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求めない"もっと"がそこにはある(etomo池上の配信を終えて)

 商業施設の強さを表す指標の1つに、「立地の良さ」がある。出店担当者は、いかに人を集められるか、いかに多くの人の目に留まるか、そんなことを求められながら、地図と睨めっこしてきたことだろう。しかし、その戦略が変わってきている。

 もちろん、そうさせているのはコロナウィルス。そして、これまで最強の立地であった駅にさえ、その影響が及んでいる。これまで多くの人が毎日通勤、通学で利用していたその場所がもはや街の中心地ではなくなっているのだ。

 そんな中、今年東急がオープンした「etomo池上」は東急池上線、池上駅と一体になった商業施設だ。しかし、これまで見てきた駅ナカ施設に比べると控えめで、実におしとやかに感じる。その理由はなんなのだろうか。

 それは、「集客」に固執していないからではないかと私は思う。無論、お客様が来てくれないと商業施設は成り立たない。でも、池上という街にはすでに多くの人たちが生活をしているし、本門寺を訪れる観光客(とここでは括ってしまうことをお詫びしたい)もいる。すでに街として十分やっていけるのである。そうなると商業施設はいかに街と一体化できるか。それが大きな鍵になる。etomoブランドのコンセプト、「駅と、もっと 街と、もっと」は、そうした謙虚さで街に溶け込む姿勢を見せるものなのだろう。

 駅は今後どうなるのだろうか。街の中心はどう変わっていくのだろうか。それほど大きな施設ではないし、きっと今後も目立つようなことはないだろう。しかし、そんな控えめな施設が大きく、重要なことを教えてくれる。そういう時代に私たちは今、直面しているのである。         (T.Y)

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