広告/PR/広報を我流に構造解析してみた

はじめに

「広報とは」「PRとは」。それぞれの定義や流派があるけれど、ふと我流に科学(哲学)しておきたいと思った。つらつら書くので、随時予告なく書き直しも削除もするし、所属している会社とは何の関係もない。

あと真に受けないでほしい。

ここまで予防線を張っておけば大丈夫だろう、というところで最初から結論に入ろう。

結論

◆事業領域における、Marketingという営みの中に、手段としてのPromotionがあり、そのメニューとしてコントロールできるクリエイティブ勝負の「広告」と、アンコントローラブルで仕掛け勝負の「PR」がある

「広報」はより経営領域に位置し、社会との窓口として長期的な関係構築、バランサーの役割を担う

組織における社会とのコミュニケーションの総称としては「Coporate Communication」と定義する

私の読解力に問題がなければこちらの記事にある嶋野さんの考え方にかなり近い。リサーチやマーケ領域からスタートしているからなのか、広告会社を経由したからなのかもしれない。

三浦さんのいう、より上位概念としての”PR”もわかるけれど、ここはあえて、別のワードを当ててみた。

では、もう少し厳密にしよう。

組織の在り方を決めるCoreとそれを包むBranding

Core:組織や事業の核であり、世界観を作るための設計図。社会に対してどう貢献していくのか、組織としてどうあるのかの定義、存在論。組織のあらゆる取組みはここに向かって集約される。ミッションやビジョン、バリューによって言語化される。※ちなみにこの命名はさっき思いついたので外で言わないでね。

Branding:Coreをwrapするもの。Coreが事業や組織そのもののスケッチであるとすると、Brandingはそこに色を付けデザインした表現であり、組織の顔となるもの。コミュニケーションプランを考える際の上位概念と捉えたい。

定量目標を担うPromotionとしての広告とPR

Marketing:Coreの世界観を広げるためのあらゆる実践。今回はいろいろ省略するが古典によると、下記の4つが分析され施策が行われる。

Product(プロダクト:製品)
Price(プライス:価格)
Place(プレイス:流通)
Promotion(プロモーション:販売促進)

Promotion:購入なのか、継続なのか、サイトアクセスなのか、好感度なのか認知であるのか、それぞれの期待に応じた定量的な目標を達成するために行われる情報開発と発信。広告やPR(+α)といったメニューを通して実現される。

広告:人にダイレクトにメッセージを届ける、コントロールできる手法で、「私」から「あなた」に直接届けるクリエイティブが勝負どころ。直接届けるためには、多くの場合は枠を買う必要があるのでおカネがかかる。

例:「このミカン、ビタミンたっぷりでとっても美味しいよ!1個300円でコンビニで買えるんだ。買わなきゃ損!」 と伝える。

PR(狭義のPublic Relation):人に間接的にメッセージを届ける、アンコントローラブルな方法。「私」から「世の中」に届ける。世の中の空気づくりや土壌づくりであり、仕掛けや企てと言ってもいい。具体的に生活者文脈に紐づけて、問題意識を掘り起こせるか、組織と生活者をつなぐ関係性の情報設計が命。メディアに語ってもらうことが目標ではないけれど空気づくりにメディアの力は欠かせないはず。

例:「最近どうやらビタミン不足で倒れる人続出だって!やばくない?予防にはミカンがいいっぽいって聞いたけどマジ?」 と言わせる。

おカネが動いているかやメディア掲載があるかは本質ではなく、結果そうなっているという理解が一応のポイント。

なお、インフルエンサーマーケティングを『#PRではなく、#ADにせよ!』という議論を見かけるけども、自分としてはこの辺の捉え方が結構難しいと思います。インフルエンサーである人間を「枠」ととらえるか、直接繋がりのない「仕掛けの一部」と捉えるか・・(PRもADもつけないのはまあ論外)

PRは数値で評価されるべきか

枠があり、横並びでも時系列でも比較検証することが可能、かつ予算獲得のために常に効果の算出と勝ちパターンの発見を求められてきた広告と、世のトレンドや社会課題に重きを置き、影響する因子も多いPRとでは確かに分析・改善の粒度は異なってくると思います。

が、PromotionとしてのPR理論を展開する上では、しっかりと数値評価はしたほうがよいと考えます。この時に置くべきはあくまでPromotionの効果として期待していた「態度変容」であり、また世の中のコミュニケーションがどう変わってきたかを数値に変換する方法があるのではないかと思います。

