冷静と情熱のあいだに生まれた結晶にひき逃げされた話

去る9月4日、横浜産貿ホール マリネリアで開催された774 inc.オンリー即売会へ参加された皆様、お疲れ様でした。

※「774 inc.」がなんなのかとか、どんなイベントだったということは各々ぐぐったりTwitterで #774incオンリー のハッシュタグで検索してみてくださいませ。

6月のサークル参加募集開始時に自分でも申し込みをしており、ありがたいことにスペースも頂戴していたこのイベント。諸々の理由から当日の会場参加を見送らざるを得なくなり、イベント前恒例の参加サークルからのお品書きをまとめたツイートが流れる自分のタイムラインを指をくわえて眺めているしかできない日々を過ごしていました。

そんな中、イベント終了後にこんなツイートが。

以前ツイッター上のとある企画がきっかけで、交流(という名の一方的なウザ絡み)をさせていただいていたフォロワーさん。普段からよくイラストを掲載されていて、今回のイベントにもサークル参加されており、個人的にも作品を直接手に取るのがとても楽しみだったサークルさんでした。

結局私の方が会場に赴くことができず、次回のイベント待ちかなと半ば諦観していたところだったので、とても嬉しいおしらせでした。

※ご本人のBOOTHにて今週末(9/12?)までの期間限定とのこと

早速ダウンロードして拝読しましたが……初読の感想としては、まさに「驚愕」の一言に尽きました。

もう長いことイラストを描かれているらしいとはPixiv等の作品を拝見して思っていたものの、今回が初めての同人誌製作と聞いていたので、まさかこんな高密度な一冊を初作品かつ初参加のイベントでぶつけてくるとは。本当に同人誌はじめて? ほんとに?

テーマにしている配信者やユニットについて知らない人でも楽しんでもらえるように意識したとご本人もツイッター上で仰っていた通り、物語の起承転結がとても明確で、それぞれキャラの立った登場人物たちのテンポの良いかけ合いが非常に読みやすく感じました。導入→事件発生→元凶との遭遇→解決&その後の展開への予感……という、少年漫画や特撮のような王道的な流れを踏襲しつつも、題材そのものや背景にある登場人物同士の関係性への興味関心も持たせられるような作りだなと。

もちろん、既存のファンに向けた(であろう)随所に散りばめられた小ネタやパロディも秀逸なものが多く、ページをめくるたびにクスリと笑ってしまいました。もともと1枚絵のイラストを描かれる方だけあって、1コマごとの表現や描き込みにこだわりが感じられるものが多く、そうした細部へ目を向ける楽しさもあるように思います。

今回作中で個人的に気に入った箇所まとめ。
・北区赤羽774-774
・眼球爆発
・唐突なジョジョ3部
・手動変身バンク(トイレ)
・革靴の刻印
・ポスターにして飾りたくなる裏表紙


何度か読み返してみて思うことは、「なんて同人誌らしい同人誌なんだろう」と。

独特なコマ割りや吹き出しの自由度など、漫画としての表現的な点もそうですが、なにより題材への思い入れと、その題材を自分というフィルターを通して表現をしたいんだという思いがこんなにもストレートに伝わってくる作品に、久しぶりに出会った気がしました。

同人誌(二次創作)は確かにテーマとして下地にする作品があっての創作物ではあるものの、表現したいものは二次創作者自身の思いを形にした、自由なものであっていいと思うのです。

「バーチャルYouTuber」という存在は、その成り立ちゆえに非常に扱いに繊細さを求められるものでもあると思います。それでも、対象を深く理解し、自分なりの形に落とし込もうという意思が伝わってくるような作品は、結果として物語への説得力や登場人物たちの存在感を持たせることにも繋がります。今回の作品を通して、私にはそんな描き手の収まりきらない思いに触れたような気がしました。(あとがきでも言及されていた点に個人的にも共感できる部分が多かったというのもありますが)

正直、今回のイベントに関して個人的にもあれこれ思うところがありましたが、バネさんの作品に触れて、ああやっぱり創作って楽しいなと、自分のスタート地点に立ち返ることができた思いでした。自分もそんなふうに思ってもらえるものが書けたらいいな、と。

鮮烈な同人作家デビューを果たしたバネさん(@Bane3939)、次回作に向けた構想もあるとのことなので、もし現在配信中の作品でご興味を持たれた方は、どうぞご期待ください。

ではでは。

※2024年3月追記

あれから3年、バネさんのシュガリリ漫画もシリーズ3冊を超え、2024年3月現在は最終巻となる4冊目を執筆中とのこと。(3/17(日)開催のななしいんくオンリー4にて途中経過のサンプル版を頒布)

774 inc.(ななしいんく)にも、ファンである我々にも本当にいろんなことがあった3年間でしたが、それでも「シュガーリリック」への変わらない熱い思いを感じさせる「解決シュガっと!」シリーズ。ぜひ物語の行き着く先まで追いかけてみてください。
(私も一ファンとして楽しみにしています……!)

■なめねじコーボー(BOOTH)

>シュガーリリック二次創作コミックシリーズ
探偵「シュガーリリック」の3人が、赤羽の街でさまざまな依頼を解決していく二次創作コミックシリーズ。既刊3作品(最終4作品目の制作中)

#01 解決シュガっと!【Free DL】

#02 解決シュガっと!II【Free DL】

#03 解決シュガっと!III【FreeDL】

>シュガーリリック合同誌
「シュガーリリック」をテーマに、リスナーでそれぞれ制作、寄稿した作品をまとめた合同誌。既刊2作品

【合同誌1弾】SugarRemix!!!【Free DL】

【合同誌2弾】SugarRemix!!!!!【Free DL】


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