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海外の人にショートストーリーを読んでもらった時のリアクションがとても新鮮でした。が、気づきも多く、チャレンジはまだまだ止まらない。

Windowsのパソコンを使用しているのですが、Windows Updateがかかっているときに限って急ぎの用件が入る不思議を、誰か解明して欲しいと願ってやまない今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて。

日頃から、140文字ちょうどで執筆する超短編ショートストーリーを小説投稿サイトエブリスタで毎日更新しているわけですが。

海外向けにショートストーリーを発表するという目標に向け、まずは140文字のショートストーリーから実験的に翻訳を試みています。

言葉の壁というのはそれほど感じないのですが、日本語ならではの表現というものが、ことごとく英語ならではの表現には適さない、ということに気付かされ、圧倒的な興奮を覚えています。

そこでまずは、日本語のショートストーリーに対し機械翻訳を行い、それを海外の人に読んでもらいます。もちろん機械翻訳なので、小説らしい表現は軒並み意図通りには翻訳してもらえません。そこは、意味や意図を口頭で補足し伝えていきます。

言葉の問題は、しっかりと伝えると理解してもらえるのですが、日本語ならではの表現が、やっぱり理解してもらえませんね。

読了後にゲラゲラと笑ってもらえたのが、次の作品。

『反撃』

ある女の客がヘアサロンを訪れた。
スタッフたちは笑顔で迎え入れる。
本日はどのように?
女優のSみたいにして欲しいの。
仕上がりを見た女は激怒した。
どこがSなの!? ヨソでやってもらうわ!
でしたら、オススメがございます。
スタイリストは1枚の紙切れを差し出した。
美容整形外科の割引クーポンを。

シンプルでわかりやすく、絵も浮かびやすいということでしょう。大変気に入っていただき何よりです。作者本人が謙遜するほどに、笑っていただきました。

が、一方、

『争いを知らない国』

旅先で訪れたその国は、争いを知らない国。
疲れ果てた旅人を快く招き入れてくれた。
友になったフレッドが言う。
昨夜、男に妻を寝取られた。
どうすればいい?
僕に尋ねる。
僕は怒りに任せ叫んだ。
殴り飛ばせ。
あの日からフレッドの姿を見ない。
もしかして?
今日もこの国では、争いを知らずに時が流れる。

こういった作品は、意図が深すぎてしっくり来ないという。どれだけ説明しても表情は固く、最終的にも「なるほどねぇ~」くらいのリアクションでした。

極めつけは、

『一寸法師の友人』

近ごろ村へ来る観光客が増えた。
これは儲かる。
一寸法師の友人である男は水上タクシーをはじめることにした。
船出の日。
岸で手を挙げる観光客の姿。
船を寄せると、鼻を摘み逃げてしまった。
次の客もその次の客も。
男は気づいていた。
資金不足でお椀が買えず、納豆のパックを船にしているのが原因だと。

一寸法師という日本の童話文化が浸透していないため、まったく作品の意図を伝えることができませんでした。一寸法師を知っている前提で、そこをフックにネタを展開している作品なので、それが伝わらないと作品の意図なんて伝わるわけないですよね。

海外のコメディを観ていても思うのですが、シンプルだったり分かりやすかったり、大胆で大袈裟で、という表現が多いように感じますよね。その反面、日本にはシュールな作風が受ける部分も多いというか。

ただ、実際に読んでもらって、そのリアクションを感じるのはとても興味深く、気付かされることが多いです、はい。

海外のエンタメとしてショートストーリーをお届けするためには、海外向けの作品を別で執筆しないとダメだな、と痛感しました。

海外で有名なショートショートの作品を読む機会もあるのですが、もちろん日本の翻訳家さんが、日本人向けに翻訳してくれています。するとどうしても、翻訳っぽい文章になってしまっており、どこかしらキザな雰囲気が漂った作品に仕上がっているように感じるわけです。

「なに?」って尋ねればいいところを、「なんだい?」って尋ねる、みたいな感じですね。

海外に向けてエンタメを発信しようとすると、その国の人がどういったことに一喜一憂するのか、それを深く知らないと難しいなと、改めて思いました。

日本なら、例えば明石家さんまさんが言いそうなことを表現すれば、「あっ、明石家さんまさんっぽい」と、共通イメージが作りやすい。ということは、それぞれの国の人たちは、皆さんそれぞれの脳内に、その国で言うところの明石家さんまさんがいるだろうし、そういったツボをたくさん知っていなければ、作品を面白いと感じてもらえないだろうな。

なので、まずは140文字ショートショートを多くの人に読んでもらい、どの作品にツボッてもらえるのかリアクションを見ながら、そのツボについて分析していきたいと思いまーす。

あっ、先日、エブリスタのショートショートコンテスト・テーマ『赤』向けに作品を発表しました。

今回は子どもの世界観で作品を書いてみました。ちょっと重苦しいテーマを背景にしつつも、温かみのあるヒューマンドラマに仕上げてみましたので、お時間ありましたらぜひ、読んでやってください。

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