見出し画像

火事になったらジャンプ!! ポンコツ大家の叫び(父ちゃん編)

前々回のnoteが『ポンコツ大家の叫び(母ちゃん編)』だったので
ポンコツ大家の叫びシリーズは2回目にして最終回ですが、今回は父親編。


うちの両親の仕事(大家業)を手伝い始めるまで、ぼくはけっこう父親のことを尊敬していました。普段はおちゃらけてても、しっかり稼いでいるんだし、たまに家にくる取引先とのやり取りを見ても、相手が気を使ってくるから、きっと仕事もできる偉い人なんだろうなと。

ただ、一緒に仕事をし始めてその尊敬心は一瞬にして瓦解しました。
家にくる取引先はすべて工事業者だから、そりゃ大家に気を使いますよね。
当然、頼まれたことしかしませんし。

やるべき管理業務の放置の山。
普段起こらない緊急事態にきちんと対応できるように設備点検したりするのが大家さんの役目ですが、管理業務の不作為はそうした事態にまったく対応できない罪な体質だと、身に染みて感じことを覚えています。

その一緒に働き始めた頃(2003年前後)の印象的なエピソードを書いてみます。

父その1
入居者の多くが不法滞在のアジア系外国人のことを指摘して。

僕:おやじ、なんでうちにはこんなにビザなしの外国人が多いの?
都内で不法滞在外国人グループの強盗犯罪とか、めっちゃ増えてるじゃん??
在留許可ない人を入居させてるって、そういうのと関係あるかもしれないから、よくないんじゃない??

父:いいの、おれも若いころアメリカのトウモロコシ畑でメキシコ人と働いていたから。ベビーシッターもやったことあるぞ。
うん??そうだ、もちろん、ノービザで不法就労だったぞ。

だから、いまは日本に来ている外国人に恩返しでやってるの。

おまえ、なんなら、おれの国際交流に文句あるのか?? 


(おやじ…今週、警視庁の刑事さんが2回もきて、外国人入居者の顔写真確認をしていったよ。罪状は不正送金っだかな。ちなみに先週も別の人の顔写真確認に入国管理局の人が3回も来てる…)


父その2
廊下の蛍光灯の多くが切れていて、夜暗いという入居者クレームに対して

いちいちやるの面倒だから、ぜんぶ切れてからまとめてやれば。


(おやじ…うちのマンションホントにボロい上に、そもそも照明少なくて、暗くて物騒だよ。10本くらいすぐ交換できるじゃん。まあ、あなたはそもそも暗いと思ってないでしょ…)


父その3
消火設備法定点検を竣工以来、約35年間一度も実施していないことについて

僕:おやじ!なんで消防点検してないんだよ! 消火器の使用期限も切れてるじゃん!!!(怒)
親父:消防署の査察なんかめったに来ないぞ!! それにうちは消防署に近いからちょっとの火傷くらいじゃ死なない!! いそいで駆け込めば命だけは助かるんだよ! 余計なこというな!

なんなら、うちは5階建てだ。

火事の時は5階からジャンプすれば助かる!!

\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\

『お父さんはコンピューターみたいな人だから。』

ぼくが子供の頃から母はいつも言っていました。
ずっといい続けているので、とくに気にも留めなくなっていましたが、一般的にコンピューターみたいと称される人って、仕事ができる人ってイメージかと思います。

仕事が正確で、早いみたいな。

母は本心から言っていたのでしょうか。真相はわかりませんが、息子の僕の目からは、何か揶揄したり、からかっている様子ではなかったように思うので、本心から言っていたと思います。

幸い、建替え前の実家の賃貸マンションで、火の手が上がることはありませんでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?