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トキワレポート(コラム)

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メンタルヘルスにまつわるあれこれや、家族・子育て、コミュニケーションについて、弊社の経験をもとにつづるコラムです。有料noteでは、より踏み込んだノウハウについてお伝えします。
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#家族の問題

♯034 「子供のため」という言葉に甘えてはいけない!

弊社では子供の問題行動に悩む親御さんからの相談を受けていますが、よく耳にする言葉に「子供のため」があります。とくにこちらが「(子供への)その接し方はどうなのか」「その対応は誤りだったのではないか」と指摘した際に、必ず返ってくるワードでもあります。 子供への愛情を否定するわけではありませんが、深堀りしていくと、その考え方(思い込み)こそが、子供の問題行動を肥大化させる原因であったりします。 とくに、子供の問題に悩み第三者のサポートを得ようとした際、この「子供のため」思考があ

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精神疾患と家族(きょうだいの関係)

押川の著書「子供の死を祈る親たち」でも引用していますが、社会福祉法人横浜博萌会 子どもの虹情報研修センターによる「「親子心中」に関する研究(2)」では、後半の講義録に、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の松本俊彦医師が登場し、自殺対策について述べています。その中に、以下のような記述があります。  三十代くらいの比較的若年者の自殺を見ると、「親が精神障害」「兄弟が精神障害」という人が目立ちました。実際に私が面接を担当した事例では、兄弟が精神障害で、親の関心がそっちば

家族の問題の本質はどこにあるのか

精神疾患をもつ子供の言動に振り回されている家族が相談に来られた際、「あの子さえいなければ……」とおっしゃることがあります。その後につづくのは、たとえば、「他の家族は皆ふつうなんだから、(あの子さえいなければ)一家で仲良くやっていけるのに」とか「もっと仕事に注力できるのに」「夫婦仲がこんなに悪くなることもなかったのに」……などといった言葉です。 本人の言動が家族を困らせるものであることは事実ですが、「あの子さえいなければ」の結果にまで目を向けてみると、「家族の問題」の原因は、

社会で生きるということ

弊社では現在、ご家族からのご依頼により、数多くの患者さんと携わっています。当たり前ですが、皆さん性格も趣味・思考もそれぞれに異なります。ただ、病名や発症時期、年齢という点で似通っているケースも、中にはあります。 病気の軽重や病状は各々ですから一概には言えませんが、ある方は着々と社会復帰(退院など)に向かって前進し、ある方は一向に退院の目処が立たない……など、入院以降の経過に大きな開きがでることもあります。この開きは、いったいどこから生まれるのでしょうか。 あくまでも弊社の

自分さえ良ければ…

弊社の携わるある患者さんは、入院治療により病気の症状はだいぶ落ち着き、退院の話が出るようになりました。ここまで来る間には、主治医の先生はもちろん、看護師さんやワーカーさんに根気よく支えていただきました。 退院後はグループホームに入居する予定ですが、本人の「あれは嫌、これは嫌」があまりにも多いため、先方からも「お断り」されるなど、なかなかうまくいきません。いわゆるパーソナリティの問題になりますが、病院側は「治療の範疇ではない」と言いますし、一方で施設側からも受け入れを拒否され