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不定期日記。2023-03-15

 とある日曜日。

 風もなく穏やかな空の下、あてもなく自転車を漕ぎ、多摩自転車道に入り途中のベンチで自転車を止め、一休みしながら青い空を見上げて「俺の人生ってなんなんだろーな」と虚無感に包まれて。
 ふと目の前に目をやれば、木の切り株を模した膝丈ほどの高さを持つコンクリの作り物があり、ぼんやり目線はそこに固定されたまま煙草を吹かしていると、右手側よりランニングウェアに身を包んだ老夫婦がやってきて、旦那がその切り株に片脚を乗せ、両腕そして上半身の体重をその脚に預け、もう片方の脚をうんと伸ばしてストレッチを始めた。
 すると今度は左手側より、白いミックス犬が女の子の手綱をピョンピョン跳ね回りながら引っ張り、切り株に向かってきたかと思うと、切り株に飛び乗った。犬の顔の正面にストレッチ爺さんの顔。その間30cmほど。ハフハフとベロを出しながら爺さんに愛嬌を振りまく犬。ストレッチの苦悶に耐えつつ苦笑いする爺。にらめっこ。というより笑いっこ。
 その様子があまりに可笑しくてついこちらも笑ってしまった。
 瞬間、幸せというのはこの程度のことで充分だな、と感じた。

 自転車道をそのまま自宅方向に向かう帰り道、日曜日は犬連れの人が多いな、と知った。散歩中の犬は体温調整のためベロを出してハアハア言ってるがその表情はどう見ても笑顔に見える。得だ。それを見てるとこちらも笑顔になる。徳だ。
 私も犬を見習って満面の笑顔でいれば徳が舞い降りるに違いない。そう考えて、花粉症なのでまだ外せないマスクの下で満面の笑顔を練習している。

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