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サザン45周年LIVEを『映画館』で観ても、一体感は生まれるのか!?

映画館でリアルタイムでライブを鑑賞する。
それを「ライブビューイング」と呼ぶ。

今日初めてそれを体験した。サザンオールスターズの45周年LIVE。もちろんライブ会場に行けるなら行きたかったが、そんなプレミアチケットはなかなか手に入らない。
しかし一番の疑問は、

「ライブビューイングって、盛り上がるの?」

ってことだ。

ライブ会場と映画館同士が中継でつながるわけではない。ただ茅ヶ崎で行われるLIVEがリアルタイムで配信されるのを一方的に映画館で鑑賞するだけだ。

全員が総立ちになって観るのも変な感じだし、かといって、通常の映画のように終始物音ひとつ立てず観るのも、なんだか不気味な気がする。果たしてどうなるのか。

僕はドキドキしながら渋谷のTOHOシネマズに行った。

案内板をみても表示はされていない。
まるでシークレットライブみたいだ。

スクリーン3の会場前に、ひっそりと看板が出ている。看板というか、試験会場の案内みたいな雰囲気だ。

おそるおそる会場に入ると、サザンオールスターズが「お土産」を用意してくれていた。

スポンサーのユニクロによる、ヒートテック引き換え券。夏も終わり、これから寒くなるであろう時期にサザンからの温かい贈り物が嬉しかった。

映画館はもちろん満杯だった。

そして17時になり、茅ヶ崎のライブ会場が映されと、映画館からは大きな拍手が起こった。ライブの始まる開演前の様子が流れた。

しかし、会場にいる人たちの楽しそうな雰囲気や、茅ヶ崎の美しいロケーションが映されるのを全員がシーンとした状態で見ていくうちに、だんだん「会場にはいない自分たち」という、ある種の疎外感が漂いはじめていた。

(大丈夫か、、この空気、大丈夫なのか、、)

やがて茅ヶ崎ライブ会場での場内アナウンスが流れはじめる。よくある注意事項的なやつ。

そして、しばらくすると、場内アナウンスのお姉さんが少しテンション上げてこんなアナウンスを流した。

「なお本日は茅ヶ崎LIVEの様子がライブビューイングで、全国の映画館とつながっております!」

すると茅ヶ崎のLIVE会場では、大勢の観客が拍手喝采をもって喜んでいた。もちろん渋谷の映画館でも大きな拍手が湧いた。

この瞬間、全国の映画館と茅ヶ崎の会場が1つになった気がした。

そして、加山雄三の「君といつまでも」の曲を入場曲にしながら、電車ごっこのような感じで、メンバーの肩に手を添えて一列で入ってくるサザンオールスターズのメンバーたち。

ボルテージは一気に上がる。

「茅ヶ崎の皆さん、ご無沙汰してます!高齢者になって戻ってきました!みんな紙おむつ履いてます!」

と桑田さんによるユーモアたっぷりのMCから始まり、

「今日はライブビューイングで全国から10万人の人が見てくれております!ありがとうございまーす!」

とカメラに向かって熱く語りかける。映画館も一気に湧く。映画館でこんなにも人が湧く姿をはじめて観た。

さらにカメラに向かって、

「札幌ー!! 福岡ー!! 栃木ー!! ‥‥あ、あと割愛で」

とドッと湧かせる。その後も要所要所でちゃんとライブビューイングを意識しながら語りかけてくれた。

そのおかげで、映画館にいる人たちも、「自分たちは取り残されていない。ちゃんとサザンのみんなが、そして会場にいるお客さんたちも、その場にはいない僕らのことを意識してくれている」ということを感じとり、心おきなくノッていいんだという気持ちになった。

そして「C調言葉に御用心」に始まり「いとしのエリー」とか「真夏の果実」とか年代を超えた名曲が次々に歌われる。みんな座った状態で手拍子したり、手を振ったりしている。

そして途中で「栄光の男」という曲が歌われた。

曲自体を知ってはいたけど、改めてライブビューイングで歌詞が表示されながら鑑賞していると、その歌詞が心から沁みた。何ていい曲なのだ。

そして「東京VICTORY」とか「盆ギリ恋歌」など最近の曲も、まったく過去の古い曲に引けをとらないくらい素晴らしく盛り上がった。

「歌えニッポンの空」とかも新曲なのに、ちゃんと観客全員で「アリガットゥ!!」と曲の調子に合わせて自然と掛け声があがった。

数人だが立ち上がって踊る人もいるし、手拍子をしたり、手を振る人たちもいる。みんなが思い思いにサザンの曲を楽しんでいたし、一体感が生まれて、心地よい空間になっていた。

特に「東京VICTORY」は映画館のほぼ全員が拳を突き上げていた。気持ちよかった。改めてライブビューイングというものの、映像的な価値を実感した。

最後は「勝手にシンドバッド」で最高潮を迎えて終わった。デビュー曲の圧倒的な強さを実感。

ライブビューイングはYouTubeのライブ配信みたいにコメントも残せないし、いいねも送れない。スマホも操作禁止のため、Xに投稿もできない。

それでもなお「意識してくれている」という、その一点で、僕らは場所を超え、空間を超えられるのだということを心から実感できた。

これは何もライブビューイングに限ったことではないなと思った。noteだって同じことだと思う。

noteの記事にわざわざ「いいね♡」を押してくれたり、コメントしてくれる人がいる。「note見てるよ」とか「実はめっちゃnoteのファンです」みたいなことをリップサービスでも言ってくれる人がたまにいる。10年に1度くらい(あるいは一生に一度くらい)わざわざ熱烈な手紙をくれる人までいる。

もともと自分の書く楽しみのために書いているところが多分にあるのだけど、わざわざ言ってくれる人たちのおかげで書くモチベーションも増えるので本当に感謝してます。

アリガットゥ!!

ほんの少しでも意識してくれている人がいることがとても嬉しいし、僕もそういう人たちのことをたまに思い出して、何かちょっとでも楽しんでもらえたらいいなという気持ちで書くこともある。

「意識してくれている」というその一点で、場所を超え、時間も超えられるって、何だか素敵なことだ。クリストファー・ノーラン監督が映画の題材にしそうなくらい素敵なことだ。

サザンのライブビューイングを通して、映像の可能性とnoteの可能性を改めて実感した。サザンオールスターズの皆さん、ライブ関係者のスタッフの皆さん、本当に、

アリガットゥ!!


‥‥いや、これ言いたいだけじゃないですよ。
本当にそう思ってるんですよ笑

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