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ソーシャルゲームの話題性ー闇があるとウケがいい?

スマホで気軽に、基本無料で遊べるソーシャルゲームとユーザーは年々増え、その数は文字通り数え切れないほど。
そして、そのほとんどにはゲーム性の他に独自のキャラクターやストーリーが付随します。
SNSトレンドでは、ソシャゲの新規情報の関連ワードがトップを総なめする、なんてこともザラにあります。

今回は、そんな数多のソーシャルゲームの中でもセールスランキング上位の常連の5作品をピックアップして、流行る理由をそのストーリーに注目して考えていきます。

流行りのソシャゲのストーリーを見る

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まずは数多のソシャゲの中で恒常的にセールスランキングにいる作品を見てみましょう。
今回はあんさんぶるスターズ!・ディズニーツイステッドワンダーランド・魔法使いの約束・アイドリッシュセブン・スタンドマイヒーローズの5作品のストーリーをご紹介します。
一部ネタバレを含む内容があるためご注意ください。

あんさんぶるスターズ!

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出典:公式映像

あんさんぶるスターズ!はHappyElementsが運営するアイドル育成ゲームです。

メインストーリーでは、アイドル育成学科を有する高校「夢ノ咲学院」を舞台に、プレーヤーは「プロデュース科の試験的な転校生」としての立場でアイドルの成長を見守ります。
プレーヤーと深く関わるユニット「TrickStar」の4人を中心に、その他の個性あふれるアイドルユニットやそのメンバーたちの過去や現在に触れていき、「トップアイドル」を目指す彼らをサポートしていきます。
大型アップデート後には「あんさんぶるスターズ!!」とタイトルを改め、ストーリーの時間が進み、舞台は社会へ広がりました。ストーリーテーマは「アイドルとは何か」に変更されています。
また、プレーヤーも「転校生」から「プロデューサー」という立場を与えられました。

サブストーリーでは過去編にあたる「追憶」シリーズや、季節に合わせたイベントなどのストーリーが随時追加されており、メインストーリーでは見られない内容に触れられます。

メイン・サブともに、キャラクター個々の掘り下げとして親の犯罪歴が明かされたり、ネグレクトの中で育ったなど、かなりハードな「闇」要素があることもあんスタの特徴です。

ディズニーツイステッドワンダーランド

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出典:PRTIMES

ディズニーツイステッドワンダーランドは、タイトルの通りディズニーから許可を得てリリースされたファンタジー・学園もののコンテンツです。

メインストーリーはディズニーで作品化された物語の中に出てきたヴィラン、つまり敵ポジションのキャラクターを元ネタに作られたキャラクターたちが、人の姿を借りて過ごす世界「ツイステッドワンダーランド」が舞台です。
そこに飛ばされたプレーヤーが、彼らが在籍する魔法士養成学校で、元の世界に戻る方法を探しつつ日々を送るというファンタジー要素の強いストーリー。

また、イベントではサブストーリーが展開され、ピックアップされたキャラクターに注目したストーリーに触れられます。

そもそもの世界観とキャラクター設定として悪役・ヴィランを元ネタとしているため、各キャラクターには闇とも言える影が垣間見えます。

魔法使いの約束

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出典:魔法使いの約束公式HP

魔法使いの約束はcolyが運営するソシャゲ。
魔法使いと人間が共存する世界に迷い込んだプレーヤーは「賢者」として魔法使いたちと「厄災」の討伐などを行います。

メインストーリーでは次に来る「大いなる厄災」に立ち向かうため、賢者と魔法使いたちが訓練や戦いを重ねる中で絆を深めていきます。
また、イベントで描かれるサブストーリーではメインストーリー後の魔法使いたちの生活、厄災による影響などが描かれていきます。

ストーリー内で、魔法使いたちは「前の賢者」についての記憶をほとんどなくしていたり、強い力を持つ魔法使いのその生き方についての描写が不穏であったりと、「闇」要素の強い作品です。

アイドリッシュセブン

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出典:アイドリッシュセブン公式HP

アイドリッシュセブンは、バンダイナムコが運営するアイドル育成ゲームです。
プレーヤーは新人男性アイドルグループ「IDOLiSH7」のマネージャーとして、彼らとトップアイドルを目指して奮闘していきます。