こういうものもあるみたいです。

ただ、これはあくまでも施策に対する評価で、(事業会社における)人事評価とは別だとは思います。

というのも、特にコーポレートPRに関しては結構ロングタームの話になってくると思うので、半年や一年で人事的な評価を下すのは難しいのではないかと・・

またPromotionとしての広告&PR理論を展開する上では、広告とPRは予算や状況が許す限りは是非有機的に融合し相乗効果を狙っていったらよいと考えています。

PRで土壌をつくって、広告が肥料を撒き、ここぞという時に刈り取っていくようなイメージでしょうか。

これは印象論ですが、PR周辺では、まあまあ「反広告」な方多い感覚。でもタッチポイントをコントロールできるのは広告の利点だと思いますので、利用できるものは利用したらよいというのがリサーチと広告会社を渡り歩いた自分の持論です。

最近は地方局のテレビなんかもお安いらしいですよ。

組織と世の中の窓口としての広報

じゃあ、広報は?

直訳するとPublic Relationですよ、という話もあるけれど、あえてここは分けて考えてみようと思います。

広報:世の中との、組織における窓口であり、情報管理のバランサー。組織のCoreを継続的に長期的に正しく世の中に伝えながら、社会的な説明責任を果たす。組織内に対しては、世の中からの外側からの視線を共有してバランスを保つ。いい時も悪い時も。たぶん悪い時のほうが重要な役割。ポジションとしては組織づくりの側かつ経営のそば(ひとまず経営企画の下においた)に位置する。(したい)

例:「忙しく朝食が摂れない現代人は深刻なビタミン不足に陥っており、これは大きな社会問題です。健康から社会を一歩前に進めたい当社は、通常の3倍のビタミンを含むミカンを新規開発しこの問題に向き合います。」 と発信。

<いろんな広報とPRの定義>

誤解と反感を恐れずに絵にしてみよう。

なんかしっくりこない気もする。各セクションが影響しあってる感じが全くないからかもしれない・・

図解

最も広義なPR(Public Relations)

遅くなったけれど三浦さんのおっしゃっていたような最も広義なPRについてはCorporate Communicationという言葉を当ててみたい。説明はこちらの引用をさせていただきたいと思います。

◆僕はPRを、「Public Relationsという関係構築の学問体系であり、ビジネス領域でもある」と捉えています。
◆PRが最も広範囲な概念であり、企業活動の総称という認識をしています。

いろんな広報の方のnoteやお話を聞いていると、自らのお仕事をここで言うCorporate Communicationと捉えられている方は結構多いんじゃないかと思いました。

実際私自身もそのように考え、実践していきたいと思う。

ただ、そのままだと学問するにはあまりにも広大な海すぎて、遭難してしまいそうだったのでちょっくら整理してみました。

定義に意味はないが、それでもやっぱり科学したい

色々と考えてみたけれど、それぞれの状況や考え方にもよるし、実効性においても汎用性という意味でも、正直分別することにあまり意味がないでしょう。

特にスタートアップは認知度も広告予算も人手もない中で、社内外の情報を扱うという職種であるということと、メディアに接触する機会があるという点で広報とPRを一緒にやる状況がほとんどで、それは理にかなっていると思う。

だから本当はもっと状況に即した実践的な話をするべきだ。

ただ、ふと立ち止まってその役割を科学することは、実際には何にも解決はしないかもしれないが、この情報多寡時代には、ヒントを検索するくらいには役に立つのかもしれない。

どんな道にも、そこにはたくさんの先輩がいて、彼らの実践から学ぶことができるはずだけど、実際にピンポイントの情報を見つけるのは難しい。

嗚呼、ただただ近道したいし楽したい。

あとは、自分はこの曖昧な領域のなかで結局どういう役割をもちたいんだっけ、みたいなのを整理するのに、まずは定義しておきかったのでやってみました。

じゃあの。

↓↓↓↓↓これだけはどうしてもシェアしたい↓↓↓↓↓↓

最後に、私が一番好きな、ブラジルでのPR事例を貼っておきます。

『This Coke is a Fanta』:カンヌライオンズ2018 PR受賞作品。「This Coke is a Fanta」はLGBTの方へのネガティブな表現だった。そうしたLGBTへの偏見を払拭するため、よりポジティブなものにするためコカ・コーラはこの表現を逆手にとり、プライドパレードの日に「中身をファンタにしたコーラ」を発売。「"This Coke is a Fanta. So What?"(このコーラはファンタ。それが何?)」というメッセージが世界中で拡散された。


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