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言葉のトーン&マナーを揃えれば、世界観を作ることができる。

普段からそんなに偏差値の高い見た目をしていないくせに、雨の日になると、湿気で髪の毛がフニャフニャになり、何とか本来の偏差値に戻さねば、と焦っている自分がたまらなく情けなく感じる梅雨入り前。

「言葉のトーン&マナー(通称・トンマナ)を揃えることによって、世界観を作ることができる」ということを改めて言語化してみようかと思います。

たとえば、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』、西野亮廣の『えんとつ街のプペル』、SEKAI NO OWARIの『炎と森のカーニバル』の歌詞など。こういった作品は、言葉のどの部分を切り取ったとしても、その世界観が染み渡っている。

これはファンタジーの世界を描く際に特に重要なのかもしれないけれど、登場人物の名前や固有名詞などのトンマナが絶妙で、そのフレーズを耳にするだけでも、ファンタジーの世界を感じさせてくれます。

カムパネルラ。ジョバンニ。

ほら、感じますよね。

ルビッチ。プペル。

感じますよね。

ツリーランド。カーニバル。

ほらね。

作中で使用されている言葉の中で、ファンタジーを感じさせるものの占有率が絶妙であればあるほど、その世界に没入できる。まるで自分もその世界にいて、同じ地に立ち、同じ目線で眺めているような気分を味わえる。これって物語を紡ぐ上で、とても重要なポイントなんですよね。

著名な作家の作品を読んでいると、その人が書いた物語だと、すぐに気づくことがありますよね。これは作風って呼ばれるやつで、それとトンマナはまた違った影響を作品に与えているはずです。

じゃあ、ファンタジー以外の作品では、トンマナで世界観を演出できないのだろうかと考えてみる。

たとえば、星新一のショートショートに出てくるエヌ氏。星新一は発表する作品に制約を設けており、そのひとつが「人名をイニシャルだけで表す」というもの。作中の登場人物には、「エヌ氏」や「エフ氏」が多用されますよね。

アルファベットだと日本語の中では目立つからという理由から、カタカナ表記にしているらしいのですが、この表記を見るだけで、何やら未知なる出来事が起こりそうだと感じてしまうのは僕だけでしょうか。

柱の陰から鈴木が覗いていた。というのと、柱の陰からエヌ氏が覗いていた。というフレーズじゃ、受け取る印象がまったく違います。

エヌ氏はいつだって奇妙なアクシデントに巻き込まれそうだし、エヌ氏の行動はどこかで謎を呼びそうだし、そう感じさせてくれる力が、エヌ氏にはあります。

老婆と書くのと、おばあちゃんと書くのはまったく違うし、岬と書くのと、ミサキと書くのも違う。こういった細かいトンマナを揃えていくことこそ、世界観の土台を形成する上で、必要不可欠なんだと思います。

前回のエブリスタの超・妄想コンテストに投稿した『私はあなたの亡者となる』では、裏切りの愛情を描いたのですが、裏切る側の登場人物を漢字表記で、裏切られる側をカタカナ表記にしています。

基本的には主人公である女性の一人称の作品なのですが、表記をわけることで裏切る側・裏切られる側のコントラストを強調しています。

まぁ、これはトンマナとは少し話がズレるのですが、こういう細やかな配慮が、物語の世界観を演出してくれるものです。

さて、6月9日は、阿刀田高の「TO-BE小説工房」、テーマ『キリン』のコンテストの結果発表。皆さんが動物のキリンで攻めてくるかな、と思ったので、意外なテーマで作品を仕上げてみました。

結果発表後に、オンラインで発表しようと思います。

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