見出し画像

ユーチューブ日記 コロナウィルスに関する藤井聡教授の動画

 藤井聡京大大学院教授の「リスク・マネジメントに基づく「新型コロナウイルス対策」の提案【京都大学レジリエンス実践ユニット】(解説:藤井聡ユニット長)」という題の3月26日に公開された動画は、ミクロな研究とマクロな研究の区別をしているところなど、他の多くのコロナ関係動画にはない現在の日本の状況に必要な見方が示されていた。
 ミクロな研究というのは、個人の医学的なプロセスの研究で、マクロな研究というのは、社会全体に対する被害の最小化を目指す研究である。
 動画ではまず最初に基本方針が示された。

基本方針2

「医療崩壊」を回避しつつ、

新型コロナウィルスによる「死亡者数」「重症者数」の抑制を重視すると同時に、

その対策による「自殺者増」を含めた社会的経済的被害も踏まえた上で、

長期的な国民的被害の最小化を目指す

 感染者ではなく死亡者・重傷者の抑制を重視しているところや自殺者に対する目配りがあるところが特徴である。
 次に下のようなグラフを示した。

最適水準

 横軸が自粛・禁止レベル、縦軸が国民的被害である。感染による「直接」的な国民的被害は右肩下がりの曲線で表され、自粛等による「間接」的な国民的被害は右肩上がりの曲線で表される。そして、それらの曲線が交差するところが、双方を足した被害が最小化されているポイントで、そこを目指すべきだとしていた。
 最適水準よりも左側の自粛・禁止レベルの例としては、1月の日本・2月のアメリカ・スペイン・イタリアを挙げ、最適水準よりも右側のレベルの例としては、3月の日本・アメリカ・欧州各国を挙げていた。
 そして、現在の状況について、社会経済ダメージとそれによる自殺の増加などに配慮して感染拡大から重症化防止の方にフェーズを移行することを提案していた。
 これらの前半の基本的な考え方が一番重要だと思った。

 後半では、イベント開催に対する考え方や、年齢及び基礎疾患(コロナウィルスによる疾患以外の疾患)と死亡数との関係が示された。コロナウィルス感染者の死亡は、60歳以上と基礎疾患を持つ人が特に気をつけるべきで、59歳以下で基礎疾患を持たない人の致死率は非常に低いということが示された。

自粛要請・禁止するなら

 最後の方で「最低の政府というのは自粛を要請しつつ保証をしないという政府であります。これは国民を見殺しにするに等しい」と述べ、過剰自粛には極めて恐ろしいリスクがある、ということを強調した。
 ミュージシャンのYOSHIKIさんとノーベル賞受賞者の山中さんの緊急生対談を撮影した動画もよかったが、それよりもミクロとマクロのバランスが取れているという点でこちらの方が優れていて、今まで見たコロナ関連の動画の中では、一番妥当な内容だと思った。

※関連記事:ユーチューブ日記 コロナウィルスに関するYOSHIKIさんと山中教授の対談

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?