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カスタマーサクセスにおけるチェンジマネジメントの重要性

この記事はカスタマーサクセス Advent Calendar 2018 22日目のエントリーになります。準備ができると思って後の日程を選んでしまったのですが、アドベトカレンダーが進むごとにCS界隈で実績を積まれている方々のエントリーを読んで、先にやっとけばよかった・・・と若干後悔しています(笑)

腹をくくってアウトプットファーストということで過去のカスタマーサクセス の経験のなかで大事にしていた点を書いていきたいと思います。

自己紹介

新卒でLotus Notesのインフラエンジニア → 情報システム部門でOffice365やboxなどクラウドサービス担当 → boxのパートナーとしてカスタマーサクセス マネージャー → 現職 LINE WORKSでCustomer Advocacyを担当しています。ずっと一貫してコラボレーションシステムに関わっています。

本記事の対象者

BtoBクラウドサービスのカスタマーサクセス に取り組み始めた方や興味がある方に向けての記事になります。
特に、クラウドサービスの導入先が情報システム部門で、その先にサービスのエンドユーザーがいるというケースを想定しています。(下図で言うと赤矢印)

情報システムとカスタマーサクセス を2つ経験したからこそ、重要と思うポイントについて書きます。

本題に入ります。

導入後の利用者の感情

また情シスが使えないシステムを入れた、金の無駄・・・(不信感)」
「本当は便利なシステムなはずなのに、制限かかりすぎてて、使えない(反発)」
「うちの情シスはいつも忙しそうで、使い方とか相談できる雰囲気じゃない(諦め)」

老朽化しているシステムをリプレースし、最新のクラウドサービスを導入して便利になったはずなのですが、実際に企業から聞こえてくる利用者の声はこんな感じです。

では、果たして情シス側はどう思っているんでしょう?

「うちのユーザーはITリテラシーが低いので教えても使いこなせない
「機能制限を付けておかないと、絶対に操作を失敗して情報漏洩をおこす
「教育する時間がないので新機能は展開できない
「導入はしたけど、教育や利用促進は自分の仕事じゃない(ユーザーが使おうと使わなかろうが関係がない)」

見事に、相反していますね。
このまま放置するとどうなるでしょう。

エンドユーザーが普段使っている便利なサービスを契約して使い始め、同じ機能を持つサービスが乱立し、情報の壁ができナレッジが共有されない。部分最適が進んでしまう。
そのうち上層部から効果がないサービスは解約しろと通達がある。

そして解約

利用者は「ほらやっぱり・・・」と、ますます不信感と反発を増す悪循環におちいります。

カスタマーサクセスに関わる方であれば頭を悩ませる「あるある」課題かなと思います。

さて、何がいけなかったのでしょう?

一因として、チェンジマネジメントの取り組みがなかった/不十分だったことでアダプションに失敗したことが挙げられるかもしれません。
この「チェンジマネジメント 」をいかにオンボーディングの際に、お客様に理解していただき実践して頂くかが、アダプションを成功させる肝だと思っています。

そこで、ここからはチェンジマネジメントの実践ポイントについてまとめます。

チェンジマネジメント とは?

日本語では「変革管理」とか「変更管理」と訳されます。
企業において業務改革などの新しい変化において、変化に対応できるようマネジメントする手法のことです。
人は変化を嫌う生き物ですので、そのまま業務改革を強引に押し進めようとするとレジスタンスがあらわれて改革は失敗に終わることも少なくありません。


チェンジマネジメント の目的

ユーザーが変化を受け入れ、成果をあげることです。カスタマーサクセスマネージャーは、そのために支援を行い、ユーザーのROIを最大化させるよう取り組むことが必要になります。

チェンジマネジメント の具体的な活動

カスタマーサクセスマネージャーが支援するべき「管理者が取り組む具体的な施策」は、大きく下記の4つになります。

1. ビジョンとシナリオを策定する

お客様の「サービスを導入して得たい成果」を抽出し、その成果を達成するためのジャーニーマップを作りましょう。また、この時点でプロジェクト推進の体制づくりとエグゼクティブの理解・支援を得ることもポイントとなります。

