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【アークナイツ】メインシナリオ7章『苦難揺籃』の感想

アークナイツ7章の『苦難揺籃』を読んだのでその感想を書いていこうと思う。

ちなみに自分はアニメから入ったので6章まではアニメで先にシナリオを見ていた。なので原作のシナリオを読み返す際も6章までは知っている情報が多かったが、7章からはアニメの範囲を越えるので完全に初見である。アニメだとラストにウルサスが戦争コードを送ってくるという終わり方だったのでずっと続きが気になっていた。

実際に読んでみると7章で一気に面白くなってきたように感じた。6章までももちろん面白いけど、7章からはチェンの過去やタルラ及びパトリオットの情報など、物語の核心に触れる情報が次々と明かされていくので単純に興味深い内容が多くなってきた。自分の推しであるチェンの活躍自体は序盤だけで次回の8章に持ち越しという感じだったが、パトリオットやGuard、ロスモンティスなど今までスポットがあまり当たらなかったキャラが描かれていたので新鮮だったという感じがする。

7章の面白かったポイントなど

ここからは7章の面白かったポイントや良かった場面などを1つずつ振り返っていきたいと思う。

1:極東語謝罪フレーズ

フミヅキが「極東語謝罪フレーズ」や「極東語スラング」などを言っていた面白かった。アークナイツの7章を書いたのも元は中国人のライターだと思うけど、わざわざ「極東語謝罪フレーズ」という風に描くということは「日本人はよくこういった謝罪フレーズを使うな」ということが中国人の人にもわかるくらいにはあるあるなんだろうか?だとしたら面白いなと思う(それとも訳す前はまた違ったニュアンスなんだろうか?)。

「極東語スラング」に関してはケルシーが驚くほど汚い言葉らしい。アニメ化されたらここも聞けると思うので早く3期が見たいなと思う。

2:アーミヤの演説

7-4における、アーミヤの演説が良かった。アークナイツって全体的に言葉選びが良いと思うけどこのシーンのアーミヤのセリフは刺さった感じがする。以下その引用。

私たちとレユニオンとの関係は、憎しみをぶつけあうものであってはなりません。相手との対話が可能である限り、自分たちの行動について説明し、責任を取るように求める必要があります。

アークナイツメインシナリオ7章『苦難揺籃』(7-4)

創作物において、対話する重要性を説くことはよくあるけどここまで明晰に言語化してることってあまりない気がする。「相手との対話が可能である限り」という条件文も絶妙で、条件が満たされない場合は戦うしかないという仕方なさも加味しているところが現実的だと思う。現実的にできる限り最大限対話をそれでもあきらめない姿勢は理想に真摯だと思う。

このシーンに限った話じゃないけどアークナイツは全体的に本当に言葉のコントロールが良いと思う。ちょうどいいさじ加減で、主張的にも矛盾なく、それでいて切実な言葉を使用してくれる感じがする。自分はそういう言葉のコントロールが良いライターが好きなのでアークナイツが好きなのだろうなと思う(余談だが田中ロミオや瀬戸口廉也も言葉のコントロールが良いと感じる)。

3:タイーシャをとりあえず怒らせて怒りを発散させるアーミヤ

7-9で倉庫にたどり着いたときにウルサスの女性(タイーシャ)が精神的に疲弊した状態で出てくるシーン。この場面でタイーシャが怒り出した時にアーミヤがとりあえずタイーシャに叫ばせて怒りを発散させるという判断をするのが面白かった。

タイーシャに対してアーミヤが冷静すぎる。周りが錯乱してる状況でも普段からできる限り事を荒立てないようにする術を既に知っているのだなと考えるとやはりCEOの器なのだと思う。さりげない描写だけど地味に好きなシーン。

4:パトリオットの預言と運命に抗うというセリフ

7-19でパトリオットがアーミヤが魔王になるというような預言をするが、このシーンの後に以下のようなセリフを言うのが良いと思った。

「だがある者が言った。事を成せるのは人なのだと。たとえ未来の総てが、お前と私の目に映っていたとしても……それがもし運命だというなら……私は運命を信じない。幼き魔王よ。事を成せるのは人なのだ。

アークナイツメインシナリオ7章『苦難揺籃』(7-19)

アーミヤが魔王になるという預言をしつつも、ここにおいて運命だとしても自分であればその運命に抗うという思想も提示されている。預言とともにこの思想も描くのは示唆的だと思う。パトリオット自身も預言に対してある程度確信を持っている面もあるけど、それでも人はそれに抗うこともできる、そんな希望も持ち合わせているのが良いと感じた。単に「アーミヤが魔王になる」とだけ預言されるよりも、この運命に抗う思想を提示したことでこのシーンにおいては深みが生まれているように思う。

アーミヤはタルラと重ね合わせられる描写をされることがあり、ロドスという組織がレユニオンのように今後暴走していくのではないかという伏線もあるが、パトリオットの運命に抗う思想が提示されたことによりそれだけではない預言に抗う道も示唆されたようにも思えた。今後どうなるかはわからないが、このシーンにおけるこの両義性は良いなと思う。

