ドイツで漫画を読んでいたら1万キロ離れた横浜で米米CLUBのライブにいた

先日行われた米米CLUBの全国ツアー、Wild Soul Carnivalの千秋楽2Daysに行ってきました。ドイツから、片道30時間、往復約2万キロかけて。それがあまりに楽しかったので、その顛末と感想を当時のぐちゃぐちゃな情緒のまま記録する次第です。

ことの起こり

2ヶ月前の2023年6月、広島のG7が終わり、まだプーチンと袂を分かっていなかったワグネルがバフムートを掌握し、新たに発表されたドイツのGDPが3%減で景気後退局面に入ったというニュースが流れていた頃です。職業柄、独/英語のニュースは目を通しておかなければならず、でもさすがに気の滅入る記事ばかりで気分転換に何か楽しいものが読みたい!と日本語メディアを求めてネットを徘徊しているとき、とある漫画に出会います。

(*JASRACの公開期限が切れてしまったために残念ながら元のツイートは削除されています。作中の歌詞引用を削除したバージョンはこちらから見れます↓)

私自身はナードではあってもオタだったことはなく、「推し」という感情も理解出来ない種族でしたが、友がひとり、まるでジェットエンジンで自らを加速させながら坂を転げ落ちるように鬼滅沼に突っ込んで行ったのを見ていたため既視感にふにゃふにゃ笑いながら彼女とこの妙に心に残る漫画を共有していました。

6月3日に送ったメッセージ。このころはまだ平和だった…(情緒が)

そこからひとしきり二人で、この漫画のオタ解像度がいかに高いか、共感しかない、推しの良さみを人に伝える幸せとそれをお裾分け出来る喜びを心から噛み締めてる感じがして読んでるこっちまで幸せになる、人に伝えるぞって気合いがすごい、絵に愛情が込められまくってる、絶対これ描いてるとき早口、だよね沼に落ちてるオタの熱量の高い語り…好き、うんあれほど身体に良いものはない、オタの熱量確実に世界を豊かにしてる、など(スターダスト先生、好き勝手申し訳ございません…)7時間の時差を超えて楽しく語り合い、やぁいい気分転換になったと満足して眠りに落ち、、、

られませんでした。

ふとんに入って目を閉じても漫画に描かれていた「石井さん(特に3〜4ページめの計4コマ)」が脳裏から離れず、ちょうど翌日が日曜だったこともあって「もう一回だけ読もう…」とラップトップをベッドに持ち込み、読んでいるうちに沼落ちの経緯を解像度上げて味わいたくなり、「〇〇はいいぞ」「△△を見てください」と書かれていた曲名の動画を夜が白んで寝落ちするまで検索。折悪しく(良く、か)大きめの案件が終わったばかりでスケジュールに余裕があったため翌日からは布教用に公開されてた「個人的おすすめ(未見の方は下記Pixivリンクをどうかご覧ください)」もライブバージョンも含めて視聴(あとから知りましたが動画のほとんどは助六さんが共有してくださっていたものでした。本当にありがとうございます、その節は大変お世話になりました)、気がついたらどっっっっぷり米米沼に落ちていました。

それ以降の経緯は漫画とほぼ寸分違ず同じです。昼夜の別なく動画を漁り過剰摂取になっても検索を止められないせいで誰かに話さずには正気を保てないけど社会性ゼロの性格を矯正しないまま今まで生きてきたツケで友達超少ないそもそも日本人の友達ほとんどいないイタリア人にイチから説明する精神的余裕などもうないそうだオタ耐性のある友、ジャンル違いだけどヤツなら、ヤツなら聞いてくれるはず!!!

