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貯蓄の洗脳・呪縛からの解放。人生は一度きり。貯めることでスケールを萎めてしまうのではなく、楽しむことに投資し、大きなリターンを得よう。『あり金は全部使え - 堀江貴文』【書評】

堀江貴文 著『あり金は全部使え 貯めるバカほど貧しくなる』

本著をひとコトで表現するならば、貯蓄の洗脳・呪縛からの解放。万が一のことが起きたときのための貯蓄と言うが、じゃあ万が一のことが起きた後は? 貯める思考で生きてきた人間は、その後、どうやって生きながらえて行くのか?

人生は一度きり。貯めることでスケールを萎めてしまうのではなく、楽しむことに投資し、大きなリターンを得る。『使うこと=失うこと』ではなく、『使うこと=得ること』という思考にシフトするための、学びとなる1冊です。

小遣い制はやめろ、手柄は人にやれ、貸し金は捨て金と知れ、金持ちを目指すな、人に任せろetc.お金の呪縛を振り払い、悔いなく生きろ!お金を使うほどチャンスが増える!

本著、『あり金は全部使え』というタイトルこそ過激ではあるものの、裏に潜むメッセージは、楽しめ・挑め・攻めろ、というエール。

これから何が起こるか分からない不安定な日本。貯蓄することが不安を和らげてくれるのだろう。もちろん、何かあったときの備えというのは、役立つ部分もあるはずだ。

ただ、貯める思考だけに偏ってしまっては、得るという思考を欠いてしまう。それこそがリスクだと、本著は指摘する。

お金を稼ぐというスキルやポジションを獲得できれば、貯めるという選択肢ではなく、自分に投資し、お金を稼ぎ続けるという選択肢を取ることだってできる。

万が一のことが起こったときの貯蓄かもしれないが、万が一のことが起こり、貯蓄を失ってしまった後、得る能力がなければ、そこでサイクルはストップしてしまう。

貯めるという行為は、自分を豊かにする機会を摘み取る行為でもある、という認識を少しでも持てるかどうかがポイントだ。

もちろん、むやみやたらと金を使いまくれとか、分不相応な買い物をせよ、と本著が示しているのでは決してない。貯める思考に縋ってしまうと、いざというときに、戦えない身体・思考になってしまうよと、説いている。

誤解を恐れずに言うなら、10円の節約に取り組む時間で50円を稼ぐことだってできる。それを100回繰り返したとしたら、大きな差が生じる。結局は、そのどちらを選択するかだ。今の時代、削ったり貯めたりするのではなく、得るという選択肢はたくさんあるということ。

きっと、それも情報。いかに情報を手にしながら動くか。

1度きりしかない人生。2度とない人生。万が一のことばかりを考えて、貯めて備えて保守的に生きて、死ぬ間際、最高にスッキリした表情で死ねるだろうか。実はやってみたかったこと、実は行ってみたかったところ、実は食べてみたかったもの。後悔にも似た、そんな感情は微塵も混じらないだろうか。

もちろん、備えは大切だけれど、不測の事態が起こったときに、改めてジャンプするための備えなら、生産性のあるものなのかもしれない。ただ、漠然とした不安を解消するためだけに貯蓄を続けることは、今の時代、リスクでもあるという認識を持つことが重要だ。

ディフェンスだけでは勝ちにつながらない。どうせ生きるなら、勝利を手にできるような生き方をしたいものだ。そんな思考に切り替えるきっかけとなる一冊です。


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