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オンラインオープンキャンパス2021でやりたかったこと

コロナな時代なので、私の勤務する長岡造形大学では去年からオープンキャンパスがオンライン開催になりました。
長岡造形大ではオープンキャンパスに来て受験の意思決定するって人が多いというデータがありまして、オープンキャンパスに来て何かを得たり魅力を感じていたものがオンラインになって損なわれないようにしたいな。と思いました。

オープンキャンパスで得られるもの

オープンキャンパスで伝えている情報は

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・試験に関する情報
・学校、各部、学科の紹介
・設備の紹介
・教員の紹介
・学生の作品展示
・模擬授業
・制作デモンストレーション
・ワークショップ
・個別相談(教員、先輩)
・学生生活紹介

このあたりはパンフレットやwebサイトで100%ではないにしても文字や画像映像である程度見せられるので、良い悪いは別としてオンラインでも対応しやすそうでした。

しかし、過去の対面で行っていたオープンキャンパスで得られる情報は

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・教員、職員、先輩学生の雰囲気
・対面で実際に話してみた感覚(距離感、身振り手振り)
・学校内の雰囲気
・校舎内を歩いての体感
・実際にその場にいることでできる未来の想像
・学食で何か食べてみる経験
・学生と教員との関係(何気ない会話を見かける)
・周辺環境を実際に見渡す(駅から学校まで移動してみるなど)

という雰囲気とか感覚といった感じる部分もたくさんあり、心を動かす部分はこのあたりが重要な気がしていました。そして、このあたりはオンラインで再現が難しいとも思っていました。

2020年度オープンキャンパス
はじめてのオンラインオープンキャンパスということもあり、手探りでバタバタした期待と不安の入り交じった状況でした。
長岡造形大への進学決定の理由としては「公立だから(学費が安い)」という理由が上位に来ます。経済的な理由があるのであれば、オンラインのオープンキャンパスは交通費・宿泊費がかからない為、チャンスとも言えます。

しかし、実際は従来のコンテンツもオンラインで行うにはさまざまな問題があり模擬授業やデモンストレーション、ワークショップの数が減り、作品展示もなくなりました。

個別相談は従来は大きな部屋に学科ごとのブースが作られ、その場で受け付けていたので、遠くから様子をうかがったりすることもできたのですが、オンラインでは事前に予約をし、どんな人と会うのかわからないまま、時間になると1対1で教員や先輩学生と対面するという緊張感ある状態でした。人がいっぱいいる空間ではなく2人だけのZOOMの中は、もうほとんど面接のような感じで、原因はこのあたりかと思いますが個別相談の参加人数もかなり減りました。

2020年以前の取り組み

ちょっと余談ですが、以前からオープンキャンパスでは学内での展示を行ってきました。

2018年「デザイン魔展 in Nagaoka」

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2019年「浮遊展」

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当時は「高校生が喜んでくれたらいいな。」くらいの考えでしたが、学生と一緒に制作したインタラクティブな作品展示をすることで、展示を楽しむだけでなく、操作を説明したり案内する為に先輩学生と自然とふれあえる場になっていたと思います。

2020年ゼミでの取り組み

オンライン開催となり、前述の「雰囲気とか感覚といった感じる部分」を伝えるコンテンツを発信したいと思ったのですが、学校や学科では総意を得て動くと意思決定の時間がかかってしまうこともあり、身動きしやすくするためにゼミ単位で独自に行うことにしました。

ゼミにはものすごーく意欲的な学生が多く在籍してくれていたおかげで、コロナで学内設備も使いにくく集まりにくい状況にもかかわらず多くのコンテンツが生まれました。
ここでは正確な情報を伝えるのではなく、大学の雰囲気を伝えることを目的とし「楽しそう」「いろいろできそう」「関係性が良さそう」「おもしろい人がいそう」といった感覚を大事にしました。
(まだ公開中のコンテンツもあるのでぜひ見て!)

