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空き家だらけの国と、子どもに我慢を強いる大人たち。

余り周知されていないが、この国は高経年住宅の山積と言う大いなる社会課題を孕んでいる。
これは旧耐震基準で建てられた、築50年以上が経過した集合住宅が1万棟以上も存在していると言う問題である。こうした住宅は震度5強の震災で倒壊する懸念がある。産めよ増やせよの時代に乱立させた建物に対するツケが、今正に回って来ているのだ。

加えて空き家問題と言うものも大きな課題だ。人口減少、高齢化、担い手不足、地域の過疎化、建物の老朽化など、様々な問題が濃密に絡み合い、空き家が年々増え続けている。今の勢いの儘、増加し続けると2033年を迎える頃には日本の住宅の1/3が空き家になると見込まれており、これは研究者たちの間で、「街として機能しなくなる割合」とされている。
空き家が増えれば増える程、如何あってもその地域の治安などが悪くなる為だ。実際にベルリンの壁崩壊時には、ドイツの各地で大変な社会問題となった。

こうした課題について多くの方は、では取り壊せば良い、或いは誰かが建て替えれば良いのだと思うかも知れない。然し問題はそんなに単純ではない。取り壊すだけでも莫大な費用がかかるが、それを一体誰が負担すると言うのか。(国が負担すれば良いのだが)
そしてボロボロの団地などで、少なからず現在も住んでいる高齢者などは、取り壊した後、何処へ行けば良いのか。(国が保障すれば良いのだが)
更に建て替えようにも、元々の資産価値が限りなくゼロに近くなっている為、地権者への還元率を確保できず、事業採算性が取れない為、多くの場合、民間企業では事業化が出来ないのだ。(国が事業化すれば良いのだが)

実際に横浜市や福岡市などを筆頭に行政が、工事費の一部や解体費の一部などを負担する、建替促進事業制度などが現在活発になってきているが、焼石に水感は否めない。
令和2年度だけで77兆円を溶かしたコロナ予算に、血税を費やしていることが本当に適切であるかを、本来国民はもっと考えねばならないのだが、望み薄であろう。

「子々孫々の繁栄を願う」と言う概念は最早この国には無い。
「重症化の恐れがあるので、子ども達には我慢してもらって、自分たちは人生100年時代を。」だなどと真顔で言える精神性である。

スポーツ庁の報告を見れば顕著だが、日本の子ども達の体力は低下する一方で、マスク社会に於ける対人折衝能力の衰退や、酸素不足による思考力への影響など、懸念は尽きない。
国土を汚し、国力を下げ、空き家だらけのボロボロの街を、我々は孫子の代へ押し付けるようにこの世を去って行くのだ。せめてどうか、胸を張って死ねるように足掻いて行きたいものだ。

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