく、黒縁メガネで小太りで背の低い中年男性だった。これが現実か。現実は辛すぎる。しかし、受け止めなければ前に進めないし、正しい自分磨きができない。黒縁メガネで小太りで背の低い中年男性というタイプを磨いていくしかない。

そう心に決めた瞬間、後輩に非道い仕打ちをしたことに気づき、僕は後輩が去った方に向かい走り出した。全力で走り、追いつき、後輩に謝罪しよう。黒縁メガネで小太りで背の低い中年男性というタイプの磨き方は、きっとそこからスタートする。

そう思い、後輩の背中を追っている最中にも、つじあやのさんに似た人を2人ほど目撃した。

デタラメだもの。

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