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大家業と訴訟。

皆さんは裁判所にいったことはありますか?

ぼくは仕事絡みで2,3回か行ったことがあります。
原告として、被告として。

できれば裁判になる前に、お互いの話し合いで解決できるのが一番いいのでしょうが、双方平行線で落としどころが見つからないときは、最後の方法で裁判所に判断してもらっています。

昨日久しぶりに霞が関の東京地方裁判所に行ってきました。今回はこちらが訴える側の原告で、内容は部屋の明け渡しです。

原因はシンプルに家賃滞納。
学生が入居者でその親が契約者です。

入居当初から滞納しがちではあったのですが、今年に入り親御さんが両親とも自己破産したのとのこと。
破産の原因は分かりませんし、当然聞き出すようなことでもないですが、両親ともにというのはなかなかの非常事態。

4年前、入居時にご提出いただいた申込書を確認すると、親御さんは一般法人にお勤めされる会社員でした。

お勤めの法人自体はいわゆる中小企業ですが、ホームページ上で見る限りはとくに問題なく営業しているようです。

もしかしたら、入居後に奥さんと家族経営の事業を始めてつまづいたりしたのか、夫婦でだれかの保証人になって多額の負債を抱えたのでしょうか。

こういう場合、わが社の契約書上は入居者のお子さんにも督促をせざるを得ないのですが、親の窮状を知っているのかどうかも分かりませんし、仕事とはいえ、お子さんに親の家賃支払いの督促をするのはなかなか心苦しいものです。

自分の生活に影響の出る形で親の金銭問題に巻き込まれてしまうと、どんなに良好な家族関係だったとしても、きっと元通りにはならないだろうなと思います。

夏前に弁護士を通しての司法手続き開始しましたが、しばらくすると親御さんから電話があり、
『こどもは来年で卒業するからそれまで居させてほしい』
とのこと。

それはそうですよね。折角入った東京の私大、親元から離れて一人暮らししてでも通う価値があるなら、もちろん無事に卒業させたいだろうし、お子さんもきっと同じ気持ちでしょう。

賃料滞納という事実があるとはいえ、ぼくの行動はその思いをサポートすることとは真逆の行為です。
彼の立場になれば、生活の拠点を失うことで、悪い方向で大きな人生の岐路になってしまうこともあるでしょう。

入居者の彼は僕の卒業した大学の後輩だから、多少なりとも縁を感じるし、なんなら直接会って彼の人となりを感じながら、今の状況をくわしく聞き、場合によっては将来的な返済計画を一緒に共有する、なんてこともあり得るのかもしれません。
4年生だから就職が決まっている可能性も高いですし。

ただ、それを伝えようにも、こちらに登録されている電話番号も不通だし、部屋にいっても居留守なのかインターフォンに応対はない状態です。
今日もたぶん出廷しないだろうなと思いながらも、出てくれればそういう話をしようと考えていました。

しかし予想通り、先方は親御さんも入居者の彼も出廷せずに、次回までに状況が変らなければ、明渡しの確定判決が下される流れです。

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相手の状況に応じて個別に対応するのは、とても骨が折れるものです。

大家業に限らずだと思いますが、定型業務は仕組みづくりが大切で、滞納の対応も基本的にはその仕組みの中で処理すべきと思います。

ただ、今回のような入居者と契約者が違う場合、とくに学生の入居者の場合はもっと入居者の生活を考慮してあげても良いのかと。もっと早めに直接アプローチしたらお互いに良き解決があったのかな。と、いささか後悔しつつ、いまnoteを書いています。




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