年の差恋愛は、ご高齢男女の特権。だから若さにこだわるな。

 年上の子どもっぽい男が好きなのは、昔からのことなので、振り返ってみると吃驚する(ちなみにハゲヒゲメガネが好きなのは、中学生の頃からだ)。

 高校生の時、先生を好きになった。その頃わたしは高校3年生の尻の青い少女だったが、相手は無精ひげだらけの30歳手前、アラウンド中年男だった。くらもちふさこ先生の「海の天辺」が確か連載中で、それを読んでは羨ましさに悶えた。現実にそれをやらかしたら未成年者淫行で教師の方がやばい訳で、だいたい現実ではそうであるように何事も起こらず卒業したが、大学に入学した途端同級生経由で先生が結婚したと知り、初めて自力で酒を買ってヤケ酒した。今にして思えば、30歳になる前に大学時代の同級生と結婚するなんて、なんてまともで堅実なお若い男子だろうと思うが、まあその頃こっちは子どもだから、(オトナの女には勝てない!)と枕を濡らした訳だ。

 時を経て高齢女子になり、親ほど年の離れた彼氏と付き合うことになって、彼氏の実年齢を知った時は正直たまげたが、とりたてて問題はない。彼氏の方も問題なさそうだ。彼氏のこれまでの交際歴を訊くと、これは相当年下好みのおやじじゃないかと思うのだが、どうも本人はそのことに無頓着そうで、以前わたしが45歳の男子と24歳の女子を引き合わせた時にそのことを彼氏に話すと、「僕はちょっと歳が離れすぎじゃないかと思う」と意見を述べた。「あなたとわたしの歳の差と、たいして変わらないじゃないのー!」と爆笑したが、多分彼氏は自分の中では矛盾せずにそう思っているのだと思う。ちなみに彼氏は、「50歳くらいって、父親になるのに最適な年齢だと思う♡」という名言も残した。いや、それちょっと遅いよね。

 ひとまわり年下の女子の友人が最近婚活を始めたのだが、やはり女性向けの婚活界隈での「女は若くないと価値がない」脅迫は苛烈のようで、「30代女子は20代女子には勝てないと思い知れ」という教示がビシバシなのだという。しかし、前述の45歳男子と24歳女子のケースでは、「やっぱり年が離れすぎる」という理由で双方からお断りが入った。女子のみならず男子からもだ。男子の方は彼女の親御さんの歳も気になったみたいで、「じゃあ、何も考えずに年齢だけで本音を言うと、何歳くらいがいいの?」と訊くと、「30代前半」との答えだった。また、ビッグデータを駆使したサービスを展開している「えひめ結婚支援センター」の報告によると、センターが介在して成婚したカップルの年齢差は、平均4歳なのだという。結局は男子も女子も、あんまり年が離れすぎてると、現実的ではないのだ。(そりゃ、確かにな)と思うから、よく聞かれる「男はとにかく若い女が好き」っていう話は、都市伝説なんじゃないかと思う。もしくは、そういう言説を流すことで儲かる界隈の流通させたストーリー。

 そういうことを考えると、20代女子がアドバンテージを持っている男性の年齢層は、せいぜい30代前半くらいまでなんじゃないだろうか。それに、30そこそこの男が「30越えた女はないわー」とか抜かし出したら、「社会人経験10年に満たないくせに、何知ったようなこと抜かしてんだ、あ!?」と上から見下ろしたい気分になるし、一方、50を越えても20代に求婚するような男に遭遇したら、怖いので笑顔を保ったまま穏便に姿を消したい。要するに、あんまり女の若さに拘泥する男に対しては、むしろこちらから距離を置いた方がいいと思うのだ。

 だから女子よ(男子もね)、若さにこだわるな。現実的に上手くいく相手と、現実的にお付き合いすればいいのだ。女子目線で考えたって、10代のうちに年の離れた男と付き合おうとしたって社会的ハードルが高すぎるのだし、結婚して子どもを設けようと思ったら、それなりに若い男を想定してライフプランを組むだろう。お互いが好き合ってやることにくちばしは挟まないが、若い女だけが需要があるみたいな風潮はどうかと思うし、いい年した男性の方も、「価値のある若い女から需要のある俺はまだまだイケてる」みたいな、何往復したのか分からないような反射を経た自己肯定とかは、脱して欲しい。

 年上男性と不倫中の若い女子が「我に返ると、お腹の出たただの中年男で愕然とした」とか「陰毛に白いものが混じっていたのを見た時、幻想が冷めた」みたいな本音を吐露する記事も読むことがあるけど、ご高齢男子と付き合えば、メタボも陰毛総白髪もデフォルトだ。「大人の包容力♡」とかそういうところしか見えてないなら、包容力のある同年代と付き合った方がいい。そうすれば一緒に老いることができるから。そして年上男性の方は、「そういう肉体的衰え」を帳消しにしてくれるような気がして若い女子と付き合うのが嬉しいのかもしれないけど、そういうドリームの中で恋愛をすると「面白うてやがて悲しき」になっちゃうから、その前に自分の「そういう肉体的衰え」に向き合って肯定しておいた方が幸せになれると思う。いずれにせよ、男も女も、年を取れば肉体の方は、肉が増すか削げるか、毛が白くなるか薄くなるか、のどっちかの方向に、行く。

 この間彼氏が、「30年前に出会ってたら、2時間おきに突っ込んでた」とか言うので爆笑してしまったが、30年前だと彼氏は既に中年の入口だが、わたしは未成年者淫行どころか刑法177条が問答無用で適用されてしまうお子さんなので、そこまでいくと、非常にリスキーなシチュエイションである。あと、わたしは問題ないけど親にとってはちょっとショッキングなのではないかと思うから、彼氏の年齢はまだ親には教えていない。そういう側面も、ある。でもまあ、わたしも彼氏ももういい年だし、お互い楽しいので、とりあえず「年の差恋愛が自由にできるほどご高齢になって、よかったなあ!」と思っている。

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菊池とおこ

いちにち・いちとおこ

日記のようなブログのようなエッセイのようなコラムのような。恋愛のことや、結婚のことや、助平なことや、時に真面目なジェンダーのことなどが、主な関心事。
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コメント5件

ありがとうございます!ちなみにいいねのリプライコメント、複数設定しているんですが、何と出ましたか?
そこもコメント欄に書いておけばよかったですね(^_^;)
一瞬の出来事で、「この機能SUGEEEEEE」って気持ちの方が強かったこともあり、3日前の記憶までは思い出せなかった、申し訳ないです(^_^;)
楽しく読ませていただきました(笑)私も結婚前の25歳まで、高校の先生とお付き合いしていて、36歳上だったのですが…
そういう形もありだったと今は堂々と言えます☆
本当に純粋に仲のよいカップルを見ると、
周りがとやかく言う必要ないな〜☆
と思いました(*^^*)
36歳凄いですね!名作『センセイの鞄』的な。わたしは高校の先生とはスタート地点にも立てなかったので、どうやってお付き合いに至ることができたのか、とても興味があります。つい最近、彼氏とはお別れしてしまったのですが、わたしの問題は「年上の男」好きより「子供っぽい男」好きにあるような気がしておりまして。少し自分の嗜好を考え直してみたいと思っているところです。
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