メインストーリーではライバルグループと人気の勝敗を決めたり、ランキングでの競い合いをしたりする目標を主軸にしつつ、そこに至るまでの様々なトラブルや困難、それに伴う心情が描かれています。

「IDOLiSH7」のセンターが喘息もちのために舞台袖で倒れたり、芸能界のリアルな「潰し」の描写があったり、現実味のありすぎる「闇」要素が特徴です。
それゆえにファンの間では「メンタル育成ゲーム」と呼ばれることも。

スタンドマイヒーローズ

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出典:スタンドマイヒーローズ公式HP

スタンドマイヒーローズは、魔法使いの約束と同じくcolyが運営するソシャゲです。
警視庁を舞台に、プレーヤーは「麻薬取締部の新人」として、庁内や外部を含む男性キャラクターたちと共に様々な捜査に携わります。

ストーリーはいわゆる「乙女ゲーム」に分類されるため、成人向けシーンも含む恋愛要素の強いものです。
各キャラクタールートで、個々の背景やストーリーを進めることで明かされる内容に無痛症や過去に抱えた罪などといった「闇」要素が見られます。

共通点を考える

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ここまでで今の流行作品を紹介しましたが、これらの共通点としてはやはり「」があることが大きいようです。
立場や世界観に共通点はあまり見当たりませんよね。

キャラクターそれぞれが抱える過去であったり、世界観そのもの・舞台設定に影があったり、具体的な内容はそれぞれですが、決して明るいとは言えない「闇」という共通点が見えてきます。

若い女性にウケる「闇」要素

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それでは、なぜそんな「闇」が若い女性たちにウケているのでしょうか?

一般論的に考えれば、自分の推しが傷つく描写や、絆が壊れるシーンなどは見たくない気がしますが、しかしそういった「闇」があるほどにコンテンツの人気は高まります。

おそらくそれは「この困難の先で幸せになってほしいと願う」というユーザーの心情に起因しているのだと考えられます。

既に幸せいっぱいのキャラクターではなく、「これから幸せになる推しを見ていたい」「推しに幸せになってほしい」という気持ちを発端に「幸せになるところを見るまで離れられない」という気持ちを引き出しているのだと思います。

今の若い世代には特に「推し文化」が強く根付いていることもあり、推しへの愛着を得やすいとしてこういったストーリーがより多くのユーザーを惹き付けているのでしょう。

「光」だけではいけない?

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「闇」のあるキャラクターやストーリーに惹かれるユーザーが多いことへの予測はついたにせよ、「やっぱり明るいストーリーの方が良くない?」と思う気持ちもあると思います。

「光」要素が強い、暗くないソシャゲに需要はないのか?という点について、需要自体はあると思います。
しかし、傾向として「闇」を抱えたものがウケてしまうことがわかっている故に、開発側も「光」いっぱいのコンテンツを出すに踏み切れないというのは仕方ないと思います。

そんな中で、2021年にDMMから出たソシャゲ「ウインドボーイズ!」は「光」に全振りしたストーリーでありながら、かなり肯定的に受け止められています。
男子高校生の吹奏楽部を舞台に、「吹奏楽×青春」をテーマに、「吹き抜けろ、僕らの青春」をキャッチコピーに、明るい吹奏楽部の日常が描かれています。
「闇深いのはもういいよ」というユーザーもSNS上で見られる中でのリリースに注目です。

まだリリースから日が浅いため、初期ユーザーの獲得中といったところであるウインボですが、今後のユーザー増加によっては「光」のソシャゲも増えていくかもしれませんね。

まとめ

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今回は流行のソシャゲの「闇」について考えてみました。
若い世代の「推し文化」から派生した「推しの幸せを願う」というマインドが、「闇」要素があるコンテンツの流行に関わっているという結論でした。
皆さんはどのように考えましたか?

また、ウインボを先駆けに、今後「光」要素に全振りしたようなゲームが増えるときには、メインターゲットとなる世代の流行や文化も変わっているのかもしれませんね。

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