具体的なアクション
・現状と目指すべき将来の姿に基づくビジョンとシナリオを策定する
・エグゼクティブスポンサーの明確化と活動
・パワーユーザーの選定と支援
・プロジェクトチームの立ち上げ

2. ユースケースと適用計画の策定

コラボレーションシステムなど社員全員が利用者として使うサービスの場合、ユースケースは1つではなく利用者1人1人違います。各利用者に”自分ごと”として考え業務に組み込んで活用して頂かないと成果は挙げられません。そのため、ユースケースの作成した後、利用者へのプロモーション活動も必要です。メールで一斉送信や掲示板への掲載のみでは浸透しません。
よくある解約理由の一つに、ユースケースが偏りがあり一部しか浸透せず効果が見込めなかった、ということもあります。

具体的なアクション
・ビジョンとシナリオに基づくユースケースと成功指標の定義
・パワーユーザーとユースケースについてディスカッションし、ユーザーがメリットを享受できる条件を整える
・エンドユーザーとのコミュニケーション、対応方針を明確にする
 (コミュニケーションの種類は、システム導入の説明会、機能についてのトレーニング、社内プロモーション活動などです。また、機能リクエスト・クレーム・使い方相談などをどこまで対応するか基準を用意しておく必要があります。)

3. リソース確保と適用計画の実行

コミュニケーション計画を実行していくフェーズです。トレーニングは、情報システム担当の方は、自分の仕事ではないと思っていることがあります(私もかつてそうでしたが・・・)。(繰り返し同じこと聞かれるし、いつでも利用者の方々の問い合わせは「緊急」「業務影響がある」。利用者が使いこなせるようになっても、評価される仕組みがないので優先順位が下がりがち)
だからこそ、「1.ビジョンとシナリオを策定する」でエグゼクティブスポンサーを巻き込み、ビジョンと共にプロジェクト体制を組むことが大切なんです。
クラウドサービスをいれたからといって、勝手に変化は起きません。万が一起きたとしてもゆるく効果が薄い変化です。しっかりトレーニング・説明会を実施して変化をおこしましょう。

具体的なアクション
・プロジェクトチームのキックオフを行い、パワーユーザー、エグゼクティブスポンサー、サポートなどのプロジェクトメンバーで認識を合わせます。
・ユーザーとのコミュニケーション計画の展開
・トレーニングと各種説明会の実施
・プロモーションの実施
・FAQの展開

4. 評価、成功事例共有と反復

最後は、展開後の評価・改善です。利用者へアンケートをとる、ヒアリングをするなどして声を広い、製品へのフィードバックや体制の改善などを行いましょう。また利用者から成功事例を抽出し、その成功事例を社内で横展開し進めましょう。成功事例を展開するときには、メーカーからでもなく、情報システム部門担当からでもなく、成功した利用者の方自身で語ってもらうことが最も効果があります!利用者の方からすると、メーカーもシステム部の方も信用ならんのです、信用できるのは一緒に働いているメンバーですよね。

具体的なアクション
・ユーザーの反響と成功事例の分析
・アンケートの実施
・社内成功事例の横展開
・改善点の確認
・目標に対する評価

最後に

チェンジマネジメント の重要性について少しでも感じて頂けたら幸いです。
カスタマーサクセスの施策を考える際に、顧客のチェンジマネジメントについて是非考えてみてください。

顧客にチェンジマネジメントの重要性を理解して頂く施策としては、ウェビナー、オフラインセミナー、勉強会、色々あるかと思います。

「変わりたくない」という本音を持つユーザーの働き方を変え、顧客へ成果を届ける(サクセスに導く)ことこそカスタマーサクセスマネージャーの役割と思っています。

最後に私がいつも青本より教科書にして読んでいる「カスタマーサクセスジャパン」のカスタマーサクセス マネージャーがチェンジマネジメントをリードすることについて書かれている記事を紹介します。