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コロナウィルスが企業社会を変える

研修の専門家中原淳さんが、今回のコロナ騒動が、企業の研修にどのような影響を与えるのかについての緊急アンケートを企業の研修担当者に行い、その結果を彼のウェブサイトで公表した。

現状の問題に直面した、日本の企業のリアルが伝わるとても面白い内容だった。

日本企業のユニークさを作り出していく一番の理由に、新卒の一括採用という雇用形態がある。これがその後、多くの日本的経営という現実あるいは神話を作り出してきたのだが、その出発点が、4月の新入社員の入社である。

まさに今回のコロナウィルス騒動は、日本固有の花見だけではなく、日本固有の行事ともいうべき、4月入社という制度そのものを揺るがしかねない勢いだ。

4月の新入社員の入社と同時に、若者が大人になる最大の通過儀礼である新入社員研修が始まる。

コロナ騒動がどのように収束していくのかについての予測が立たないなかで、企業の担当者がどのように奮闘しているのかが、伝わってくる、一種のドキュメンタリー的なリアルさがにじみ出てくる資料だ。

集合型新入社員研修の変更を考えていますかという質問に対して、開催地の分散化、動画・テレビ会議の利用、同一ビル内分散会場へのビデオ配信による研修、研修所での宿泊研修ではなく、本社会議室での研修への変更、全体入社式をとりやめ、配属先事で開催、本社以外の地域への配属者については集合研修ではなくZOOMを使った研修等。

現状の不確実性の中で、どのように対応するかの人事の当惑と手探り感が現れている。

集合での入社式の中止、懇親会、新幹線、飛行機移動などを伴う研修中止など、季節の風物詩となってきたものが一気に無になってしまう可能性が高い。

最近話題株価が急騰して話題になっているZoomなどの名前に代表されるように、どちらかといえばオンライン的なコミュニケーションに後ろ向きだった日本の大企業の文化が一気に変わっていく匂いさえする。

さまざまな質問の中でも「今年度の変更・工夫は、来年度以降の新入社員教育においても継続されそうか」という質問に対する答えが面白かった。

来年度も続くと答えた担当者が53.7%、今年度限りと答えた人が46.3%。

この比率は、かなり微妙なバランスに見える。

特に続かないと答えた人達が気にしているのは、デジタルメディアでの研修は一方的で受講者のフォローが困難、同期感の創出(通過儀礼的な要素)がなくなることで社会人としての意識醸成が遅れることなどである。

まさに新卒一括採用、新入社員研修がCorporate Japanという現実及び神話の中核を占めていることの表れだろう。上記の微妙なバランスも、まさに、時代がどちらに動くかの綱引きが行われている状況を示しているのだと思う。

日本社会は変わるのか、変わるとしたら、それはプラスなのかマイナスなのか。いずれにせよ、我々の未来が見えないウィルスに支配されつつあることだけは否定できない。








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