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ポジティブな意見が多く集まり、その後も入試の前には少しアクセスも伸びていたので基本的にはうまくいったと思うのですが、この年の最大の失敗は、大学が行うオープンキャンパスに対して、ゼミ独自に勝手に行う企画として「ウラ」と言ってしまったこと。その為に、オモテである公式からのアナウンスがしにくくなってしまいました。完全私の大失敗でした。みんなごめん。

2021年ゼミでの取り組み

学科全体の総意ではないゼミ単位での独自の取り組みであることを明示するために「トクヒサゼミ Presents!」として行いました。

引き続き、感覚的に雰囲気を伝えるコンテンツを意識し、学生目線で親しみを持てるように学生自身がアイデアを出し取材し制作しました。期待以上に雰囲気が伝わるコンテンツになったなーと思っています。

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アイデア出しの際、キーワードになったのは「こんなオープンキャンパスはいやだ」。ネガティブなアイデアは捉え方によって非常に尖ったアイデアに転換できる発想ができました。
例:個別相談でめちゃくちゃ怒られる
→怒られたい人必見!超辛口講評会!
例:先生が自信なさそう
→専門分野じゃないことを説明してもらう
といった感じですかね。実際のコンテンツ紹介

カンで専門用語解説
先輩が自分の分野以外の専門用語にこたえてもらうコンテンツ。その後、自分の専門分野での作品紹介やメッセージ掲載されています。
まちがった答えを言う先輩をバカにしたようにも見えますが、多岐にわたる視覚デザイン学科の専門性の広さと、全てに通じる訳ではなく学年が上がると専門性高く特化していく様子が見られるコンテンツになったかと思います。
専門用語について正しく知識をつけてもらうことが目的ではなく、無茶ぶりされてる先輩の人柄や雰囲気が伝えられたかな。
キラキラなかよしプロフィール帖
視覚デザイン学科の先生紹介コンテンツですが、フォーマットは小学生くらいにみんなが通った記憶のあるプロフィール帖。
正しく先生の情報を見るのは大学のサイトなどにまかせるとして、ここでは公式では伝わらない人柄や雰囲気を伝えられたらいいな。と思ってましたが、ボケたい先生、天然?な先生、まじめな先生と、思った以上に性格が出てきてより親しみを感じるというか、二度見三度見してしまうおもしろい結果に。
一言メッセージの動画で実際の姿も確認できて、個別相談や面接で会う前の緊張を和らげるコンテンツになったようです。
トンデモ!夏休みの大冒険ミステリー!
仮想の大学内を歩きながらヒントをもらって謎を解く独自で開発したゲームコンテンツ。ですが、もろもろの事情があってまだ公開されていません。楽しみにしてた人いたら申し訳ないです。今しばらくおまちくださいませ。
高校生の為のコンテンツを作ってますが、ゼミでの学生の学習の場でもあります。という目線で見ると公開できない状態になったことで、制作リーダーはものすごく得がたい体験をできたとも思えます。仕事であれば大問題ですが、こんなこともあるよね。と暖かく見てくださいませ。
夜のオープンキャンパス
ZOOMを使ったオンラインイベント。ブレイクアウトルームに先輩2名を配置してトークテーマで話してる様子をラジオを聞く感覚で視聴してもらう企画。高校生には匿名カメラオフで参加してもらって、質問やリクエストはチャットからもらうスタイル。
参加のハードルがかなり下がったことで、質問も多く大成功でした。
これについては別のnoteに記事を書きました。

2021年OCを終えて

特に「夜のオープンキャンパス」がうまくいったことで気づけたこととして、オフラインで行っていたオープンキャンパスと同じことをオンラインに持ってくるのではなく、オフラインの時に高校生がほしかったことが何かを考え、それを伝えるコンテンツをオンライン上で再構築する必要があると感じました。

回収できた約100件のアンケートを分析すると

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「先輩・お話・聞ける・本当に・ありがとう」「先生・プロフィール・楽しい」「大学・実際・雰囲気」などが結びついて多く出てきており、公式のオープンキャンパスに対して、感覚的なことや雰囲気を感じてもらうという目的はある程度達成できたんじゃないかと思えます。

高校生にとってオープンキャンパスが重要なイベントということで、良い情報と体験を届けたいということが前提なんですが、制作してくれたゼミの学生にとっては自分や先生の脳内で想定された課題で自由に設定したターゲットではなく、実際に存在するターゲットに対して有効なコンテンツを考えて企画制作し実行すること。さらに行ったことに対してリアクションをもらえるのは単純に楽しい体験なんじゃないかな。と思っています。

高校生も喜んでくれたようですし、私自身もめちゃくちゃ楽しかったのですが、ゼミの学生も制作のしんどさと同時に楽しんでくれてたらいいな。

来年も何かやりたいと思います。
おたのしみに。




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