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「音楽の日」でTravis JapanやBE:FIRSTなど90名が、事務所横断でダンスコラボを披露した意味

TBS系特番「音楽の日」で、非常に画期的な企画が放送され、業界関係者を中心に大きな話題になっています。

「音楽の日」は、もともと2011年の東日本大震災をきっかけに、「一つになって歌の力でニッポンを元気づける」ことを番組のコンセプトとして企画されたTBSの特番です。

もともと「テレビ史上・音楽史上過去に例がない約7時間45分という長時間での放送」というのが特徴の1つだったそうで、14回目となる今回も14時〜22時近くまでの約8時間、さまざまなアーティストが楽曲を披露しています。

その中でも、今回最大の目玉となったのが、番組の終盤をかざる形で実施された総勢90人のダンスコラボ企画。
「グループの垣根を越えエンタメ界が一つに」というキャッチコピー通り、さまざまな事務所から参加した90人のダンスボーカルグループのメンバーが、文字通りグループや事務所の垣根を越えて、様々な楽曲のコラボレーションを披露したのです。

「音楽の日」に関するツイート数も、このダンスコラボの企画の最中が一番盛り上がったことが良く分かります。

ジャニーズ事務所とのコラボの壁

もちろん、NHKの紅白歌合戦などでグループや事務所の垣根を越えたパフォーマンスが実施されることはありますから、普通に考えれば、今回の企画もその延長の一つであり、何も驚くことは無いと考える方も少なくないかもしれません。

ただ、この番組において司会の中居さんがパフォーマンス終了後「これできんだよ」と興奮気味にコメントされていたのが象徴的だったと言えるでしょう。

実は、音楽番組において、ジャニーズ事務所と、それ以外の男性アーティストグループの出演には様々な配慮や忖度が存在しており、しばらくはコラボどころか一緒の番組に出演することも実現しない時期が続いていたと言われています。

事務所横断型のダンス&ボーカルグループのイベントについては、すでにBE:FIRSTなどを生み出したBMSGのSKY-HIさんと日テレが「D.U.N.K. Showcase」というライブイベントを3月に実施。
多様な事務所に所属するアーティストが、一つのイベントに参加してパフォーマンスをする企画をすでに実現しています。

ただ、この場にはジャニーズ事務所の所属グループは不参加。
業界関係者からは、こういった事務所横断企画にはジャニーズ事務所は参加しないだろうという声が多かったのです。
 

Travis Japanがコラボ企画に参加

しかし、今回の「音楽の日」のダンスコラボ企画には、ジャニーズ事務所からTravis Japanが参加。

DA PUMPの「U.S.A」でのダンス披露に始まり、BE:FIRSTと自らの楽曲である「JUST DANCE」のコラボを披露するなど、コラボ企画のメンバーとしてパフォーマンスを披露したのです。

やはり業界関係者の視点からすると、今回のジャニーズ事務所と、それ以外の事務所のメンバーが一緒にパフォーマンスをするダンスコラボ企画は「あり得ないことが起きている」と受け取る方が大半だったようです。

もちろん、業界関係者からすると、今回のコラボが実現できたのは、海外デビューを果たしており、過去にもINIとのコラボを実施するなど、ジャニーズでも特殊な位置づけにあるTravis Japanだったから可能だったと言う見方もあるようです。

そういう意味では、他のジャニーズのグループが、Travis Japanと同様のコラボをする日がすぐにあるのかは分かりません。

ただ、いよいよ日本の音楽業界において存在していた、目に見えない事務所の壁が、消えていく一歩として重要な日になったことは間違いないでしょう。

番組終了後に、SKY-HIさんがツイッターに投稿している喜びの声が、非常に印象的です。
 

TVerでの再配信など様々なはじめての取り組みも実施

実は、今回の「音楽の日」は、番組としてはじめてTVerでの無料見逃し配信も行われており、1週間は全てのアーティストのパフォーマンスを視聴することができます。

番組中では、LE SSERAFIMやNew Jeansなど、K-POPのアーティストが、韓国語の楽曲をそのまま披露していたのも印象的で、TBSの攻めの姿勢が出ている番組だったと言うこともできるでしょう。

TBSは、ジャニーズの性加害問題においても、大手メディアの先頭を切ってnews23で自己批判をしたことが話題になりました。

今回の「音楽の日」の取り組みも、そうした過去の業界の常識の見直しをいち早く実施したTBSならではの姿勢が表れた企画ということが言えるのかもしれません。

また、当然ながら性加害問題に揺れるジャニーズ事務所自体も、これからの時代に合わせて変化の一歩を踏み出すべく、今回のTravis Japanのコラボ企画への参加や、所属アーティストのパフォーマンスのTVerでの再配信をOKしたということなのでしょう。

ただ、そもそも音楽やアーティストのファンの視線からすれば、アーティストの所属事務所がどこかとか、事務所によって出演できる番組に制限があったということの方が「非常識」であるのは間違いありません。

今回の出来事が画期的と言われたということを不思議に思える時代は、もうすぐそこまで来ているような気がします。

この記事は2023年7月17日Yahooニュース個人寄稿記事の全文転載です。


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