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街の灯りがとてもきれいな元日の話

ここ数年、元日は横浜中華街に行っています。元日の中華街はいい。ほとんどのお店が営業していて、いつもと変わらない賑わいです。もしかして彼らにとってグレゴリオ暦の元日は関係なく、春節を基準にしているのかと思いきや、春節こそがむしろ書き入れ時とばかりに営業するらしく、人間らしい働き方とはなんぞと考えたりしています。

若い頃は横浜(中区界隈を指す)がキライでした。野球を見に行こうとして開催地が浜スタだとがっかりしていました。横浜にいる人たちはみんな気取っていて、みんなマリンボーダーのカットソーを着ていて、ちょっと山下公園にでも行こうものなら夜景がきれいねそうだねでも君のほうがきれいだよウフフみたいなことをささやき合うカップルがいて。何が横浜だ男は黙って川崎だろと思っていたのでした。

川崎は最高でした。晴れている日でもなんだか薄暗くて(印象です)、センター北へ向かう人の群れは誰も無口で、こごえそうなカモメ見つめ泣いていました(印象です)。そういった雰囲気もさることながら、川崎はその当時新しいロックミュージックが聴ける替えの利かない場所でしたし、鬱屈しがちな若い時代にフィットしていたのだと思います。

それが30を過ぎた頃から横浜に興味が出始めて、今では1年に数回は遊びに行くようになったのだから人間わからないものです。川崎で遊んでいた頃は太ももや膝のあたりが破れた66なんて履いていましたが、そんな小汚いものはもう履こうとも思わなくなりましたし、マリンボーダーのカットソーも買いました。

この変化は、歳をとって趣味嗜好が変わってようやくベタな横浜を楽しめるようになった、というのに加えて、横浜という街がその歴史を大切にしていることへの敬意が自分の中に芽生えての変化だと思います。

今年の元日は中華街ではなく、山下公園の向かいにあるホテルでゆっくり食事をしてきました。食事中に獅子舞がきて頭を噛んでくれたので、幸先のよい元日になりました。歳をとるって素敵だ。

2019.1.2
川名セイジ

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