明日は必ず-01

明日は必ず美しい、 のか


三連休の初日の夜、
私はいつものように電車に乗っていた。


何も普段と変わらない夜だった。

今日楽しかったなあ、とか
納期を過ぎてる仕事の件謝らないといけないなあ、とか
教授のメールに返信しないとなあ、とか
好きな人からのメッセいつも冷たいなあ、とか。


何も、何も変わらない。



電車が止まったので席を立ったが、
まだ最寄駅ではなかった。


緊急停止、だった。


電車が緊急停止することなんて、
よくある話だ。

でも、今夜は何か違った。



外は危険だから絶対に出るな、と言う車掌、
初めて聞く3ヶ国語のアナウンス、
1時間はこの車内からは出られないという予告。



何か違う。

そう思い、Twitterで最寄駅の名前を調べた。



人身事故、らしい。



三連休の初日。


三連休の初日に、
線路に身を投げた人がいる。



ホームはブルーシートで覆われ、
バス停は消防車と救急車でたくさん。

バス待ちの間、雨でまだ少し濡れていたベンチで
鳴り止まない赤いサイレンをずっとみていた。

迷惑だよなあとか、
最悪だ、とか
聞こえてくる。



そうだよなあ、
そう思われても仕方ないよなあ。


でも、

明日を迎えたくないくらい辛かったんだろうな。


………………………………………………


明日終わっても後悔しない日々をデザインしています、

私が自己紹介でいつも使うセリフだ。


小学校2年生のとき、
北朝鮮からテポドンと呼ばれるミサイルが落とされるかもしれない、
そんなニュースばかりの時期があった。


小2の私は、
割と本気でそれを信じていたし、
『毎晩、お母さんにありがとうと言ってから寝る。』
そんなルールを作っていた。


明日ミサイルが落ちるかもしれないから、
今日を全力で生きよう、
そう毎日考えてた。


気付けば、
ミサイルどうこうなんて終わり、
今日を全力で生きる、
そのルールだけが残った。



明日が来るとは限らないから、
ハードルが高くても後悔しないほうを選ぶんです。


そう表現すると美しく聞こえるが、

元は、存在しないかもしれない
明日を見据えてのルールだった。

………………………………………………

今日、

最寄駅で線路に身を投じた彼は
満足して人生を終えられたのだろうか。


きっときっと
達成したかったこと
たくさんあったんだろうな、

と思った。


全力で生きてる人ほど、
辛いこともたくさんあるよなあ。

周りからしたら、
今日の彼はいつも通りだったのかなあ。

誰かに相談できなかったのかなあ。




三連休の初日に、
命を絶ってしまった青年のことを考えると
言葉にならない感情が湧いてくる。


ぼくのりりっくのぼうよみの新曲、
「僕はもういない」を聞きながら


彼が失った明日を想像した。

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