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会社を辞めずに脱社畜するには、やっぱりツイッターやブログを始めるのが一番良いと思う

昨日、ツイッター公式アカウント閉鎖騒動をきっかけに、企業と個人の境界線について考える記事を書いたんですが、ちょうど良い機会なので、以前に書いた「会社員がブログを始めたときに、最初は注意した方が良い3つのポイント」の続きの話を書いておきたいと思います。

今年の1月に「脱社畜サロン」というサロンが結構な勢いで炎上してました。
詳細については、西野さんがまとめてたので、騒動に興味ある人はそっちを読んでもらえればと思いますが。


個人的に、脱社畜サロンが残念だったのは「脱社畜」という言葉を殺してしまったことです。

「脱社畜」という言葉は、もともと日野さんが運営する「脱社畜ブログ」というブログのタイトルから注目されたキーワード。

この記事の中でも語られていますが、脱社畜サロンが会社なんてとっとと辞めて起業しようとか、サロンに入って独立しよう、とかという文脈で、サラリーマンを煽っていた印象が強いのに対して。
脱社畜ブログにおける「脱社畜」というメッセージは「会社を絶対視しないものの見方を身につけること」にありました。

日野さんは「脱社畜の働き方」という本を出されていて、私も読んだことがあるんですが、「脱社畜」という非常に強いキーワードに対して、実は書籍の中では明確に「会社で働くのが嫌でつらいという人に対して、直ちに辞めて起業するなりフリーになるなりして生きていくのがいい、とアドバイスをすることは差し控えたいと僕は思っている。」と明言されているなど、実はバランスが取れた本でした。

私自身も、日本においてサラリーマンが社畜化しやすい構造というのは、非常に問題だと思っている人間です。


アメリカの教育現場の話なんかを聞いていると、学生はこどもの頃から自立した人間になるように教育されている印象が強いですが。
日本はどちらかというと海外に比べると、同調圧力が非常に強い教育スタイルの印象があります。

先生や、先輩の言うことは絶対で、制服等の服装のルールや髪型のルールは笑ってしまうほど事細かに学校が定めていて、それに盲目的に従わされる学校も残念ながらまだまだ少なくないと聞きます。

もちろん、目上の人を敬い、多くの人がみんなと協調して動くことができるという日本の文化は、それはそれで非常に重要な日本の文化ですし、失ってはいけない点も多くあると思いますが。

それでも、問題だなと思うのは、その感覚が強すぎるままサラリーマンとして会社に入ってしまうと、いわゆる「社畜」化しやすい傾向が強い点です。


会社の上司や先輩の言うことは絶対で、会社のコミュニティだけが全てという状態で数年を過ごすと、多様だった人達があっという間に同質化していくケースが良くあります。
そのこと自体は、良い面もあるのですが、行き過ぎてしまうと「ブラック企業」と呼ばれるような職場環境なのに、その環境しかしらない若手社員が、全てを自分の能力のせいだと思い込み、会社を辞めると言うことすら考えられずに追い詰められてしまうケースが出てきます。

上司の言うことは絶対で、お客様よりも社内の論理を重視するようになる構造こそが、この数年日本の大企業で最近信じられないような不正が頻発している背景にあるとも感じています。


ただ、この問題が難しいのはこういう空気になるのは、べつに上司や先輩に悪意があるわけではなく、その上司や先輩も同じ道を辿ってきて同質化しているだけ、ということが多いという点です。

「ブラック企業」と一言で言いますが、意外にそう言われがちな企業でも、その企業文化に合っている性格の人達からすると良い会社だったりするんですよね。
企業文化というのは正解が存在するものではないので、実力主義で労働時間が長くなりがちな会社でも、仕事が楽しくて仕方が無い人にとっては、やればやるだけ報いてくれる良い会社だったりします。

そういう人にとっては、公務員的な大企業文化で、仕事がしたいのに時間外になったら労働組合に追い出され、仕事の能力よりも上司との相性や、飲み会の付き合いの良さで評価される企業の方が、よっぽど合わなかったりするわけです。

「脱社畜ブログ」が「脱社畜」というキーワードで説いていたのは、今の会社が全てではないという思考回路を確立することでした。
一部書籍の中のくだりを抜き出すとこんな感じ。

・社畜の思考法:社会人としての自覚に欠ける行動は慎むように気をつける
・脱社畜の思考法:社会人という言葉が出てきたら鵜呑みにせずに社畜に置き換え警戒する

・社畜の思考法「人生の中心にあるのは仕事である」 
・脱社畜の思考法「仕事は人生のほんの一部にすぎない」

私自身もそうでしたが、会社に入ったばかりの頃というのは、会社こそが社会であり、会社こそが全てになりがちです。
先輩が「社会人としてその行動は駄目だ」と言えば、それが絶対だろうと思い込む方はたくさんいると思います。

