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「新潮社クラブ」カンヅメ体験記

創作大賞2023では『祈願成就』という小説で新潮文庫nex賞をいただきました。
恋愛小説部門での受賞だったのに、がっつりホラー小説です。
だってホラー部門がなかったんですもの! 恋愛要素が入っていればいいって書いてあったんですもの!(意訳)
そんな恋愛小説の皮を被ったホラー小説がこちら。

改稿を重ね、応募時点から2倍弱(1.8倍くらいでしょうか)にボリュームアップしています。恐怖もボリュームアップ。恋愛も……まあ多少増えた……かな。
もはや作者自身、原型の記憶がございません。
応募作を書いていた頃には思いつかなかったエピソードが追加されましたが、今となっては、もしかして私は最初からこれを書きたかったのかも、と思うまでに記憶が改竄されております。

さてさて、その『祈願成就』のゲラチェックの段階であるご提案をいただきました。

新潮社クラブという作家の缶詰用の家がまだ空いているので、著者校正の仕上げで集中していただくことも可能です。とのこと。

カ、カンヅメ!? あの、憧れの!?
ていうか、家!? 部屋じゃなくて!?

ハイテンションのまま「興味あります!」と前のめりにメール返信いたしました。
そりゃ行くでしょ。行かない選択肢はない。

そして、神楽坂にある庭付き二階建て一軒家へ。(あ。外観を撮影するの忘れた……)

お部屋は一階と二階、それぞれ別の利用となるそうで、今回は一階のお部屋。
引き戸を開けて家の玄関に入ると、奥に管理人さんのお部屋、左手に二階への階段。右手には引き戸。この右手のお部屋にお邪魔しました。

引き戸を開けると、三和土と式台。まるで旅館のお部屋の入口のよう。
そして、お部屋の戸を開けると……

新潮社クラブ 一階

中も旅館!!(家です)

お庭も素敵です。

新潮社クラブ 庭


お部屋でもお庭でも編集者さんに記念撮影していただきました。
(仕事しに来たのでは?)

その後ちゃんとお仕事しました。
ご相談したい箇所についていろいろとお話しできました。

その後、ランチを食べに行くことになり、それならばと社食に行ってみたいとお願いしてみました。
神楽坂でのランチも惹かれますが、新潮社さんの社食なんてこんな機会でもないと体験できないじゃないですか。
というわけで、社外の者でありながら社食体験させていただきました。

メニューは日替わり定食ひとつのみという潔さ。
優柔不断な私にはありがたいことです。好き嫌いもアレルギーもないので、どんなメニューでもどんとこい!です。

この日は、八宝菜と油淋鶏。
大変美味しゅうございました。

新潮社 社食 日替わり(八宝菜、油淋鶏)

おいおい、いつになったらゲラチェック始めるんだよ……
ってなわけで、新潮社クラブに舞い戻ってまいりました。

いよいよ一人でカンヅメです!!

広いお部屋で、ぽつんと掘りごたつに入り、赤ペン片手にゲラを繰ります。


お茶菓子まで用意されています。

お茶菓子

可愛らしい猫もなかは神楽坂の梅花亭さんのものだそうです。


至れり尽せり。住みたい。

なお、宿泊できるそうです。
カンヅメ部屋としてより、地方から来られた方の宿泊や取材や会議で使われるとおっしゃっていたような。

快適空間のおかげでしっかりお仕事できました。
少し行き詰まると、立ち上がって室内をぐるぐる歩き回ったり、ガラス戸を開けてお庭の空気を吸い込んだり。そしてまた掘りごたつに潜り込んで続きを。

初めての場所とか広い空間ってそわそわしちゃうのですが、こちらのお部屋は本当に落ち着いて過ごせました。

帰り際にふと気づいたのですが、珍しい天井でした。
写真を撮ってみたのですが、わかりますでしょうか?

平らじゃないんです。
屋根みたいに斜めになっています。
平家ならまだわかります。でも二階もあるのに。まさか二階の床が斜めなわけないし。
ちょっとおもしろい天井だなと思いました。


カンヅメとはいえ、実際には閉じ込められるわけでもなく出入り自由だったわけですが、こんな体験をする日が来るなんて、文字通り夢にも思いませんでした。しかも、こんなに素敵なお部屋で!


思えば、『祈願成就』というタイトルで受賞し、単著デビューとなるのはなんとも不思議な気分です。言霊の力とでも言いますか。
まあ、内容はホラーな祈願成就なんですけどね。

『祈願成就』はnote掲載のものよりも怖くおもしろくなっているはずですので、楽しみにお待ちいただければ幸いです。

詳細が決まりましたら、またお知らせいたします。