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なぜスーパーマン?

僕が初めて山本さんに会ったのは2018年の2月22日。「別府温泉ルートハチハチ」がまだ始まる前、「SELECT BEPPU」という店の前だった。

別府に縁のある作家、職人の作品やオリジナル商品を扱う「SELECT BEPPU」は築100年の長屋の1室をアーティストのマイケル・リンと地元の建築家とのコラボレーションにより再生した物件で、趣のある店の前で山本さんがスーパーマンの格好をして撮影をしていた。

なんて変なおっさんなんだ!そう思った僕は声をかけて写真を撮らせてもらった。「お名前は?」と聞くと「ライスボール山本」と返ってきた。なぜスーパーマンの格好をしているのか聞くと「スーパーマンに特に意味はない」ということだった。ますますおかしな人だ。BEPPU PROJECT絡みの撮影だったそうだが、そのままの格好で街を歩いていく山本さんはどこからどう見ても変態に見えた。

僕も東京神父という名前で活動しているから、変な親近感を覚え、それから随分と仲良くさせて頂いている。偶然街で出逢うことが多くなり、連絡先を交換して、山本さん主催の飲み会に参加して、最初は嫌がっていた山本さんに何度かお願いをして、モデルをやってもらうことになった。街で会った人と仲良くなる、これも別府という街の面白さの一つだ。

山本さんが他の変なおじさんと一番違うところは、彼を中心としたコミュニティーがしっかりとあって、そこには老いも若きもいて、様々な世代の人達が集まっているというところだ。

それは別府の小さな1コミュニティーに過ぎないかもしれないけれど、世代を超えて人が集まるというのは紛れもなく山本さんの人柄や行動力の賜物で、それが出来る人は別府にも多くはいない。

ルートハチハチのインタビューの中で山本さんが語っていた「別府に移住して来たけど、別府に知り合いがいるわけじゃない。そんな人達を孤立させないことが僕の役割かもしれないね」という言葉は、普段はおちゃらけている山本さんの本心なのではないかと思う。

僕も山本さんと出逢わなければ、会えなかった人がいて、そういう人と人を繋ぐことが出来る人が、意図せずにスーパーマンの格好をして街を歩いているというのも、別府の面白いところだ。(もちろん毎日スーパーマンの格好をしてるわけじゃないが)

これからも様々な人の縁を別府で繋いでいくであろう山本さんのルートハチハチ。是非、ご覧になってみてください。

2019.6.6 東京神父
住吉温泉「SUPERMAN RICEBALL YAMAMOTO」

東京神父 写真家。1978年4月20日生まれ。 別府出身、自由が丘在住。