ゆっくり起きていい朝は、いちゃいちゃタイム。

 朝の時間は特に活用するタイプではなく、普通に仕事に間に合う時間に起きて、さくさくと支度をし、出掛ける方だ。休日も同様、出掛けることも多いし、仕事のイベントが入ることも多いし、それほど時間の使い方は変わらない。

 なので、今日はゆっくり起きよう!と決めた朝は、ここぞとばかりに、いちゃいちゃに時間を費やすことにしている。ネコとの。

 うちには3匹ネコがいるが、わたしにぞっこん盲愛なのが、今年で17歳になるおばあちゃんネコだ。生まれて数か月でわたしにもらわれて、それからずっと濃密な関係を築いている。彼女はもともとわたし以外の人間になつかなくて、最近やっと父や母に黙って抱っこされるようになり、ふたりは感激している。他のネコにもなれなれしくすることを許さないので、15年彼女と同居しているおじいちゃんネコは、いつになっても仲良くできない。わたしの結婚中、彼らは2匹でわたしの部屋の中だけで暮らしていたので、体をくっつけ合って寝るようになり、やっと仲良くなったわー、と思っていたら、ただ、環境的にネコ心にも何か生存の危機を覚えていただけだったらしい。離婚して実家に戻り、生活空間が広くなってわたしともふんだんに触れ合えるようになった途端、元に戻った。新入りのコネコは、彼女にじゃれかかると即座にはたかれる。

 そんなわたしオンリーラブのおばあちゃん、子どもの時からずっと、わたしと一緒に寝ている(結婚中の2年間を除く)。夜、わたしが布団に入ると、布団の襟口からごそごそともぐりこみ、胸のあたりで丸くなる。彼女は少々暑がりであるらしく(というか、人間の人肌がネコにとっては高温なのだろうか)、眠る時はわたしと同じ層は好まない。布団の、上から1枚目と2枚目の間に入るのがベストな温かさのようだ。

 しかし、朝のいちゃいちゃタイムにおいては、彼女はわたしの腕の中に入る。腕枕。直抱き。彼女はわたしの肩のところに、両手を揃えてすがる。いいですよ、いたいけな小動物が自分の腕の中にあるの。わたしを腕の中に抱えて眠る彼氏の気持ちはこんな感じなんだろうなと、なぜかネコの彼氏的立ち位置になる。心理的に。

 腕の中に彼女を抱えつつ、彼女の顔まわりを、指先を駆使して撫でる。やさしく。ネコの顔まわりには、気持ちいいスポットがたくさんある。まぶたの上、鼻筋、耳の裏や入口、ひげの生え際の頬っぺたのところ、口の周り、あご先。時々、揃えた両手の先も。彼女は喉を鳴らし続け、目を閉じたり開いたりする。顔と顔とがとても近い距離にあるから、ものすごくアイコンタクト。たまに彼女がわたしの鼻の頭を舐めたりする。

 と、こんな感じで、2時間でも3時間でもいちゃいちゃできるんです、わたしと彼女は!わたしも飽きないですけど彼女も飽きない。途中で布団蹴倒して出て行ったり、しない。お互いの充足感、ものすごい。

 普段は彼女のためにはそんなにたくさんの時間は使えない。そもそも家にいる時間のほとんどは、ご飯食べたりお風呂入ったりいろいろ片づけたり準備したり、寝たりするのに使っている。彼女ももはやおばあちゃんなので、ほとんど一日中動かないで眠っている。一緒にいるのは寝る時だけだが、その時は両者とも眠りの中だ。そんな日常の触れ合い不足を一気に取り返すのが、このいちゃいちゃタイムなのだろう。

 彼女にとってもこの時間は幸せ時間らしくて、いちゃいちゃ過ごした次の日のウィークデイの朝にも、無理矢理腕の中に入って来ようとしたりする。いやごめん、今日はそんな時間ないんだ!そう言って起きるが、そういう姿を見ていると、一緒に寝られなかった結婚中の2年間が、彼女に対して非常に申し訳ない。わたしが離婚して一番ハッピーなのは、彼女なのかもしれない。

 ですので、毎日を忙しく過ごしておられる勤労者の皆さま方、たまの休日の朝は、奥さんや旦那さんと布団の中でいちゃいちゃしてみてはいかがだろうか。夫婦の親密度がアップすること間違いなしだ。お子さんがおられる場合は、お子さんもご一緒に。ワーク・ライフ・バランスを実現するのが難しい現代日本ではあるが、ハッピーな人生の礎はご家庭にありだ。たまには、効率も、時短も、勤勉も、規則正しさも放り投げて、ゆるゆると、贅沢に、いちゃいちゃな時間を満喫するのも、悪くないと思う。

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