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フライングロータスを聴け

フライローが今夏、ソニックマニアにやって来る。
と言うことで彼の音楽について私なりにレビューしてみたいと思う。ソニックマニアに行くけれどPerfumeや電気グルーヴがお目当てで、Flying Lotusて誰やねんな方の一助になれば幸いだ。

フライローはJAZZジャイアント・ジョンコルトレーンの甥であり、ブラックミュージックに革命を起こさせる為に生を受けたと言っても過言ではない。グラミーノミネートする程の世界的なアーティストであるが、日本に於ける一般認知が非常に低いところがなんとも残念だ。
音楽ジャンルとしては、あまりに多彩過ぎる為エレクトリックミュージック、HIPHOP、スピリチャルジャズ、実験音楽あたりを楽曲毎に当てがわれているのが実態だ。プロデューサーとしての評価も高い上に、映画監督としてもデビューを果たしているなど、実に多才な人物である。
その他、彼の経歴や人物像などについてはwikipediaや有志のレビューなどを参照されたい。

ここでは、私にとってのフライロー名盤3選をご紹介申し上げたい。
と言っても正直、誰が選んでもこの3枚にならざるを得ないくらいの名盤であるようにも思う。

01.Flamagra

2019年にリリースされた作品。彼の音楽を聴いたことが無いと言う方には、是非最初の1枚に選んでいただきたい作品だ。スペーシーで多彩なサウンドスケープ、今をときめくアンダーソンパークや、ラッパーのデンゼルカリーを始め豪華客演が参加した、贅沢なまでにカラフルなアルバムである。奇才映画監督として知られるデヴィッドリンチまでもが客演していることも話題となった。
アルバムとしては当時の彼の集大成とでも呼ぶべき大作であり、独特のサウンドテクスチャーが、彼らしいメロディやリズムと複雑に絡み合い、壮大でいて内省的でもある不思議なオデッセイを紡いでいる。個人的にはチームラボのディレクター工藤岳氏の名前に因んで名付けられた「Takashi」と言う楽曲がおそろしく好きである。

02.You’re Dead!

2014年リリース。ケンドリックラマーやスヌープドッグと言ったレジェンドに加え、ハービーハンコックを筆頭に、カマシワシントンや、サンダーキャットなどの超絶技巧派プレイヤー達が参加した作品であるに関わらず、客演に喰われる様なことは微塵も無く、豪華ゲストを見事に使いこなし、フライローワールドを世界に魅せつけた名盤である。
私が初めて聴いた時は、「自分は今何を聴いているんだろう」と思った程に、この世界に他に存在しない音楽の様に感じられた。何処かわからない冥界を彷徨い歩きながら、アヤワスカでドン決まっているかの如く、極彩色が視界を覆い尽くす、フライローを象徴する作品の一つである。

03.Cosmogramma

個人的には世界遺産に登録した方が良いと思っている、2010年リリースの歴史的名盤である。リリースされた当時はあまりにも革命的過ぎて、私の音楽リテラシーではその良さがリアルタイムではよくわからなかった。
レディオヘッドのトムヨークが客演していることでも話題となったが、こちらも喰われずに、寧ろトムヨークの魅力をフライローが引き出している様に感じさせる程であった。
アルバム冒頭の「Clock Catcher」からいきなり頭をぐらつかされ、5曲目の「Zodiac Shit」に辿り着いた頃には、すっかり聴覚は酩酊し、7曲目の「…and the world laughs with you」が鳴り始めた頃には恍惚とした多幸感に包まれすらする。
世界中の批評家達が絶賛した名盤には違いないが、とっつき易さと言う点では、出来れば上記2枚を聴いてからの方が、より芳醇に味わえる様に思う。

以上が名盤3選についてのレビューになる。
エレクトリック系のアーティストはどうしても、一部のそうしたジャンル好きにしか愛されず、日頃そうした音楽を聴いていない人達からは敬遠されがちだが、音楽に革命を起こし続けているミュージシャンがリアルタイムで体感できるのに、聞かず嫌いはあまりに勿体ないと思う為、拙稿に辿り着いた稀有な方には、是非一度彼の音楽を堪能していただきたい。

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