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ウナーゴン
2021年10月31日 19:25
河童族の最後の末裔である僕は、山中より転び出るや、濡れそぼったアスファルトに無様に倒れ伏し、腹這いの姿勢で、しばらく動かずにいた。雨上がりの曇天の下、湿った風が吹き抜けるたび、竹林がさわさわと揺れる。顔のすぐ横の側溝を、水がちろちろと小気味良い音を立てて流れている。それは、あの薄暗くて心地良い鍾乳洞——『河童の隠れ里』を出立し、三日にわたる行軍の末、ようやく人里に辿り着いた朝の事であった