「12階の一番奥」な気分から立ち直れない。

 この前の土日は彼氏のところに行ってきたのだが、日曜日の彼氏のお店の中、些細な気持ちの行き違いから、脳内の感情を擬声化すると「うぇぇぇぇぇん!!!」みたいな感じで号泣した。彼氏に「ルミちゃん(※仮名/彼氏の一番下の娘、中学2年生)みたい」と言われた。いや、ルミちゃん(仮名)ですら今ではそんなことしないそうだ、すみません、こちらご高齢女子です!訳を話すように言われたので何とか説明したのだが、彼氏には「あんまりいっぱい考えすぎる」「君、可愛すぎ」と言われた。注、これは惚気じゃないんです。

 多分ものすごく疲れていたところに心を不安にする出来事が起きたので、感情のキャパシティを越えたのだろう。人間、肉体がマックスに疲労している時は、大体ろくでもない考えをし出すものなのだ。そして泣くとまたさらに疲れるものだ。もうエネルギーがゼロパーセントだ、と思ったが、感情が乱れているので、帰り際にありえない感じの場所で一発いたしてきてしまった。なので今はもう体がくたくただ。ちなみに元夫との末期には仕事中に号泣ばかりしていたので、コンタクトレンズを流してしまう案件が頻出した。わたしは裸眼視力が0.02くらいしかないので、コンタクトレンズを片方流すと、車の運転すらできなくなるのだ。帰れなくなってしまうので、そこだけは気を付けた。

 帰りの車の中で、景気をつけよう!と思って、YAPOOS の「ヤプーズの不審な行動」をかけた。ライブCDなので、勿論最初のうちはテンションが上がったのだが、曲が2週目、3週目に入り、こちらも車中でガンガンに歌い出した頃から雲行きが怪しくなった。歌詞にシンクロしだしたのだ。大体、戸川純の歌詞は、「I know this feeling」である覚えがあり過ぎるのだ。愛しい君への讃歌「君の世」あたりから感極まり、早く帰ってきて、と連呼する「オーロラB」でやばくなり、「12階の一番奥」になった時には、歌いながら号泣し始め洟ミズが溢れ出して大変なことになった。暗い山道の一本道で、路肩に停まるのも危険だから、洟ミズ流しっぱなしで運転し続けるしかないのだ。

「12階の一番奥」がどういう歌であるのかは、JASRAC が面倒だから歌詞の掲載をすることはしないが、今が楽しくても翌日はつまらない現実が待ってるから、信じるなんて言ったら怖いから、きれいで甘すぎる嘘ばかりつくあなたのことは信じない、でも、指や唇とかは羨ましいくらいにあなたを信じる、しかもここは窓のない、いつも夜の部屋だし、という歌である。チクショー、覚えがあり過ぎるんだよ、そういうフィーリング!

 彼氏は一番最初の奥さん(日本人)とアメリカで暮らしていたが、「日本に帰りたい」と言う奥さんにうっかり「(将来)帰ろう」と言ってしまったがために、奥さんから「You promised!」と責め続けられる羽目になり、その後様々な経緯を経て、日本に来ざるを得なくなったという。しかし、それがもとで心地よいものでなくなってしまった関係は修復できなかったそうだ。

 それについてはわたしも、(うっわー、そういう毎日はきついな!)と思ったし、(そのやりかたはフェアじゃない)と思わないでもなかったが、わたしはわたしで、「You will not」と、そのうち言ってしまいそうだ。「You promised!」と責められ続けるのもつらいと思うが、醒めた目をして「You will not. I know. You NEVER promise me!」と一言で切られるのも相当つらいと思うのだが、どうだろう。

 そりゃあ勿論、「嘘だと言っていられれば安心していられる」のと同様、「あなたはするつもりはないわよね、そうよね、知ってるわ」というスタンスでいられれば平常でいられるのだが、何度もそこに回帰してしまうということは、結局平常じゃないのだろう。であるが、じゃあ、実際何をしてもらいたがっているのか?と考えると、それが分からないから悩む。男が有能なカウンセラーではない、ということは承知しているが、女だって自分のこんがらがった感情を簡単に整理できるほど心理療法に長けている訳じゃないし、わたしの気持ちはこういうことに起因するこういう気持ちで、だからあなたにこういうことをしてもらいたいの、くらい道筋を提示できたら、それはそれで、至れり尽くせりすぎないか?

 さらには、自分の「男は言うことの8割はやらない。実際にやり出すまで、話だけだと思って放置しとけばいい」というあまりにもシニカルな男性観も、あんまりにも男を信用しなさすぎなんじゃないかという気がしてきたが、これはもうどうしたらいいのか。指や唇とかがあなたを簡単に信じる、というのも真実だと思うが、多分、指や唇とかが脳より優位に活性化している状態下では、「信じない」と考え続けなくていいのだろう。でも、「あなたの体だけ信じてるわ」っていうのも、あんまりだし。結論が出ない。「12階の一番奥」な気分から、どうにも立ち直れない。

アマゾンギフト券を使わないので、どうぞサポートはおやめいただくか、或いは1,000円以上で応援くださいませ。我が儘恐縮です。