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元夫の失踪を機にかつてともに過ごしたちんこを思う【我流英語教室R-18・EXTRA】

 本日配信のメールマガジン

「猥談タウン回覧板」by 佐伯ポインティ

にて、エッセイ9話目を掲載していただきました。

 エッセイの8話目、

で大団円となり、最後に

”なんかこの人、精通から墓場まで、あっぱれ愉快に生涯セックスだなあ、スケールでけぇなあ、と思った。大笑いしながら、もう可愛いと思うしかないなあ、と思った。”

で〆たのですけど、なんか毎度毎度繰り返すようで恐縮ですが、その後またしても彼と別れようと考えてました、今度こそ、真剣に。というのも、

 これを書いた後、ラストの

”でもわたしは本当に、そんな風に調子に乗っちゃう男を眺めているのが、本当に、大好きだったのだ。”

をつくづくと考えていたら、ひょっとしてわたしは、調子に乗る男を眺めるのが好きなばっかりに、じゃぶじゃぶ愛情注いで甘やかして調子に乗せてたんじゃないのか、そういうタイプの男ばっかり選んでたんじゃないのか、というところに行き着いたんですよ。

 下北沢エンデさんが「シャブ北沢」をいっとき名乗ってたことがあったけど、わたしも「シャブ池」なんじゃないのか、まったく健康に良くないけど高揚感あって万能感出るので気持ちいいアレを、万能感に調子に乗る男が可愛い、という理由で無償でじゃぶじゃぶ与えた挙句に「もう好きでいられない」とばっさり捨てるタイプなんじゃないか、そう思って、自分の劇毒性とか有害性とかに初めて気づいたような気持ちになりました。

 バカな男が好きだっていうのは、自分のためにも相手のためにもよくない。

 本当につくづくそう思ったので、「バカで子供っぽい男が好き」という自分の嗜好性もまじで心入れ替えなきゃダメだなあ……と思い、彼とも別れよう、と決心しました。かなり固い決心だったんですよ。

 ところがですね……!

 まーーーったこれと同じようなことが起こってね。ポインティ氏から原稿依頼が来た段階では、本当に彼と別れるつもりだったので「多分、シビアな回になると思うよ」と予告していたのですけど、予告から書くまでの間に話が急展開して、また結論が変わってしまったのでした。

 結論から言うと、来週彼氏がうちに来ます。付き合い始めて3年間、一度もこっちに来る気配を見せなかったから、もう勝手に来る気がないものと決め込んでいたのだけれども、

「いつもわたしがあなたの都合に合わせて全てを調節してる」
「もう、あなたの I will も in the future も聞きたくないの」

 だからもうあなたの目はないよ、そういうつもりでそこまでの言葉を使ったら、ん?あれ?え?えっ?あ……?と展開を凝視してる間に、話の着地が違うところに行ってました。

 人の本性を下種だと深読みし過ぎなんだろうか。I will も in the future も、する気がないただの口先の先延ばしのその場しのぎだと思ってたよ。先延ばしで生まれた刹那の時間の安住を捨てられないのだと思ってた。

 とまあ、なんだかよく分からないがめでたしめでたしのハートウォーミングな話にまとまって、彼は初めてうちの町に来るのですけど、日本語の標識読めないし、うちの町に来るにはそれこそ「頭文字D」的な峠をいっこ越えなければならないので、心配なので隣の街まで迎えに行きます。それ、別れ話直後に自分で申し出ちゃうって、やさしすぎかよ!

 そして「君のパパとママにオミヤゲ、何がいいと思う?」と言うから、「じゃあ、一緒に選ぼうか♡」「wow, good idea♡」ということで、迎えに行ったらランチして一緒にお土産買いますけど、今日両親に「来週彼が来るよ」という話をしたら、「何の土産持たせてやればいいんだ?考えといて」とか親もこっちに投げてくるので、え、何それ、彼から親に行くお土産と親から彼に行くお土産、わたしが両方コーディネートかよ。

 さて、エッセイ本編には、その「バカはあかん」の気づきからえっえっあれ?に至る心情描写をメインに書いておりますので、それではどうぞ。

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カバーフォトは、「みんなのフォトギャラリー」より、Tome館長 さんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございマス!やっぱり館長の絵はすきだなあ。

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元夫の失踪を機にかつてともに過ごしたちんこを思う

 猥談タウンの執筆者の皆さんが猥談バーに集っていた夜、600km以上離れた遠方の自宅で、わたしは元夫の失踪に直面していたのだ。

 なぜ「別れてもなお親しい」みたいな関係じゃないわたしが元夫の失踪を知り得たかというと、彼の連帯債務がこちらに回ってきたからである。元の住所地の同業者の方々に連絡を取ってみると、1回2回しれっと滞納したレベルではなく事業の借金支払い関係全部飛ばして失踪していたので驚いた。数日死にそうな思いをしたが半月ちょっと経過して、覚悟したほど最悪のことにはならなそうな見通しが立ち、落ち着いたところである。事業をやる方々には「失踪より債務整理」、配偶者の方々には「夫/妻の事業の連帯債務、ダメ、ゼッタイ」をお伝えしたい。

 さて、これを機に否応もなく元夫と過ごした日々のことがふうっと心中に甦ってきたのだが、そこでつくづくと思わされたのが、(バカな男が好きであるということは、本当に誰のためにもならないことだ)ということだった。

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