ブランディングという言葉が嫌いな2人によるブランディングの本質の議論

2016年に開催されたアドテック関西2日目の基調講演のメモを発掘したので、ちょっと古いメモですが、こちらにも共有しておきます。

ライトパブリシティの杉山恒太郎さんと近畿大学の世耕さんによるブランディングについての議論が、期待通りの考えさせられる議論でした。
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■ライトパブリシティ杉山浩太郎
・元電通だが、今はライトパブリシティに入ることができた。
 (ライトパブリシティはデザインの聖地と言われている会社)
・今は、広告やマーケティングという言葉を使うのが少し恥ずかしい時代になったと感じている
・デザインの時代が来たと考えていて、現在は経営とデザインに取り組んでいる
・昔はピッカピカの一年生などを手掛けていたが、いまはトヨタリサーチインスティチュートやSMBC金融ミュージアム、三越伊勢丹「this is japan」などのプロジェクトを手掛けている。

(エディジョーンズは実は2019年まで日本の監督をしたかったが、日本側がもう無理だとなったらしい)

■近畿大学 世耕
・近大流コミュニケーション戦略に取り組んでいるが。
 どちらかというと反ブランディング
・ブランディングというと広告代理店に大金を払わないといけないイメージがある
・近畿大学は昔からコミュニケーションに地道に取り組んできた変わった大学

■ブランディングの本質(ライトパブリシティ杉山)
・ブランドとは、社会との約束
 人格の社会への表明
・ブランドの作り方
 君は誰だ?(Who are you?) という質問から入るべき

世耕:
 ブランディングという言葉を聞くと、格好良くすることというイメージがあるが違うんだなと思った。
 実は大学にも立ち上がったときの理念に遡ると、大きな思いがあることが多いが今は忘れられてしまっている。
 
杉山:
 世耕さんは言葉を選ぶのが上手い
 ブランディングやマーケティングの議論も、ブランディングやマーケティングという言葉を使わずに考えるべきだと思っている
 

■近畿大学のコミュニケーション戦略(近畿大学 世耕)
・キャッチフレーズをポスターでアピールすることが良くされるが、うちはしない。
・近大マグロのお店を作るときにも居酒屋風の名前では無く「近畿大学水産研究所」という名前をつけ、マグロの卒業証書やカップヌードル、化粧品のコラボをしている。

・これらの活動をブランディングか?と言われると違うと思う人が多いはず。
 実際卒業証書はOBからクレームの電話がかかってきた
・できるだけ面白いことをやることにこだわっていて、学生証に誰も使わないけどクレジットカードを入れてみたり、入学式をアイドルのコンサートにしてみたりと、近畿大学らしさを表現している。

・ブランディングという言葉から考えると、こういったおかしなやり方は出てこないので、コミュニケーション戦略という言葉を使っている。

杉山:
 でも実はこれは立派なブランディング
世耕:
 「伝えた」ではなく「伝わった」にこだわっている
 スルーされるような広告は出さない
杉山:
 世耕さんがやっているのはイノベーション。
 地味なことをやっていることを物語をつくることによって価値転換をしている
 実はこれは広告の役割だったはずなのに、できる人が減っている
 コンテンツが重要だと言っているけど重要なのはコンテキスト・物語をつくること
 いまはそれを「デザイン」という言葉で表現している
世耕:
 実はこういう活動がブランディングと言われると、腹落ちする。
 表面のところだけを気にしている人が多いけど、物事の真髄から考えるべきだと改めて思う。

世耕:
 逆にブランドが確立してしまうとそれに縛られてしまうケースが多い印象がある。イメージができすぎてしまうと変えられずに弱点になっているのでは無いか

杉山:
 本当の伝統はいじってはいけない。
 ただ伝統を維持するために、適切なメンテナンスは絶対に必要。
 そうでなければ伝統は「伝統」では無く「ただ古いもの」になってしまう。

世耕:
 近大は固定のイメージがないから自由にできるのがやりやすい
 ただ、これでイメージが確立すると何もできなくなるのが怖い

杉山:
 ブランド神話におかされている人が多い
 新しいものというのは、会社の歴史を振り返ることから生まれるはず
 タレントを使ったり派手なことをやることから考えるのがクリエイティブの罠。まず会社の本質を考えて面白い要素を見つけることが大事

世耕:
 近大の大阪と言うことを表現する際に、大阪城とか通天閣の写真とかを議論していたが、冷静に考えて大阪は日本一面白い県と言うことに気がついたのが大きかった。今考えると、それこそが Who are you?を考える行為だったのかもしれない。
 この常識を覆すという行為をやり続けられるかを常に意識している
 養殖マグロに関しても、マグロがたくさん捕れる時代に養殖なんて不要では無いかと言われていたのに続けていたという近大のDeNAがある

杉山:
 語るべきものがあればそこに集中すれば良いのに、すぐにタレントや他のものに頼るという安易なやり方に走ってしまう。これは本質ではない。
 企業の内側にいると、この「語るべきもの」が企業の中ではあまりに当たり前だから気がつかなくなってしまうことが多い。
 広告が輝いていたときは、広告が一発当たると商品が棚から消えるほど売上が上がるという時代があった。そうした広告で伝えれば良い時代は終わりを迎えているのに、そこを無理矢理何とかしようとしているケースが多いのでは無いか。
 消費者という言葉を使うことによって、相手が「人間」だということを忘れている。

世耕:
 広告代理店がもってくるのはロゴを変えたり広告を出したりという話が多い印象がある。マグロの店を出したりというようなアイデアを提案してくれたことはない。
 本当はそういうことを助けてくれる代理店になって欲しい。

杉山:
 カンヌ国際広告祭が広告という言葉を使わなくなったように、広告という枠組みが経年劣化しているのは事実。ただ広告という手段は重要。

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