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おじさんは嘘がうまい

政治家逮捕のニュースを見ながら、
ふと、会社員時代のことを思い出しました。

私が新卒で入った会社は
バリバリ働く女性が多く、
上司も先輩も本音でズバズバ話す人ばかり。
いつも言い訳する人や
素直に感謝や謝罪を言えない人は
社内では浮いていました。
そんな環境だったこともあり、
私も意見を求められると
率直に述べさせてもらっており、
そのことで注意されることもなければ
むしろ重宝がられていました。

ところが、
親会社からおじさんたちが
たくさん出向してくるようになると
あまりにもみんなが堂々と、もっともらしく
嘘をつき、言い訳をするのに驚きました。
最初はその嘘に何度も何度も
だまされたものです。
いや、正確には辞めるまで
ずーっとだまされていました(笑)。

「〇〇部長、こう言ってましたよね。
だからこうやったんですけど…」
「え? いつそんなこと言った?
君の勘違いじゃない?」
そんなやり取りはしょっちゅうでした。

よくよく考えてみると
ほかの会社から転職してきた
女性たちも同様でした。
シラっと嘘をつき、馬鹿正直な私は
彼女たちに足を引っ張られてきました。
…ということを
書きながら思い出しました(苦笑)。

そして、そういう人たちは
ゴマすりも駆け引きも上手なので
仕事ができる、できないに関係なく
出世していくのです。

でもね、でも、
みんなどこかしんどそうにも見えました。
本音で話をできる相手がいるのかなと
思うこともよくありました。
私に何度も嘘をついて
どんどん偉くなっていった女性は
あるとき、出張先のバーで酔っぱらって
「心底信用して話せるのは社外の友達1人だけ」と
漏らしていたのを思い出します。

あのころ周りにいた嘘つきのおじさんたちは
続々定年退職していますが、
会社という看板がなくなった途端
なんだかとっても小さく見えます。
たまたま取引先のエレベーターで
数年ぶりに遭遇したおじさんの1人は、
「来年、この出向が終わったら、
何をして過ごせばいいか分からん」と
苦笑していました。
65歳になって、人生迷走しそうだと言うのです。
自分を押し殺して、嘘をつきすぎて
本当の自分が分からなくなったのでしょうか。
老人性うつが増えたのもそのせいなのかなと
ちょっぴり思ったりもしました。

今、振り返ってみても
大会社のおじさん(おばさん)たちは
どうしてあんなに嘘をつくのが
上手だったんだろうと感心します。
きっと、そうしないと生き残れない、
そんな厳しい環境だったのでしょうね。
昭和の大企業は。

それにしても、
一体、人っていつから自分を偽り、
人に嘘をつくようになるのでしょうか。

政治家の人たちだって
最初から嘘つきだったわけではないでしょう。
誠心誠意、国民のために尽くしたいと
思っていたはずでしょうに。
いつから歪んでいくのでしょうか。

でも、ここ数年お会いする
若い経営者の方やベンチャー上がりの大企業の方は
皆さんストレートにモノを言うし
(ときには失礼な物言いの人もいるけど)、
ムダがなくて軽やか。
この人たちは仕事が原因で
心を病みはしないだろうなと思います。

これが風の時代の会社と
地の時代の会社との
違いなのでしょうか。

型や枠に収まることが
良しとされてきた地の時代。
型に収まるために
嘘を重ねてきたおじさん、おばさん、
そろそろ型から飛び出してもいいですよ。
そう言ってあげたいのですが、
もう定年していたり、
あるいはもうすぐ定年かもしれませんね。

今回の政治家の逮捕劇もしかり
地の時代のいらない産物が
膿となって噴出しているようですね。

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