Blood A。ていうかあなた、そんなにA型でもない。

 毎日深刻なことを書いていると疲れるので、今日はラフに書く。例によって、彼氏の惚気話だ。彼氏の惚気話を書くのが大好きなのだ。実は、いったん中断した執筆を再開する動機になったのも、人様をはばかることなく盛大に惚気てみたかったからだ。なぜかというと、惚気話はリアルな知り合いに実話ベースですればするほど、角が立っていい加減にしろ感が強まって、反応が冷たくなるものなのだ。文章にして「ちょっといい話」とか「ちょっと愉快な話」的に変換すると、そのいい加減にしろ感が薄まるのだ。なのでこれからも書くが、(トーコいい加減にしろ)感が強まってきた場合は、どうぞコメントください。

 さて、彼氏の血液型はAB型だ。珍しい血液型だよな、と思っていたら、日本以外でも珍しいみたいだ。彼氏は時々血液型の話題を持ち出す。血液型と性格類型の話って日本特有のものかと思っていたので、(へえー、そういう話するんだー)と面白かった。

 ところが先日彼氏の家に遊びに行くと、彼氏が「僕はAB型だから、時々、Blood A が出る時と Blood B が出る時があって、ツカレルんだ」と言い出すのだ。えっ、そんなことがあるんでございますか、そんな器用な、と思いながら、神妙に聞いていた。彼氏が言うには、Blood B の時はラフで愉快な面が表に出てくるのだが、Blood A が発揮される時は几帳面になってしまってなんでもきっちりしたくなるので、とても疲れるのだという。

「だから僕、時々ウルサイデショ。Blood A ダカラ」と述懐するので、うんうん、と神妙に頷いたが、心の中では(あなたそこまできっちりしてない)と突っ込んでいた。なにしろ、「彼氏が緩いので精神的に解放された」という主旨の稿を書いたばかりなのだ。なるほど彼氏はきちんと職場も家庭もマネジメントしているかもしれないが、こちら、『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』(佐光紀子/光文社2017)という本が出版されるほどの国、日本で生まれ育った、団塊ジュニア世代の女だ。

 うちの母の家事オペレーティングは凄くて、台所に余計なものが並んでいないというので大学時代の友人がうちに遊びに来て衝撃を受けたほどだし(使った後は全部収納する)、食器を拭く布巾と鍋釜を拭く布巾は分けたうえ順繰りに使いまわして最後は台拭きに格下げし、父母の肌着は着古した後は10cm四方くらいにカットして使い捨ての雑巾になるのだ。父は父で、「整理は捨てること、整頓は片づけること」が口癖で、新しい職場の事務局長に就任した際、そこの事務所長年の蓄積の書類入り段ボール箱を整理整頓することから着手して会議室をひとつ復活させた、というエピソードを誇る。そんな家庭で育ったものだから、小学生の頃は長期の休みが始まるたびに初日に学習机とその周りを全片付けすることが習慣づいたし、なんでも事前に準備しておくタイプなので大学時代の友人から「超ランドセル」というあだ名をつけられた(「前日に揃える」という意味。彼女は「超チキンラン」だが必ず間に合わせる凄腕だった)。現在に至っては書類のファイリングとPCフォルダの整理はおそろしく完璧にやるし、必要なものにアクセスするのも速い。デリケート衣類を手洗いするほどの繊細さはないが洗濯機のモードと洗剤は変えるし、脱水後の洗濯物をまとめて塊で取り出すのは我慢ならない。料理と洗い物は大体同時に終わる。

 彼氏が「もー、コレ Blood A」と言いながら気にし出した壁の汚れを、「時間があったらオネガイね♡」と言って仕事に出かけていった後にこすり拭きしながら、(そんなわたしはO型なんだが)と首を捻らざるを得なかった。

 彼氏は大学でエンジニアリングを勉強して、飛行機を作る会社で働いていたのだが、別の時に「僕、エンジニアリングじゃなくてアートとかミュージックを勉強すればよかった。エンジニアリングで正確にきちんとやる癖がついちゃったから、ツカレル!」とまたしても言った。んー、そこまで疲れるほど几帳面じゃないだろうあなた、とは思ったが、(もー、僕ってもっといい加減にリラックスして生きたいのに、自分の性格がウラメシイ!)みたいな、そしてむしろ(トーコちゃんてアバウトでおっとりしてて、ウラヤマシイ!)くらいのことは思ってんだろな、と思うと、なんだか超可愛い、と思う訳なのです。

 そんな彼氏は正常位の時いつも、「センターに」とわたしの位置を直すので、(あ、これが Blood A でございますな)と思っている。若干右寄りでも左寄りでも支障なくないか、という気はするのだが、勿論わたしはO型でございますので。

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