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ハワイの恋が終わり苦しみの先に、悟りへの道が開けた 9

第二章 9 マノアの滝から始まった


ホノルル市マノアの滝トレイルの入り口

マノアの滝は、ワイキキの山側に位置する、マノア地区の山間部にある滝だ。片道30分くらいの山道を登り、帰りは同じ道を引き返す。比較的簡単なトレイルルートだ。

うっそうとした木陰なので日中でも暑すぎず、マイナスイオンが立ちこめる。聖地と呼ぶ人もいる、人気の場所だ。バスでも行けるが、マイカーならハワイ大学のあるユニバーシティアベニューの道の名前がオアフアベニューに変わってから、マノアロードに入る。大きな有料駐車場が完備されている。ここにりさは以前1度来ていた。

いつものようにスピリチュアルな話、斉藤一人さんや中村天風さんの話を聞きながら、マノアに向かった。マノアの滝は、入り口に、レインボーツリートップという名のレストランがある。以前は、先にある駐車場に車を駐めた後、戻ってレストランのビル一階で、駐車場の料金を払うシステムだった。最後のきれいなトイレとなるお手洗いに行って、準備万端。

こんな小さなシステムも、りさがいるから迷わず簡単に済ませられて、山へと向かえる。

入るとすぐに、うっそうとした日本にあるモンステラの20倍の大きさの、トロピカルな木々に囲まれた涼しげな道を歩き、閉じかけて見える門の向こうに入っていく。カラジューム、カラテア、サンスベリア、とっくりヤシ、フォラセナ。ここは雨が降ることが多く、湿度が高い日があるが、そのおかげで、森が濃い緑で生き生きとしている。ありとあらゆる熱帯の植物が、時には鮮やかな花を付けて、実を付けて生えている。ハワイは毎日スコールが降るような亜熱帯ではない。トレードウィンドがさやさやとふき、夏でも涼しい日が多くある。11月から3月の雨期には、ウールのセーターが欲しくなる日もある。大抵の旅行者が、カーディガンを買う羽目になる。時折、野鳥の緑色のオウムの鳴き声が響き渡る。最後の方は、少しのぼりではあるが、徒歩で片道30分弱の道のりの、マノアの滝ルートは、比較的簡単なので、若者はビーチスリッパで来て軽々と歩く人もいるし、道に迷うことがないので、観光客も多い。りさとクリス牧師は、上りになると道が狭いので、並んで登れない所が多くなり無言で登る。ようやく滝についた。感激するほどでもない小さな滝だが、目的地があるトレッキングは達成感がある。 

Manoa Fall Trail の入り口近くの熱帯植物

  

マイナスイオンをいっぱい浴びている感じがして、気持ちが良い。お互いにお付き合いしている人がいる状態だから、二人の写真は撮らない。私は、しばらく龍一には会っていないが。

帰り道は、滑りやすい所もあったりして、クリス牧師が手を差し伸べてくれた。私は、もういいやと思い、クリス牧師の手を握った。

もういいや、とは、クリス牧師の気持ちが幸子さんから離れているから、(もういいや、手ぐらい繋いじゃえ)とか。それより、クリス牧師が、りさに気持ちを戻したのがはっきりした瞬間だったのかもしれない。その後の平たんの道も、ずっと手をつないでいたのだ。

お互いに無言だった。

 帰る途中にクリス牧師は公園の横に車を止めた。そこで二人はキスをした。


マノアの滝が見えてきた

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