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トキワレポート(コラム)

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メンタルヘルスにまつわるあれこれや、家族・子育て、コミュニケーションについて、弊社の経験をもとにつづるコラムです。有料noteでは、より踏み込んだノウハウについてお伝えします。
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2018年8月の記事一覧

親と子供の共通項

精神疾患の有無にかかわらず、子供がなんらかの問題を抱えるときには、家族関係もこじれている場合が多いように思います。このとき親が陥ってしまいがちなのは、親自身の人生の歩みや人間性と、いま起きている子供の問題を別々に捉えてしまうことです。 もちろん親も過去を振り返り、「自分の子育てが間違っていたのかも」「もっとこうしておけば良かった」という思いは持っています。しかし親へのヒアリング(聞き取り)を行っていくと、子供の抱える問題が根深いほど、それを評する親の口調は厳しく、ときに他人

♯021 家族(子供やきょうだい)が違法薬物に手を出しているかもしれない!?

「家族(子供やきょうだい)が、違法薬物に手を出しているかもしれない。どうしたらいいか」という相談を受けることがあります。警察に捕まるなどして、所持や使用が明らかにされている場合を除き、家族は「半信半疑」の心境で相談に来られることが多いです。 薬物乱用の幻覚妄想と、統合失調症の症状は似ている違法薬物の乱用によって、幻覚や妄想が引き起こされることがありますが、これらは「統合失調症」の症状によく似ています。家族はもちろんのこと、本人に関する情報がないと、精神科医であっても誤診

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精神疾患と家族(きょうだいの関係)

押川の著書「子供の死を祈る親たち」でも引用していますが、社会福祉法人横浜博萌会 子どもの虹情報研修センターによる「「親子心中」に関する研究(2)」では、後半の講義録に、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の松本俊彦医師が登場し、自殺対策について述べています。その中に、以下のような記述があります。  三十代くらいの比較的若年者の自殺を見ると、「親が精神障害」「兄弟が精神障害」という人が目立ちました。実際に私が面接を担当した事例では、兄弟が精神障害で、親の関心がそっちば

家族の問題の本質はどこにあるのか

精神疾患をもつ子供の言動に振り回されている家族が相談に来られた際、「あの子さえいなければ……」とおっしゃることがあります。その後につづくのは、たとえば、「他の家族は皆ふつうなんだから、(あの子さえいなければ)一家で仲良くやっていけるのに」とか「もっと仕事に注力できるのに」「夫婦仲がこんなに悪くなることもなかったのに」……などといった言葉です。 本人の言動が家族を困らせるものであることは事実ですが、「あの子さえいなければ」の結果にまで目を向けてみると、「家族の問題」の原因は、