東京タワー

最近のマイブームは本を読むこと。
発端は金原ひとみの『蛇にピアス』。これはまだ10代だったころの私にかなりの衝撃を与えた作品だけれど、それについてはまた今度書こうと思う。


それから同じく金原ひとみの『TRIP TRAP 』。森博嗣の『孤独の価値』。
大学入学から3年間で3冊ほどしか本を読まなかった読書不精とでも言うべき私が、この1ヶ月でもう3冊も読んでいる。空前の読書ブームが到来しているわけだけれど、なんといっても今は江國香織の『東京タワー』に首ったけだ。


大学生の耕二と透が、年上の女性との甘やかで蠱惑的な恋に落ちていく話だが、読みたくて買ったのに、1週間経ってもまだ少ししか読めてない。
なんというか、世界観が好きすぎて、読めないのだ。暇さえあれば東京タワーの世界を考えてしまう。こんな天気の日は耕二は何をしているだろうか、透は窓から雪を纏った東京タワーを見て何を思うだろうか、と考えてしまう。考えることで満足してしまう。全て読み切ってしまえばそこで世界が終わってしまうような気がして、怖い。結末を知れば東京タワーの世界がそれっきり広がらないような気がして、そんなのは嫌だと思う。


私が東京タワーの世界を満喫するには、今のところ読まないという選択肢を取るしかないのだ。

読みたいのに読めない矛盾。
好きすぎて近づけないのと似たような感覚がそこにはある。


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