7章の気になった伏線など

ここからは7章を読んでいて気になった伏線などをまとめていこうと思う。少しだけ考察も書くが、どちらかというと後から読み返すようのメモとしての目的が大きいので大したことは書けないと思う。

伏線1:ケルシーがウェイに何かを借りるシーン

7-3戦闘後において、ケルシーがウェイにタルラの父親のエドワード・アルトリウスの遺品を借りたいという話が出てきた。この借りるセリフの後に7-3のシナリオはすぐ終わるのでこれが何だったのかがわからないという風な描写だった。

ここは明らかに意味深なので何かしら意味がありそうな気がしている。これに関しては現段階では何なのかが全く予想できない。ただ、タルラの父親関連の道具ということを考えると8章あたりですぐに伏線が回収されるかもしれない。

伏線2:ロスモンティスのアーツ

7-17におけるケルシーの説明によると、ロスモンティスのアーツ能力というのはロスモンティスの精神が具現化したもので、観測不可能な巨大エネルギー体によるものらしい。それが確実に存在するという結論からしか得られないという風にケルシーは説明していた。

描写的にもビルを真っ二つにしたりと強力なアーツだが、いまいちよくわからない能力にも思える。ロスモンティスの能力に限った話ではないけどアークナイツはアーツ能力をところどころで出してアーツや源石がどのようなものかを示唆させるようにヒントを出しているようにも思うのでロスモンティスが能力を使う描写も何か意味がありそうな気がしている(ただそれが何なのかは現時点ではわからないというのが実情)。

伏線3:ワルファリンとケルシーの会話で出てきた預言

ワルファリン曰く「最後のウェンディゴは魔王の手によって死ぬ」という預言がどこかでされたらしい。どこでされたかという情報は自分が読み落としてない限りは明言されていなかったと思う。この預言はケルシ―曰く、原文が「ホルテクツの仔、サルカズに背きし者、及び其の不義の血脈に連なる末裔は、サルカズ君主の手ずから断絶せらる」という風になっているらしい。

ワルファリンの意訳の方の預言はアーミヤとパトリオットのことを言っていると考えられる。ただこれはミスリードのような気もしていて、「最後のウェンディゴ」がパトリオットだとしてもとどめを刺したのがアーミヤかどうかは実際の決着のシーンを見ると描写的に判然としないようにも読み取れる。

パトリオットの最期のシーンを見ると「重い漆黒の剣と不思議な光を放つエネルギーの束が、勢いよく巨人の不死の体躯を貫いた」とあり、誰がその「重い漆黒の剣と不思議な光を放つエネルギーの束」でとどめを刺したのかが明確に描かれていなかった。描写的にはアーミヤのようにも読み取れるし、前述したように能力が判然としないロスモンティスという解釈もできる気がする(ちなみにロスモンティスはパトリオットの最期の描写の前にアーミヤを心配し「あ,危ない!」と声を出している)。

ただこれは考え過ぎの可能性も普通にあるのでやはり魔王はアーミヤという解釈が妥当な気もしている。

あと原文の方には「サルカズ君主の手ずから断絶せらる」とあるのでサルカズの君主が魔王と呼ばれる存在ということなのかもしれない。

伏線4:タルラがファウストのアーツ能力を知らなかった描写

7-8戦闘前において、タルラがファウストのアーツ能力を知らなかったという描写がある。特に意味のない描写のようにも思えるけどこのタイミングであえて書くということは何か意味がありそうにも思える。

メフィストはともかくファウストはタルラのことを完全には信用していなかったということだろうか?これもタルラに関しての情報なので8章ですぐに回収されそうな伏線だが、気になるところである。

伏線5:古代サルカズの儀式

7-8戦闘前において、古代サルカズの儀式を感知するアーミヤとケルシーの描写があった。そのあとロスモンティスにはそれが感知できないという描写があり、ケルシーとしてもロスモンティスは感知できないだろうということを話していた。

サルカズの儀式に関しては描写が少なすぎたのでいまいちよくわからなかった気もする。『孤星』でも似たようなことを言っていた気がするけど、当時はサルカズという種族すらそこまで認識できていなかったので『孤星』でのそのあたりの記憶はすっぽり抜け落ちている(認識してない情報はそもそも記憶できないのかもしれない)。アーツは源石を元に作られたアーツユニットを媒介にして使用される能力なので、人をアーツユニットに見立てたアーツ使用がサルカズの儀式なのかなという予想も考えたけどこのあたりはよくわからない。

まとめ

他にも好きなシーンや気になる伏線などはあったが、すべて列挙すると文字数が膨大になるのでこのくらいにしておこうと思う。

7章のシナリオはとても面白かった。やっぱりゲーム設定の核心部分の設定が開示されてくると面白くなってくるなと思う。現在は8章と並行して『翠玉の夢』を読み進めているが、こちらのシナリオでも明かされる設定が多くとても面白い。最近はアークナイツに限らずノベルゲームに対するモチベーションが高まっているので色々と読んでいきたい(星空ぷらねっと及び装甲悪鬼村正も読み途中)。


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