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マチの歩みをハコがつなぐ(GREEN SPRINGSの配信を終えて)

 このマチにどんなハコがあったらいいか。我々がいつも考えていることであるし、ディベロッパーであれば当たり前につきまとう問いであろう。今回はその課題について、考えてみたいと思う。

 立川といえば、多くの人が昭和記念公園を思い浮かべるのではないだろうか。私も立川に行く理由のほとんどがそれだ。この場所はもともと、陸軍飛行場があった場所であり、敗戦後は米軍基地として利用されていた。私の世代だとあまりピンとこないが、立川は"基地のマチ"と言う人も多いようだ。陸軍兵士や米軍兵士、その家族の生活によって賑わいがもたらされたという歴史を考えれば、基地のマチというフレーズにも頷ける。

 具体的な歴史に踏み込んでしまったが、とにかくそんなDNAが立川に、昭和記念公園にはあるのだ。しかし現在は、飛行機こそ見かけるものの"基地のマチ"というイメージはほとんどないだろう。今では多くの商業施設で溢れ、複数の交通網に支えられた便利なマチとして、ファミリー世帯に受け入れられている。

 さて、次はどうするか。冒頭の課題を思い出してみる。どんなハコがあったらいいか。その答えの1つが「空と大地と人がつながるウェルビーイングタウン」だったのだろう。これまでのマチの変遷をまとめたようなキャッチコピーだ。実際にGREEN SPRINGSに入ってみるとそのテーマを見事に表現しているように思えた。飛行場を思わせる導線、隣の公園に負けない自然感、住民を迎えるテナントや施設。そして、日常使いで終わらないための装置として、ホテルやホールも備えている。これらはこれからの立川のあり方を表しているように思える。気持ちよく便利に暮らしながらも、心のゆとりを模索する立川民の希望を叶えるハコとなっているのではないだろうか。

 今回の開発は、マチと共に成長してきた立飛ホールディングスだからこそできたのかもしれない。では、門外漢はどうハコを作ればよいのか。自分の強みや特技を押し付けず、マチの歩みに目を凝らし、今後どう生きていきたいか、その声を聴き、理解する。それしか方法はないのではないかと思う。このハコマチという活動も、そうありたいと思う次第である。(T.Y)

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