【6月の本よみ】 雑踏の過ごし方
都会的な印象の男性である。人通りの多い場所にあるコーヒーショップ、その店内には空席があるように見えたが、男性は外の椅子に座って本を読んでいた。その人が店に来た時には席が空いていなかったのかもしれないが、外の喧騒を心地よく感じながら本を読んでいるようにも見えた。
エリアス・カネッティ著「マラケシュの声」の中で、旅でモロッコに訪れた著者が、その街の持つざわめきや、異国の言語で交わされる会話、その中にいることに心地良さを感じる、という部分がある。その時の気分にそぐわない音楽がそこそこ大きめの音量で流れている店内より、車の音や人の話し声が聞こえている状況のほうが快適、というのは私も経験がある。
ええ、どうぞ、普通に読んでいたらいいですか?と少し戸惑いながらも明朗な話し方で撮影に応じてくださった。撮影に応じてくださった方には、写真に添える文章をお願いしている。もちろん任意なので、いつでも気が向いた時に書いてもらえるよう、撮影の承諾をいただいた方にのみお渡ししている栞にQRコードを入れていて、そこから寄稿用フォーマットにアクセスできるようにしている。手短に撮影し、その栞を渡し、その場を後にした。
それから1時間くらいの短い間に、写真の男性は文章を書いて送ってくださった。( 寄稿文 ) 人となりのわかるような、様子の良い文章だった。
「東京の本よみ」とは?
本をよむ人のポートレート。
ストリートスナップさながらに本を読んでいる人に声をかけ、読書姿と読んでいる本の表紙を撮影させてもらっています。
毎月20日にサイトに新しい写真をアップし、末日に撮影後記をnoteにアップしています。
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