最初のエンカウンターから4日めの一方的な情緒の押し付けです

出口を得て落ち着くかと思われた私の情緒ですがもちろんそんなことはあるわけもなく

沼落ちの手本のような見事な転落ぶりだと褒められました

逆に水嵩の増した川の堤防が決壊するようにその一人に向かって、ド新米の膨れ上がった米米愛がなだれ込んでいきました。マジでただの災厄。聞いてくれた上に友達やめないでいてくれて本当にありがとう…

5日目の朝
まだ曲を聞いていただけの頃で事実誤認が色々
実際はこの100倍ぐらいのテキスト量を送りつけています
「おすすめの曲教えて」と言ってくれた友へのリアクションです
昭和の名曲をカバーしたシリーズを浴びたあとの情緒です
限界

友からは「ぜひコンサートに来い」「オタク心という鉄は熱いうちに打つのが最高」という先達としてのありがたいお言葉を賜り、私の心もそれに傾きかけてはいたのですが、このご時世で(コロナ禍で減った便数)x(ロシアのウクライナ侵攻による原油代の高騰)x(やっぱりロシアのせいで長くなった飛行距離)x(空前の円安による海外旅行客の急増)x(欧州がバカンスシーズン)の数え役満で航空券代は発狂。どれほど沼の深みに落ちていようがおいそれと払える値段ではなくなっていました。

その時に撮ったスクショを消してしまったのでこれは今日付の値段です。でもずっとこんなもん(1EUR=158JPYぐらい)
欧州から日本に来ようとするとこの経路か北極圏経由

そこから1週間ほど、理性と銀行の残高と壊れた情緒が繰り広げる三つ巴の中で寝不足になりながらおはようからおやすみまで米米を聴き合間にオタ友に米米愛を送りつける日々が続きましたが

奥さん米屋ですは後世に語り継ぐべき名作ですよね。きちんと切ってる上下、五人廻しぐらい多い登場人物の完璧な演じ分け、なにより女性を演じるのに裏声を使わないところに感動しました

中毒日課のように1日に何度も見ていた漫画の作者様であるスターダスト東雲先生が秋頃に新刊と、既存の上下巻を一冊にまとめて出すことを知り、もう一つの性癖である物理的所有欲が抑えられなくなってプロフィールに記載されていたマシュマロから連絡してしまいます(現在はリンクは削除されています)。

「推し活の恩師の作家様にマロ送るとかもうオタク中のオタクか」とめちゃくちゃ笑われました

これが決定打に。

「予定でおります」とは書いていたもののこの時点で航空券はまだ取っておらず、まぁ行けなくても仕方ないかもしれないよねと理性が勝ちかけていたのですがスターダスト先生のあまりに有難い返信に理性も残高も脳から消え失せ、残っていたのは「推し様に会える!!」という高揚感のみ。

8月は既に8日からの仕事が決まっていたことから、6日夜羽田発でドイツに戻る便を抑え、最後に残った理性をかき集めてオタ友に5日の公演 *のみ* 購入を懇願(ぴあは日本の携帯を持っていないとアカウントが作れず、買えません。公式様まじで海外にファンがいないと思ってます?!)。すると、返ってきた返事がこう

「本当に1日だけでいいのか」「ツアー最終日の公演は特別だぞ」

こうして腹を括り、スターダスト先生に返事を書き(テンションがおかしくなっている自覚はあったので不審者だと思われないようにと気にするあまり、実名からLinkedInから開示して危うく住民票の写しまで添付するところでした。そんなもん送りつけられても困惑するだけだと今なら分かります)、航空券を買い(カードの請求書はまだ見れていません)、急な帰国を親に連絡し、当日の連絡手段としてツイッターのアカウントを作り、思い出したようにまだ残っていた案件の準備と、壊れた情緒で不整脈になってもライブを生き抜ける体力づくりと(色々間違って2000m級の山に登りました)”Wild”みのある推し活服探しと(コロナ禍以降初めて洋服を買いました)、ツイ活を同時並行で行い、ただでさえ急勾配だった推しの坂をニトロブースターでもつけたような加速度で転落して行きます。

この時点でまだ6月。ツアーファイナルまでまだ1ヶ月以上あるのです。。。

次回
1、先輩ファンの皆さまがとんでもなく優しい
2、1日目(壊れました)
3、2日目(更に壊れました)
の3本です。