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憲法9条をめぐる対立点の整理(2)

憲法9条をめぐる対立点の整理(1)
問題は、憲法9条については、護憲側はこれを礼賛するあまり、改憲派はこれに対するアンチ感情のあまり、きちんとした理解がなされないまま、複雑かつ精巧極まる政府見解が展開されてきたという歴史的経過にあります。 

憲法史を勉強すると、現在の政府見解が、それなりの文理解釈としての合理性も、歴史的な史実も踏まえたものとして評価することができるのですが、これを一般国民に求めるのは、無理です。法学部で、法解釈学を齧った程度では、9条の精巧なガラス細工のような政府見解の正確な理解に達することはなかなかできないことは、僕が一番よくしっています。 

そこで、吉田茂を、舞台回しの「ピエロ」に仕立てて、共産党の野坂参三と対決した吉田茂の国会答弁とライバル芦田均による芦田修正に焦点を当てることで、これをめぐるGHQの思惑、極東委員会による芦田修正の受諾と文民条項挿入の経緯、ポツダム勅令(マッカーサー勅令ともいう)による警察予備隊の発足、ダレスによる再軍備の要請と吉田によるその峻拒、それがサンフランシスコ平和条約にどのように影響し、日米安保と平和条約5条に結実したという経緯についての啓発を行うのです。 

そのとき、世界史に誇る先進的な憲法9条の原義を世界遺産にしようといった護憲派リベラルの神話がいかに史実を歪めた迷妄であるかを明らかにできるのではないかと思っています。 
上記の憲法9条の制定経過を「国民の常識」にすることが、憲法改正の近道であると信じる所以です。 

「史実としての憲法9条」を検証するのに一番分かりやすくまとまっているのは、中村明著「戦後政治にゆれた憲法9条・内閣法制局の自身と強さ」だと思います。読みやすく資料がまとまっています。 
以上 
(R2/05/10 MLでのやりとりから)


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