ななこよこ

築コレ〜オツな若ぇの生け捕ってきやした102 林家なな子

林家なな子さんと相撲部屋で待ち合わせをしました。入門のきっかけの一つがここにあるようなので……
 入門前は会社勤めをしていました。その頃から将来は自分の好きなことをして生計を立てたいなと考えていたんです。ここでぶつかり稽古を見ている時に、力士たちは人生をかけて相撲道に精進しているし、自分はそういう気持ちで仕事ができてるのかなと思いまして、今よりも情熱を注げる仕事があるのかもしれないと思ったんです。
 初めて寄席に行って後に師匠となる正蔵を観た際に、客席がお花畑みたく、ブワァーと明るくなっていくような感覚で、その雰囲気、華やかさに魅せられました。
 「女性の弟子は取らない」と師匠には弟子入りを何度も断られました。ある日、師匠の女将さんに根岸のご自宅に来るように言われました。そうしたら女将さんと香葉子大女将が二人でいらっしゃいました。自宅で正式にお断りをするということだからと伺ってはいましたが、念の為履歴書を持っていってたんです。それを見て大女将が、当時から30歳まででないと落語協会に入会できないっていう規定ができたので「この子、(歳)ギリギリよ! かわいそうだから入れてあげましょうよ!」っておっしゃったんです。そこで大女将と女将さんとの間で色々お話しされた後に、女将さんがグッと目をつぶって「よし、一緒に頑張ろう」って言ってくださったんです。師匠はもちろん、大女将、女将さんには一生付いていこうと思いました。初めて弟子入り志願に行ったのが、7月7日で、7はとても縁起のいい数字なので「なな子」という名前になりました。

 入門後には落語以外にも日本の古くからのしきたりなど色々教えて頂きました。その中で根岸らしいことといえば、ほかの兄弟子たちもやっていたのですが、かつお節を削ったりとか。あと、唯一私だけはぬか床の管理もしました。同門のあずみ姉さん、つる子とはとてもいい関係です。ただ三人で会をやると、楽屋が盛り上がってしまい、めちゃくちゃうるさいです。高座に上がるころには三人ともグッタリしています。
 落語を知らない方は、「落語って難しい」とか、取っ付きにくいと思っているんだなって感じます。そういうものを取っ払いたいんです。とにかく〝明るく元気〟がモットーで、あらゆる世代の方にまずは足を運んで頂きたいです。一度観たらまた行きたいなって思ってもらえるような、落語の入り口になれるような芸人になりたいと思っております。

●なな子さんのマイブームはパン屋さん巡り、手相占い、お菓子作り。

林家なな子・はやしやななこ

本名=佐藤宏美。1981年12月21日生まれ。東京都足立区出身。江戸川大学卒業。2010年8月、九代林家正蔵に入門。11年2月に「なな子」で前座。15年5月二ツ目昇進。出囃子=たなばたさま 紋=花菱 血液型=B型

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