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伊藤潤二アニメ『マニアック』の感想

自分の好きな配信者が伊藤潤二の富江について語っていた。なのでその回だけ気になって見てみたら、やたらと引き込まれて他にもいくつか見てしまった。ちなみに富江の最初のやつはマニアックではなく『コレクション』の方にあるっぽいがまだ見ていない。

今回はせっかくだし好きな話をピックアップして語っていきたいと思う。

アイスクリーム・バス

アイスクリームのバスが来て自らの子どもを送り出すお父さんが主人公。アイスクリームの軽快な曲が何度も流れポップさをこれでもかと演出してくるが、そのポップな怪しさがとてもいいと思う。

送り出された子どもたちが巨大なアイスクリームを複数人でなめ合うという衝撃的な食事シーンがあるけどこのシーンの絵面がホラーとしてはやはり良い。不潔な食事シーンってホラーにありがちだけどこの作品はポップさもそこに含めつつ不潔さを出してくるからより不気味になっててホラーとしては出来が良いと思う。短い話だが絵面が衝撃的なので印象に残る話だった。結末も不気味で好き。

首吊り気球

個人的に現時点で一番好きな話がこれ。アイドルの不審な自殺事件から数週間経ち、突如顔と首だけの巨大な気球が大量発生しなぜか首を吊るために迫ってくるという話。首吊りの気球はそれぞれ実在の人物の顔をしておりその本人の顔を吊るという性質があるようでそこから逃れるために奔走する人々の姿が描かれる。

最初に首だけの巨大な気球を見た時は3Dでシュールだなぁと感じたが、いざ気球が首を吊るために襲ってくるシーンとなると非常に不気味である。本人の顔を吊るという謎のルールが怖さを引き立てていると思う。吊った後は消えることなく残り続け大量の首吊り気球が空を漂っている姿はまさに圧巻。物語としてもホラーとしての出来は良いが、このような絵面だけでも相当キャッチーで不気味さが演出できていると思う。

四重壁の部屋

勉強の邪魔をしてくる弟の双一からのいたずらをなんとかするために兄の公一は部屋を防音にすることにするが、結局またいたずらをされてしまうので弟を追い回すという話。双一や大工が不気味だったりと異質な描写もありつつ基本的には怪異というより嫌がらせをしてくる弟の嫌さを描く感じの話だった。

四重の壁というアイデア自体が面白いと思う。いくら防音を重ねても屋根裏から侵入して隙間に入り込まれてしまうといたずらを防げない。むしろ隙間にトラップを設置しているから悪化しているようにも思えてシュールさを感じ面白かった。

この話はなんとなくジョジョっぽい気もする。ジョジョの作者はホラー映画が好きと言っていたのでもしかすると伊藤潤二と近い感性を持っているのかもしれない。

まとめ

今までホラー作品はそこまで見てなかったけど伊藤潤二のホラーはとてもいいと思う。というかハマった。どれも短編だけど強烈な話が多く面白かった。

とりあえずマニアックを見てその後にコレクションを見てみようかなと思う。そのうち原作を読んでみてもいいかもしれない。

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