象徴的なのが日本において「副業禁止」という就業規則がテンプレ化していたこと。
今でこそ、憲法でいう職業選択の自由から、勤務時間外の時間をどう使うかは個人の自由だという議論は普通に聞かれるようになりました。
でも、当然昭和の感覚からすると、サラリーマンなのに仕事とは別の活動に手を出すというのは「会社への裏切り」だと思っている方は今でも多いと思います。

ツイッターとかブログとかを使うこともそうですよね。
ソーシャルメディア黎明期の時代、FacebookやLinkedInに登録しただけで「お前、転職考えてるのか?」と詰められたと聞いたことがありますが、そういう会社にいれば、当然そう思われるのが普通なんだと思い込んでしまうリスクがあるわけで。
自然と、ソーシャルメディアを利用することに後ろ向きな空気になります。


そういう意味で、逆に企業に勤めるビジネスパーソンの方々にオススメしたいのが、ツイッターやブログなどを始めるということです。

今の仕事にコミットしていればしているほど、会社に入る時間が長くなれば長くなるほど、どうしてもその会社だけが全て、という価値観に染まって強いまいがち。

ネット以前は、当然仕事が忙しければ、それ以外のことに時間を使うことは難しく、会社以外のコミュニティに並行して所属する必要すら感じないし、そもそも所属が難しいということが普通でした。

でも、今ならちょっとした空き時間に、ツイッターやブログを使って会社以外の人とゆるくつながることによって、会社以外のコミュニティにも緩く存在することができる時代なんですよね。

それは何も会社を辞める前提で所属する必要はなく、あくまで「会社を絶対視しないものの見方を身につけること」ができることに意味があります。

脱社畜サロンが良くなかったのは、脱社畜という言葉を、いかにも転職することが前提のように使い、サロンへの勧誘メッセージに使ってしまったことで。
「脱社畜」という行為自体は、日本のモーレツサラリーマン全員が意識するべきキーワードだと思っています。


脱社畜した状態で、24時間365日を自分のやりたい仕事やライフワークにかけること自体は全く問題ないんですよ。
自分の選択だから。
キツければいつでも、少し力を抜けば良いんです。

でも、会社や上司に強制されて、長時間労働させられることは大問題だし。
強制されてなくても、会社の「空気」に支配されて定時に帰らずに無駄に会社に残ってること自体には何の意味もないわけです。

先日、自分はNTTを退職した後に死ぬほど後悔したという話を書きましたが。

私は、NTTをやめるときに実は精神的に社畜を脱却できていませんでした。
単純にNTTで壁にぶつかってやめてしまったので、転職したアリエル・ネットワークでも会社に依存してしまい、上司に言われてもいないのに、勝手に社畜的な働き方を続けてしまってたんです。

そんな私の目を覚まさせてくれたのが、ブログとSNSのGREEでした。
会社の中で遅くまで残って仕事をして上司にアピールしようとすること自体には実は意味は無くって。
外に対して情報発信を続け、たくさんの人とゆるいネットワークを作っていくことの方が、はるかにアリエル・ネットワークにとっても、私にとっても意味があったわけです。

そんなわけで、私はビジネスパーソンのためのブログのススメ、みたいなマニアックなブログ連載や、プレゼンを続けていたりするわけです。



昨日の記事で、シャープの公式アカウントの中の人である山本さんの「自分はシャープ社員であることを半分辞めて、その分お客さんに近づこうと考えたのです」という発言を紹介しました。

ツイッターやブログを始めると、いつまでも会社の肩書きのまま、社畜的な精神状態のママではいられないという事実に直面することになります。

それがツイッター公式アカウント担当者が、日本の企業文化だと社内で浮きやすいという現実につながっているわけですが。

でも逆に言うと、これは公式アカウントの中の人が「社畜」状態から脱して、「会社を絶対視しないものの見方を身につけること」ができているということでもあります。

だからこそ、最近は、ツイッターの中の人が横につながって連動する企画が普通に実施されるようになっているわけで。
ニクレンジャーのような、本来ライバル企業だったり、昔なら接点すらなかったような企業同士が、連動して1つのプロジェクトに取り組めるようになっていたりするわけです。


ぜひ、日本の典型的な企業組織の中で日々頑張っている皆さんにおかれましては、脱社畜サロンの騒動は忘れて頂いて、「脱社畜」というキーワードはあえて重視していただきたいと思いますし。

ツイッターやブログをとりあえず開設だけしてみて、通勤電車の中とか、ちょっとした空き時間とかに、ちょっとずつ使ってみる癖をつけてみていただければと強く祈る次第です。
(フェイスブックでも、もちろん良いんですけど、フェイスブックは偶然の出会いがないんですよね)




ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございます。 このブログはブレストのための公開メモみたいなものですが、何かの参考になりましたら、是非ツイッター等でシェアしていただければ幸いです。