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日本企業は問題意識を力に変えることができるか

ワールドマーケティングサミット2019のメモを1つ公開し忘れてましたので、今更ですが、こちらで共有させて頂きます。

こちらのディスカッションは、午前中の基調講演の後に実施されたもので、IMDの高津氏からIMD世界競争力ランキングのリサーチ結果から、日本のビジネスとリーダーシップのリーダーシップの課題について議論されました。

ある意味日本人の悲観的になりがちな性格が反映されているリサーチ結果だと思うのですが、それに対するコトラー教授からの日本企業へのエールに、個人的にはちょっとグッときてしまいました。


■パネルディスカッション
フィリップ・コトラー教授
高岡 浩三氏 ネスレ日本代表取締役社長
高津 尚志氏 IMD北東アジア代表

■日本のビジネスとリーダーシップの課題

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■世界競争力ランキング
 各国の経済的生態系を評価、1989年に開始

■63カ国対象の中で日本は30位

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■日本は低下傾向

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■日本の低下の原因はビジネスの効率性にある

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■ビジネスのサーベイ結果が著しく悪化
 2014年から2019年にかけて、様々な項目が大幅に悪化

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 ビジネスマンに対するアンケート調査であり、フラストレーションや怒りが反映されている結果と言える

■善意の国だが、世界の現実と乖離

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 社会に対する思いは強いが、スキルや技術力に乖離がある


■この結果を見てどう考えるか

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(この写真、ヘッダー写真共にH&Kグローバル・コネクションズ撮影)

・コトラー教授
 何か良いニュースはないのか?
 正直、低い結果を見て驚いた。
 日本企業の経営者は、何が起こっているのかを話し合うべきではないか
 このデータを見て真剣に何が起こっていて、何ができるかを話すべきだ

・高津氏
 日本は社会的継続性や殺人事件の少なさ、健康に関してのスコアは高い
 経営者の環境への意識なども高い。
 ただ、実行に関するスコアは低い

・高岡氏
 日本に長くマーケティングが根付かなかったのが、最大の原因ではないか。
 イノベーションやマーケティングが経営に存在しなかった。
 例えば新卒一括採用について誰も問題意識を持たず、指摘もしない。
 人手不足が言われているが、ホワイトカラーの生産性は非常に悪いまま。
 マーケティング思考がなく、多様性がないから、こうした問題に対して気づくこともできないし、対策を考えることもできていない。

・コトラー教授
 イノベーションとマーケティングが重要
 イノベーションを起こすことができなければダメ
 マーケティングを正しく実行できなくてもダメ
 VCにどうやって可能性があるかどうか分からないイノベーションに投資判断をするのか聞いたら、10個中9個は失敗する前提だと言っていた。
 完璧主義で、頭の中でずっと完璧になるまで考えていたところで、実際に実行しない限り永遠に完璧にはならない。
 まずはアイデアを試してみる姿勢が必要。
 失敗しても失敗から学び、再度試してみる必要がある。
 そうしたリーンマーケティングの姿勢がこれから重要になる。

・高岡氏
 バブルがはじけてからの30年は教科書に載るぐらい暗い30年だった。
 この間にマーケティングとデジタルによるイノベーションに遅れた結果、バブル時期に多数日本企業が世界のトップ企業に並んでいたのにたいし、今は1社、2社しかならばななくなってしまった。


■マーケティングやイノベーションに貢献できる人材になるためには?

・コトラー教授
 ヒントは午後の講演にある。
 アーカー教授はデジタル時代の成長方法を提唱しているし、
 ハンセンズ教授はMROIという概念を提唱している

・高岡氏
 30歳でミドルマネジメントになったときに、日本を知らないスイスの本社とやり取りをすることになった。
 そこで日本で当然と思っていたことが違うことにふれ、ダイバーシティを感じることができたことが大きかった。
 日本企業もダイバーシティーを広げることで視点を広げることができるはず。

・コトラー教授
 日本は十分にイノベーティブ。
 ソニーのウォークマン、トヨタのカイゼンだけでなく、たくさんのものを生み出してきた実績はある。
 自信を持つべき。


■組織はどう変わっていくべきか?

・高岡氏
 社長になった年からイノベーションに対する再教育が必要だと考え、イノベーションアワードをスタートした。
 これは人事評価とも連動させ、単なるアイデアコンテストではなく、実行と仮説の証明までを求めている。
 イノベーションはチームワークではなく個人の発想から生まれ、そこにリーダーシップが必要。
 最初は79人だったのが2500人で5000件が生まれるようになった。
 イノベーションは特定の部門ではなく社員全員の仕事。

・コトラー教授
 トヨタから学ぶべき
 75%のアイデアは現場から生まれてきている
 すべての人をプロセスに関わらせるべき




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